ほぼ日刊イトイ新聞

2019-11-09

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・「GDP=国内総生産」というものがあります。
 一定期間に産み出された「付加価値の総額」のこと。
 うん、この説明はけっこうわかりやすいな。

 それに対してブータン王国が言い出したのが
 「GNH(Gross National Happiness)=国民総幸福量」。
 国民の幸福度を指標にしていこうと考えたわけです。
 これはお金を軸にした経済価値よりも、
 ずっと計りにくいのではありますが、それを
 やろうと決めて政策を実行しているようです。
 具体的にはたくさんの質問をじっくりと行って、
 精神的な幸福の実感を調査していくんですね。
 「困ったときに頼りにできる人は何人いますか?」とか、
 150近い数の質問をしていくらしいんです。

・いまもあるかどうか知りませんが、
 グーグルという会社の行動規範に、
 「邪悪になるな(Don't be evil)」
 という文言があったと聞いています。
 「邪悪」であるかどうかは、論理で決定しにくいし、
 時代によっても「邪悪」の定義が変わりそうです。
 そういう「揺れることば」を企業の規範に組み込むのは、
 これまでの会社だったら、やらなそうなことでしたから、
 人びとは、このことにとても興味を持ちました。

 ぼくらも、「ほぼ日」は、どういうことはする、
 どういうことはしないということを、
 「揺れることば」でいいから文章にできないかなぁと、
 ミーティングをしたりして考え続けていました。
 そこで、ふと「ものすごく大げさなんだけどさ」と、
 前置きをして、ぼくはこんなことを口にしました。
 「『人間の幸福総量を増やしているかどうか』
 というのは、どうだろうね?」と。
 「もちろん、仮説なんだけどね。
 人やチームがなにかするときには、微量でも、
 それが世の幸福総量を増やす方向にあることをする。
 減らすようなことは避ける」と続きました。
 なんとなくエントロピーの法則みたいですけどね。 
 この思いつきが、この先どうなるのかわかりません。
 ただ、なんとなく、いま言っておきたかっただけです。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
「生まれてよかった」と思えて生きるのが、幸福では?


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