NEWS / HEADLINE - 2019.11.8

なぜ不交付撤回を求める署名は文化庁へ提出されなかったのか。ReFreedom_Aichiと参加者が会見

ReFreedom_Aichiは、11月8日に予定していた「あいちトリエンナーレ2019」への補助金不交付撤回を求める署名の提出を、急遽取りやめた。今回の決定について、ReFreedom_Aichiに参加するアーティストらが会見。また、提出に参加した有識者も会見を行った。

 

記者会見をするReFreedom_Aichiのアーティスト。左から高山明、藤井光、小泉明郎、加藤翼、白川昌生、大橋藍

 「あいちトリエンナーレ2019」への補助金不交付撤回を求める署名の提出が急遽取りやめられた。ReFreedom_Aichiは会見を開き、参加アーティストの小泉明郎と藤井光らが代表して報告を行った。

 小泉明郎によれば、ReFreedom_Aichiは、以前より宮田亮平文化庁長官への直接的な署名提出を文化庁に通達しており、そのための会議室の用意も打診していたという。

 だが、文化庁からは担当部署の受付で受け取るとしか返答がなく、会議室を用意することは、提出日の前日遅くにようやく連絡があった。実際に用意されたのは通路のような小部屋であり、また宮田長官は忙しく時間が取れないと通達された。こうした文化庁の態度は、10万人を超える署名を渡すにはあまりに誠意を欠いていると判斷、提出の見送りを決めた。

 藤井光は、提出時に、文化庁の担当者から新たに語られたことを発表。「これまで、審議官が不交付を決定したとされていたが、決定以前に文化庁のなかでミーティングをしていたことが明らかになった」と強調した。また、文化庁は、不交付の議論の進捗について宮田長官に報告していたとも回答しており、知っていたという点で宮田長官にも責任があると指摘。「どのような議論において挨拶の中止や不交付を決定したのか、プロセスを知ることがない限り、反対を署名した方々の理解を得られない」と見解を述べた。

 ReFreedon_Aichiは、不交付決定の実際のプロセスを知り、検討するために、今後も宮田長官との会合の場を設定するよう文化庁に呼びかけていくという。 

 なおこの日はReFreedon_Aichiのアーティスト以外にも、署名提出に賛同する識者8名が登壇した。

鳥取大学教授の野田邦弘

 文化庁の補助金採択の審査委員を務めており、補助金不交付を機に辞任した鳥取大学教授の野田邦弘は以下のように述べた。「自民党の憲法改正草案には『公益』という言葉が多用されている。国の方針が文化庁の事業全体に波及しており、単一の事象としてではなく、これまでに起こってきたことと一体で考えることが重要だ」。

 美術批評家連盟の林道郎は「文化庁の中には志のある人もおり、聞く所によれば今回の決定は寝耳に水だったという。文化庁の人にも内側から頑張ってもらえるよう、うまくコミュニケーションをしていければ」と、文化庁側との連携の可能性も示唆した。

 また、今回の参加者のメーリングリストがつくられることも発表され、次のアクションに向けて各団体が連携していくことが確認された。

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NEWS / HEADLINE - 2019.11.8

10万を超える不交付撤回を求める署名は文化庁へ提出されず。文化庁側の対応などを疑問視

本日予定されていた「あいちトリエンナーレ2019」への補助金不交付の撤回を求める署名の提出が取りやめとなった。

 

文化庁への署名提出前の様子(中央が藤井光、小泉明郎)

 11月8日にReFreedon_Aichiが文化庁に提出予定だった、「あいちトリエンナーレ2019」への補助金不交付撤回を求める10万を超える署名の提出が、急遽取りやめとなった。

 ReFreedom_Aichiは、あいちトリエンナーレ2019において展示中止作品の再開に向けて活動した参加作家らによるプロジェクト。この日は、小泉明郎や藤井光らが参加した。午前中に日比谷図書文化会館に集まった参加者は、それぞれの自己紹介を経て、12時より文化庁に移動を開始。文化庁到着後はオープンマイクを使用し、参加者がメッセージを伝えるパフォーマンスを行った。途中、乱入者などがあったものの、13時には予定通り、書面提出のため文化庁に入館。提出の様子は音声により外へ中継された。

 しかし文化庁が用意した部屋が手狭であり、もっと広い部屋を用意するよう提出側が要求したが応えられなかった。文化庁側は、提出側の質問に対し「ツイッターなどで噂として広まっていた情報をもとに不交付決定したわけではない」と説明。また「不交付についてはこれから検討していくので、まだ(今後について)具体的に決まっていることはない」と回答した。

 提出側は、撤回を決めた人物との対話も要求。しかし、文化庁側は個人ではなく庁としての判断であると回答し、議事録が存在しないディスカッションで決まったものだとした。会議で決定した事項であるかどうかの明確な言及を避けたかたちとなり、決定にいたるメモ等の記録の存在も不明瞭であるとされた。

 最終的に提出側は、文化庁側が署名を受け取る態度ではないと判断。参加していた小泉明郎は、「あまりにも小さな部屋だった、文化庁側が10万人の署名を受け取る態度にあると思えなかった」と語った。また、藤井光も「 不交付の決定プロセスが不明瞭だった、その調査を待つ、または促す必要がある」と述べた。

 詳細は、提出側が予定している記者会見で説明される予定。