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舞台『仁義なき戦い』主演のAKB48・横山由依に、東映ヤクザ映…
舞台『仁義なき戦い』で主役の広能昌三を演じる横山由依に、過去に『仁義なき戦い』研究本を出版した杉作J太郎が魂を叩き込む!
AKB48グループメンバーが、日本映画の金字塔『仁義なき戦い』の舞台化に挑戦。そこで東映ヤクザ映画を愛しすぎる杉作J太郎を緊急招聘! 主役の広能昌三(ひろのう・しょうぞう)を演じる横山由依に魂を叩き込む!
杉作 最初に横山さんに参考書(『仁義なき戦い 浪漫アルバム』)を差し上げますね。これは僕が21年前に出した本なんですけど、ぜひ読んで役に生かしてもらおうと。
横山 うれしい! ありがとうございます。
――まずは『仁義なき戦い』について知らない読者もいると思うので、簡単に説明してもらえますか?
杉作 1973年に公開された東映の映画で、第2次世界大戦で原爆が落とされて焦土と化した広島で、利権をめぐってさまざまな戦いが始まるという話です。日本映画の金字塔であり、20世紀の日本映画を語るときには外せない作品でしょうね。
――杉作さんは『仁義なき戦い』の映画をどれくらい見ているんですか?
杉作 回数はわからないですが、もう高校生の頃には風呂場でセリフをしゃべってましたね。特にナレーションが好きで、「昭和38年秋......」(モノマネ)とか、スラスラ出てきちゃうんですよ。
横山 杉作さん世代の人にとっては当たり前なんですか?
杉作 昔、なんばグランド花月で中川家の礼二とケンドーコバヤシ、なだぎ武と4人で『仁義なき戦い』のイベントをやったんですけど、セリフはみんな覚えてましたよ。
自著『仁義なき戦い 浪漫アルバム』を見せる杉作氏。「このポスターはですね」と、語りだしたら止まらない
――それは集まったメンバーが濃いからです! 横山さんは見たことありました?
横山 なかったです。怖そうな感じだったので......。でも今回見たら、笑えるところがあったり、面白いんだなと。
杉作 出てた人にお会いしたことはあります? 松方弘樹さんとか。
横山 グループでの活動のときにお見かけしたことがあるかもしれません。
杉作 田中邦衛(くにえ)さんは?
横山 『北の国から』のドラマで見てました。
杉作 だったらびっくりしたでしょ。「ホタルー」(モノマネ)って、言ってた人ですから。あれはいい人だったけど、『仁義なき戦い』ではいやな人ですもんね。これはいやな人がいっぱい出てきます。
横山 (主人公の広能昌三が属する)山守組の(山守清)組長はとんでもないやつですよね。自分勝手だし、表情も見ていて腹が立ってきます。
杉作 横山さんはAKB48グループの総監督だったじゃないですか。言うならAKB組の親分みたいな。山守みたいな要素はなかったですか? ウソをついたり。
横山 ないですよ。
杉作 「ここ払っといてくれ」って、子分に飲み食いの支払いをさせたり。
横山 私が払います。「あいつ山守みたいだな」とか、絶対に思われたくないですよ(笑)。
杉作 でも、横山さんがやる主役の広能はいやなやつじゃないんですよね。任侠(にんきょう)の社会を普通の社会だと思って、頑張ってやっていこうと入ったら、みんな自分のことしか考えていなかったという。広能についてどう思いました?
横山 真っすぐな人ですね。演出の先生は、広能は失うものがないから真っすぐだと言ってました。
杉作 そのとおりですね。ほかの登場人物は家庭があるから死にたくないとか、刑務所に行きたくないとか。言い訳ばかりですよ。でも、この舞台の配役は誰が決めたんですかね。僕は、広能の役が横山さんにすごく合ってると思ったんですよ。簡単に言うと、横山さんは広能をやっていた(菅原)文太さんに似てる。
横山 めっちゃカッコいいじゃないですか!
杉作 しゃべりのトーンが淡々としてるんです。文太さんとリズムが似てますね。だから広能の役はやりすいんじゃないですか?
横山 うれしいです! 昔からしゃべりが淡々としてるって注意されてきたけど、初めてホメられました!
杉作 『仁義なき戦い』は、文太さんの魅力が大きいんですよ。文太さんは視野の広い人でね。最終的には俳優を辞めて農業をやったんです。そんな文太さんのやる広能は視野が広いですよ。どーんと構えてる。おろおろしない。そこが肝だと思いますよ。
――広能を演じるための極意ですね!
杉作 やっぱり映画に出ていた役者の雰囲気も引き継いでいくことが大事だと思いますね。
横山 若杉(寛。広能の兄貴分)の役をやる向井地美音ちゃんっているんですけど、かなり映画を見たんだろうなってぐらい若杉ですね。
杉作 おおー! 僕はこの映画を中学生の頃に見て、それからずっと好きなんですけど、まさか横山さんみたいな日本を代表するアイドルから、自然に「若杉」って名前が出る時代が来るとは思ってなかったですよ! 当時は映画館に行っても女性はほぼいませんでしたから、今回信じられないことが起きてますね!
――登場人物の名前を言っただけで、そこまでですか!
横山 ほかのメンバーも『仁義なき戦い』について話してますよ。私は新開(宇市。山守組幹部)が好きで。
杉作 僕も新開ですよ!! いい趣味してますねぇ。
横山 かわいいですよね。木刀を持って出かけようとして「そんなの持ってたらバレちゃうぞ」って言われて、ズボンに隠すんですけど、脚が曲がらなくて転んじゃったり。それを小栗有以(ゆい)ちゃんってかわいいコがやるんです。新開のとぼけた感じと合ってると思います。
杉作 新開はクセの強い人物だから面白いでしょ。ちなみに新開の役の人(三上真一郎)は、僕の実家のある松山でメガネ屋の広告をやってましてね。メガネをかけて笑顔で鳥にエサをあげてましたよ。
杉作 これ、ラストシーンは映画と一緒ですか?
横山 そうですね。
杉作 じゃあ難しいでしょう? 映画は手持ちカメラを使って、キャメラマンが広能をアップで撮って話を終わらせるんですよ。でも舞台は横山さんの芝居だけでやらないといけない。文太さんだったら、「俺には無理だ!」と言ったでしょうね。
横山 ハードル上げますね。
杉作 広能の「山守さん、弾はまだ残っとるがよう」(モノマネ)は名シーンですからね。トチったら大変ですよ(笑)。
序盤の名シーン。主人公の広能昌三が土居組の組長、土居清を暗殺するシーンをふたりで完全再現です
横山 プレッシャーかけないでくださいよ(笑)。
杉作 もとの映画から何十年もたちますけど、これは現代でもあてはまる物語ですよ。人が集まったら必ずこういうことが起きる。最初はみんないいヤツだったのに、どんどん変わっていっちゃう。AKB48はここまで悪辣(あくらつ)なことはないでしょうけど、若干は仁義なき戦いはあったかもしれませんよ。
――総選挙だったり、センターをめぐっての争いとかありますもんね。
杉作 でも、この時代にAKB48が舞台化するということに驚きました。任侠モノはダメとかいう空気もあるじゃないですか。そんななかでやっていただけるのは素晴らしい! 僕ら東映ファンはみんな感謝してますよ!
あと『仁義なき戦い』を女性がやるっていうのが現代だなって思いますね。今は女性のほうが強いじゃないですか。これは歴史に残る出来事だと思いますよ! 監督の深作欣二さんが生きていたら、この舞台の演出もやりたかったでしょうねぇ。
――大絶賛ですね。横山さんはどうですか? 杉作さんからたくさんの話を聞いて。
横山 広能をやることがさらに楽しみになりました。杉作さんみたいに元の映画が好きな方にもぜひ楽しんでもらいたいですね。
杉作 そのために、ぜひ先ほどの本を読んでください! あとお願いなんですが、一緒に写真を撮っていいですか?
――ツーショットを求めるなんて珍しいですね。
杉作 今、松山のテレビで情報番組をやってまして、「今週の1枚」って、僕のコーナーがあるんですよ。でも、ネタがなくて毎回ラーメンの写真なんですね。この前ついに同じラーメンの写真を5枚出したら、ディレクターが困っちゃって......。
――杉作さんにまったく仁義がないじゃないですかっ!
杉作 でも、横山さんが出てくれたらチャラになると思うので、ぜひお願いします!
●横山由依(よこやま・ゆい)
1992年12月8日生まれの26歳、京都府出身。AKB48チームA所属。『横山由依(AKB48)がはんなり巡る 京都いろどり日記』(関西テレビ)などに出演中
●杉作J太郎(すぎさく・じぇいたろう)
1961年生まれ、愛媛県出身。漫画家、タレント、映画監督などマルチな才能を発揮。『痛快!杉作J太郎のどっきりナイト7』(南海放送ラジオ)、『もぎたてテレビ』(南海放送)に出演中
★48グループから人気メンバーが多数登場。博多座開場20周年記念 AKB48グループ特別公演『仁義なき戦い~彼女(おんな)たちの死闘篇~』は11月9日(土)~24日(日)福岡・博多座にて。
ラジオ、テレビで週7レギュラー! 愛媛県でブレイク中の杉作J太郎を直撃「温泉に行ってフルチンでいたら小学生に声をかけられるようになりました」
空前の「Jブーム」が到来中の杉作J太郎
吉田照美、大沢悠里、そして荒川強啓。ラジオ界のレジェンドたちと肩を並べる男が誕生した。その名は、杉作J太郎(すぎさく・じぇいたろう)。サブカル界のトップランナーが故郷の愛媛県で、まさかのブレイク中という。
そーいうことで、本人直撃ですっ!!
* * *
――ラジオ界のレジェンドといえば、月曜から金曜まで週5で帯番組を担当するのが必須条件! そんななか、J太郎さんのラジオ出演率は?
杉作 僕の場合はね、週7でやってますから!! いやー。もう本当に大変ですよ!
――いきなりレジェンド超えしてるじゃないですか!
杉作 ラジオは、月に一度くらい収録のときもあるんですけどね。基本は生放送です。あとね、4月からは日曜の朝にテレビのレギュラーもやってるんですよ。まー。どっちも南海放送だから放送地域は限られてますけどね。
――それ、地方とはいえ完全に超売れっ子ですよ! 確変入ってますよ!!
杉作 売れようなんて意識なかったですけど気づいたらそうなってたというか。
――そもそも、どうしてそんなことになったんですか?
杉作 きっかけは東京から、故郷の愛媛県松山市に移り住んだことですね。そして、「ラジオDJやりませんか?」といわれて2017年から始めたのが、土曜夜の生放送番組『MOTTO!! 痛快!杉作J太郎のどっきりナイトナイトナイト』(南海放送)。
これの聴取率がよくて、気づいたら月曜から金曜の帯番組に変更しないかと、打診されたんです。
5年かけて東京から荷物を運び込んだ、松山市の事務所兼アニメラボは、膨大な段ボールでカオス状態
――でも、東京での仕事もあったでしょ?
杉作 そうなんです。当時は、まだ東京の仕事も多かったから、時間をやりくりして、行ったり来たりしてました! それもクルマで移動だったから、何度も死にかけましたよ! だから、土曜も入れて週6の放送にしてくれって頼んだんです。それなら東京の仕事に未練なく、こっちに専念できますから。
そうしたらOKが出ましてね。週6なら、いっそ日曜もやったほうがいいんじゃないかって。それで今年の4月から『痛快!杉作J太郎のどっきりナイト7』(南海放送 @jtaro_night)として週7のラジオ放送が始まりました!
番組はradikoのエリアフリー機能(有料)を使えば、全国どこからでも聴けるぞ!
――ところで、どんなコンセプトのラジオ番組なんですか?
杉作 いやー。コンセプトとかないんです!
――ない!? 本当ですか!!
杉作 ないというとアレですが(笑)。週7でラジオをやるってのは業界でも前例がないほど大変なことですし。とりあえず、今までにない番組にしたいなと。
――今までにないとは?
杉作 型どおりの番組にはしたくないってことです。いや、大まかなテーマはありますよ! 月曜は音楽、火曜は健康、水曜は食べ物、木曜は流行、金曜はアイドル、土曜はフリー、日曜は取材モノみたいな。でも必要以上に縛られないというか。僕は先が読めないことをやりたいんです!
――成り行き任せだと?
杉作 そう! それです!! ええ、計画性ゼロです。
――自分で言っちゃったよ!
杉作 でも先が読めないのが面白いのは確かですね。昨日も「好きなふりかけ総選挙」というテーマで延々と盛り上がってましたから。
――それって、そんな盛り上がる話なんですか?
杉作 リスナーで大論争ですよ。2時間半語り尽くし、翌日まで続きました! ほかにも「高橋悦史さんの出ている映画の感想文大会」「俺の掟!」なども盛り上がりました。
――前々からのトークイベントと同じノリですね(笑)。
杉作 ラジオって、そもそもひとりで聴くことが多いメディアですから。普段、誰にも理解されず不満に思っていること、ひとりきりでこっそり思い悩んでいるようなことを扱いたいんですよ。と同時にはやってるもの、どこででも聴けるような音楽は断じて扱いたくない! 僕は地方局から中央の文化に対する挑戦状をたたきつけたいんです!
――なるほど。そこまで深く考えてるんですね。だけど、成り行き任せで、放送事故とかないんですか?
杉作 昨年の大晦日、『どっきり紅白曲合戦』って、僕が選んだ100曲をかける7時間の特番をやったんですよ。でも、僕がしゃべりすぎちゃって、かけられたのは30曲程度。あれはまいりましたね。
――そもそも7時間放送ってのがおかしいですよ! どんな曲をかけたんですか?
杉作 寺山修司、江本孟紀、つのだ☆ひろ、若山富三郎。そんな曲をかけたら、その人たちの話をしたくて仕方ないですよ。次回はせめて14時間欲しいです(笑)。ちなみに寺山修司は曲でなく短歌の朗読でした(笑)。
街中を軽トラ野郎として走り回るJさん。スターになっても庶民派です
――そんな挑戦的なラジオに加え、現在は毎週日曜のテレビ番組『もぎたてテレビ』(南海放送)にもレギュラー出演中なんですよね?
杉作 30年近く続く生放送の情報番組だから、僕でいいの?って思いましたよ。でも、ラジオの評判がよかったんで声をかけてくれたんです。いつもどおりのトークで構わないっていうので楽な気持ちでやらせてもらってます。
――さっき南海放送の館内に番組の視聴率が「8%から15%に上がった」って張り紙がありましたよ。すごいじゃないですか?
杉作 それは僕が入ったからなのかはわかりませんけど!
――でも、これだけ露出すると、お出かけ中に周囲がザワつくことも?
杉作 知らない人から話しかけられることは増えましたね。お寺でお年寄りの方から声をかけられたり、商店街で学生が近寄ってきて「ラジオを聴いてる」って話しかけられたり。温泉に行って小学生から「杉作さんですか?」なんて言われたりすると、フルチンなんで困ることもあるけど(笑)。
こうして、いろいろな世代から声をかけられると、頑張って生放送をやってるかいがあるなと思いますね。
――もう地元のスターじゃないですか! それにしても、なぜそこまで生放送にこだわるんですか?
杉作 やっぱりリスナーの助けになりたいって気持ちがあるからなんですよ。生じゃないと、本当に助けを求めている人がいても、すぐ対応できないし、あと気持ちも響かない気がするんです。
例えば、リスナーの中には、金がなくて困ってる人もいますよ。でも「俺、貧乏だから安い飯を教えてください」って他人にはなかなか聞けないじゃないですか。だったら僕が、安くてうまいものを紹介する。生放送だと、リスナーがそれをすぐに買いに行けるんです。それで喜んでもらえたら一番うれしいですね。
――なんか、いい話にまとめようとしてるんですか?
杉作 いやいやいやー。そんなことないんですけどね! ただ、僕、20歳のとき、病気で入院したことがあって、毎日身動きも取れないし、鬱々(うつうつ)としてたんです。で、そのときの唯一の楽しみはラジオ。すごく救われた気になったんですよね。
――数字どころか、愛媛県民の好感度も手中にするつもりじゃないですか! これって、ゆくゆくは地元から選挙に出るとか狙ってます?
杉作 だははは。それはないでしょー(笑)。もともと僕が地元・松山に戻ってきたのは自分の映画を撮ったり、アニメを作るためのスタジオを造るためだったんですよ。でも機材は高額だし、簡単に手に入らないので、頓挫しちゃった。だから、一生懸命ラジオやテレビの仕事を頑張ったら、いつか南海放送のカメラとか編集機材をタダで貸してくれるんじゃないかって(笑)。
――相変わらずの成り行き任せっぷりで安心しました。
杉作 でも最近ですね。カメラや編集機材をタダ借りしようってのを、局の人にうすうすバレてるんじゃないかと思うんですよね。だからね、このインタビューの掲載誌とか絶対に南海放送には送らないでくださいよっ!
――送りますっ!
●杉作J太郎(すぎさく・じぇいたろう)
1961年生まれ、愛媛県出身。週刊プレイボーイでもおなじみのサブカルおじさん。写真の南海放送正面ロビーの階段は、Jさんのイラストを全面プリント。空前のJブームが到来中!!