お隣の天使様ハロウィンネタ
2019年 10月31日 (木) 17:36
「お菓子くれないといたずらします」
十月三十一日。
急に真昼がそんな事を言い出して、今日がハロウィンだという事を思い出した。
あまりに興味がなくて頭からすっぽぬけていたのだが、どうやら真昼的には季節もののイベントはチャレンジしたいらしい。ナース服らしき服を身に纏っている。
どこからその衣装を調達したのだろう、と目を逸らしながら考えていると、真昼は反応が薄い周に少し不満げなようで周の隣に座って二の腕をつつく。
「……もしかして、ハロウィンをご存知でない?」
「いや普通に知ってるけど……」
「ではお菓子をください。拒否するなら悪戯です」
「お菓子なあ。はい」
側にあったリュックからたまたま学校の帰りがけに買って入れてあったミントガムを取り出してそのまま手渡すと、真昼が微妙に眉を寄せる。
「あった事にも驚きですが、ガム……」
「お菓子だろ」
「確かにそうですけど、これ甘味ではないですよね」
「糖類ゼロではないやつだから」
中には糖類ゼロを歌ったガムもあるが、これはきちんと糖類が入っているのでおやつ扱いでもいいだろう。
いたずらが出来ず非常に不服そうな顔をしている真昼に、今度は周が真昼に掌を差し出す。
「そういう真昼こそ俺におやつをくれるべきでは?」
「ふふ。私は悪戯されないようにちゃんと用意していますよ」
よくぞ聞いてくれたと言わんばかりな笑顔で取り出したのは、何やらカラフルな液体で満たされた注射器である。
といっても医療用のものではなく、注射器を模しただけのプラスチックケースと言ってもいい。先端は尖っている訳でもなく、液体を排出するための筒やその先の穴も大きい。
恐らく、中身は色つきの水飴だろう。
「仮装に合わせておやつもそれっぽくしました。薬のカプセル風のラムネもありますよ」
「そこは凝ってるんだな……」
「千歳さんと一緒に考えました。……ちなみに周くん、感想は?」
「ん、そりゃ可愛いよ。……可愛いけどさあ」
「けど?」
「……あんまりミニスカートなやつを選んでほしくないというか」
コスプレだからこそ本職では有り得ない丈やデザインとなっているのだが、少々刺激が強すぎないだろうか。
下着が見えるというものではないが、腿はそれなりに見えていて、スタイルのよい真昼が身に付けていると、なんというかいかがわしさを覚えてしまう。
確実に千歳の入れ知恵だ、と目を逸らしながらぼやくと、小さく笑った声が聞こえた。
「……似合いません?」
「似合うけど。……あんまり刺激的な服装をされると」
「されると?」
「俺が困るというか……俺より真昼が困るというか」
理性を飛ばしてスキンシップしかねないので、出来ればこういった服装は控えて欲しいといったところだ。
きょとんとした真昼に分かってなさそうだなと苦笑して、周は真昼の膝裏と背中に手を回して自分の腿の上に乗せる。
それから、顎を持ち上げて顔をギリギリの所まで近付けた。片手は支えで背中に回しながら、緩やかに腿を撫でて。
「あまりな格好だと、俺が触るぞ?」
「あ、う……そ、それは、仕方ない、というか」
「何だ、お触りをお望みだと」
「そうは言ってません! そういう事を言う周くんには甘いお薬の刑です」
赤らんだ顔で水飴入りの注射器もどきを周の唇に押し当ててくるので、周は抵抗する事なくくわえた。
少しだけ押し出されてきた水飴は、甘ったるい。極端に甘いものが好きという訳ではない周としては、好んで食べるような味ではなかった。
少し食べたところで、周は注射器もどきを真昼の手から奪って、机に置く。
それから、真昼の唇に噛み付いた。
「……っ、……んー!」
ガムはお気に召さなかったようなので甘ったるい味を真昼にも分かち合っておけば、唇を離した時にはへろへろの状態の真昼が出来上がっていた。
するりと太腿や背中を撫でるだけでびくびく体を震わせるので、何とも言えない色っぽさを感じる。実際はくすぐったがっているだけなので色めいたものはないのだが。
「……お菓子をあげたのにいたずらしないでください」
しばらく悶えていた真昼が息絶え絶えに呟くので、周はそっと笑って拗ね始めた真昼の機嫌を宥めに頭を撫で始めるのであった。
コメント
チキショー(笑)
いいぞもっと砂糖よこせ(・ω・)ノ
………ほっこり(照れッ(///ω///))