治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

「社会の理解ガー」とは治るもカンカイも改善も両立しない理由

2018-12-09 11:43:28 | 日記
日曜日に持ってくるのはヘビーすぎる話題かもしれませんが373さんのコメントにあまりに感動したのでこの話題を。
まずは昨日の記事にいただいたコメントを貼らせていただきます。

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動的なプロセス (373)
2018-12-08 13:07:10
写真と動画では圧倒的に動画の方がデータ容量が必要になりますよね。
世界を過敏に捉え反射的に適応しているレベルの方は、脳の省力化が最優先課題となりますから、動的にものごとを捉えることはできず、我が子ですら静止画でしか捉えられないわけです。
さらに、「どうなるかわからない」状態は「悪い」状態よりもストレスがかかり、特に恐怖麻痺反射レベルの方にとっては期待して待つことは不可能となります。

思考停止の背景には、こうした過敏に基づく脳の空き容量のなさがあると考えています。正解があることは、それが適切かどうかでなく単に楽なこと、なんですよね。
やはり、弛むところから始めて、だんだん、どんどん、ですね。

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もうこれは膝を打ちましたね。

なるほど。「治る」っていうのは一次障害がなくなっていくという動的なプロセスであり「どんどん治る。だんだん治る」なのになぜ治るのが差別クラスタは一晩明けたら健常児、みたいなイメージでしか語らないのかと思ったら、彼らは動画を保存するほど脳みその容量がないんですな。
そして脳の省力化が最優先課題だとすると我が子ですら静止画でしかとらえられない。
そして「どうなるかわからない」ことに乗り出すエネルギーがない。
なるほどです。

最近花風社クラスタは栄養療法に熱心になりましたが、そして私自身効果を感じていますが、これは自分の身体だから変化がわかりやすい。ところがお子さんの場合にはいくら親御さんといえど自分の身体じゃないから、様子を見ながらやらないといけないし、プロテインだって鉄剤だってお子さんが受け付けないこともあれば別のものだと受け付けたりする。その試行錯誤をするエネルギーがないと乗り出せないかもしれません。それと極端にケチだと無理。たしかに飲まないサプリを買うのはもったいないですが、合っているものがあれば一生が変わってくるので、数千円数万円の被害で発達が変わる、一生が変わるんです。ここにケチるなよ、というのが私の方針です。まあ私くらい吸収力と基礎体力があって過敏性がないとわりと許容できるものが広くなるので、基礎体力づくり(内臓の力も含めて)を同時に進めると結果安上がりかもしれませんが。

そして以前から、「発達障害についてわかってください!」と「治す」は両立しない! と私は断固言っていたものであります。これは理屈じゃなくて本能で察知していた。「治る・治す」が嫌いだったら「カンカイ」でも「改善」でも好きな言葉勝手に使えばいいんですが、とにかく一次障害がよくなること、藤家さんが新刊で使っている言葉で言えば「障害に足を引っ張られなくなること」と「啓発活動」は両立しない。その理由がわかりました。

脳の容量、っていったって同じ人類で同じ日本人で同じような時代に同じような環境で生まれ育って同じような栄養状態で同じような学校制度のもとに育った花風社クラスタと猿烏賊の皆さんの脳容量に激しく変化があると思えない。ネアンデルタール人とホモサピエンスよりその差は相当小さいはずです。つまり、お互い限られた脳容量であれこれ回している(含私)。

でもそこで「社会が理解してくれたら」とか「事件報道は差別!」とかそっちに脳みそ取られると「改善」にも「カンカイ」にも回せなくなるんですね。そして社会の無理解ニュースには飛びついて仲間内で泥団子のようにこねて脳容量を使う一方で改善とかカンカイとかに使う容量はないし、ましてや「治る!」と喜んでいる異教徒を見ると静止画像しか浮かべられないもんだから何言ってるかわからない。

脳容量に自信のある人は治すことを目指しつつ啓発もやってみるといいです。
ごく普通の脳容量の人は、啓発活動すればするだけ改善もカンカイも治すもエネルギーが回らなくなるでしょう。

373さん、鋭いご指摘ありがとうございました。
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9 コメント

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脳の容量 (373)
2018-12-09 22:07:29
身体アプローチの優れたところは脳神経の発育促進はもちろんですが、それを前提として、反復された動きが小脳などに保存され、必要なタイミングで意図せず無意識に行えるようになることです。
つまり、脳の容量のうち、小脳など無意識の部分、言語以前の部分にどれだけ任せられるようになるかで高次脳容量の余裕と賢い無意識につながるのです。
金魚の反復によって弛緩する動きが小脳に保存されるから、緊張場面でもパニックになりづらくなるわけです。
ちなみに、小脳の容量は大脳よりも大きいと考えられています。

そして、そうなって初めて思考することができ、選択できるようになり、ビビッドに人生を謳歌できるようになるわけです。もちろん動的プロセスとなります。

脳の容量の使い方は、高次脳には余裕を持たせ、小脳など無意識部分の容量をいかに活用できるか、がポイントになるのです。そのための有効な方法が身体アプローチなのです。
栄養療法について (診断済み発達障害当事者)
2018-12-10 12:44:02
栄養療法的な発達障害へのアプローチについては、日本でもオーソモレキュラー(分子整合栄養医学)専門の医師はとうにやっています。アメリカではAmy Yasko氏が遺伝子レベルでの栄養療法をやっていて、日本でも鈴木淳さんという方がやっています。こちらはものすごくお金がかかるので、誰でもできることではありませんが、無料のウェブセミナーもあって、誰でも勉強することだけはできます。遺伝子変異によって自閉症者特有の問題があって、サプリメントの摂り方にも注意が必要なようです。

私は3年前に吉濱ツトムさんの本を読んで、発達障害者には低血糖症と栄養の問題が多いことを知り、自分で勉強してかなりの試行錯誤をしながら市販のサプリメント(日本製は薬事法の関係で含有量が圧倒的に少ないので(多いと薬剤扱いになるため)iherbで購入しています)を摂っています。お金はかかりますが、サプリメント代を余裕で稼げるようになるほど、頭も働くようになったし、情緒も安定し、体力もつきました。

栄養療法をきちんと理解するには、生化学や栄養学などの基本的な知識が必要ですが、一から勉強してみると、そもそも栄養が足りなければ神経伝達物質がつくられるはずがないということがよくわかります。この前提が整っていないと、いくら他のアプローチをしても上手くいかないのではないでしょうか。

浅見さんが以前に、身体アプローチをすると皆よくなっていくけれど、どんどん行動的になるタイプと、それでも体力的にいまひとつなタイプがあるというようなことを書かれていたように思いますが、栄養や低血糖の問題があると身体の使い方が上手くなっても体力が伴わないんじゃないでしょうかね。身体アプローチは外側からだけでなく、内側からも行うことが必要だと経験から実感しています。
糖質制限と肉食とサプリ (とと)
2018-12-10 17:49:19
以前は私は発達障害の本を大量に持っていたのですが、何年かまえに花風社さんの本とあとごく一部の花風社さん以外の本は断捨離しました
花風社さん以外の発達障害の本の多くは読むと気分が悪くなる本だったので捨ててよかった

花風社本以外で捨てないで残した数少ない発達障害本のひとつが、診断済み発達障害当事者さんが書いてる吉濱ツトムさんの本です
わたしは乳製品肉野菜卵魚介大豆が好きですがお米も好きすぎて、吉濱さんの勧める食事療法のうち、糖質制限は守れてないのですが、サプリは飲んでます。

ツイッターをやっている花風社の愛読者の間でも糖質制限とサプリがはやっていてなんだか嬉しかったです
栄養療法 (浅見淳子)
2018-12-10 18:24:09
栄養療法についてですが、私が自分で人体実験した実感として、お金はかかりません。別に大量の勉強もいりません。理屈が通ってます。その通りにするとたしかに快調です。逆に言うと高額な何かを請求するものはちょっと引っかからない方がいいんじゃないですかね。但し私は明らかに栄養不足からのスタートではなかったし、消化吸収力に不足もなかったので栄養不足から、あるいはそもそも消化吸収が苦手な身体の人は試行錯誤が余分に必要かもしれませんが。安価で効果がすぐ出る。それが栄養療法に今のところ私が抱いているイメージです。いや、安価どころか酒代が相当浮くのでむしろ黒字かもしれません(当社比)。
なぞの扉 (ねてまて)
2018-12-10 18:25:57
忙しいと判断力が鈍るように、同じ人間だから容量はそんなに違わないはず、なるほど、なっとく!このスッキリに扉を閉じてしまっている人が大勢いるのかも、と思ったらもったいないなーと思います。

食事、運動についても悪い方の情報は信じるのに、ためになる方まで信じてはいけないといってしまっている。ネットで調べるだけで、何人も食事とは関係ないと否定してしまっている人の記事をみかけた。
文章の流れはだいたい一緒で、親のせいではありません、育て方のせいではありません、食事のせいではありません。
このなぞの扉はやはり青いお札のために閉じられてしまったのでしょうか。
栄養療法について (診断済み発達障害当事者)
2018-12-11 15:05:56
糖質制限やサプリ摂取をする場合は、基本的に健康な人とそうでない人とでは、やはり同じに考えない方がいいと思います。

糖質制限にしても、ATP(エネルギーのもと)源であるブドウ糖が簡単に摂取できる糖質を減らすと、身体は糖新生ということを行ってエネルギーを作らなければならないのですが、脂肪や筋肉などの蓄えが少ない場合は、タンパク質や脂質の摂取量が足りなければ糖新生が十分に行われないので、エネルギー不足になりやすいです(補酵素となるビタミンやミネラルが不足しても同じです)から、痩せている場合はやり方に注意が必要です。

また、サプリ摂取も、たとえばアレルギーのある人はビタミンを大量に消費しますし(なので健康体の人と同じ量を摂っても効果は出にくい)、胃腸が弱ければサプリを摂っても十分に吸収されません。発達障害者はリーキーガットで腸内環境が悪い場合も多いそうです。なので、先にある程度、胃腸を丈夫にしておかないと、やみくもにサプリをいくら摂ってもたいして良くならないこともあります。

こういったことを考慮せずに、ただ糖質制限やサプリ摂取を試しても、逆に体調が悪化することがあるので、「栄養療法試してみたけど、良くならなかった。栄養療法なんて効果ないよね」となって、相変わらず、だるいだの、うつっぽいだの言っている人は結構います。たとえば、鉄は、胃腸が弱かったり過剰に摂取したりすると吸収されず、吸収されなかった鉄は悪玉菌のエサとなってかえって腸内環境を悪化させるそうです(経験済みです)。腸内環境が悪化すれば、セロトニン産生にも影響します。

オーソモレキュラー系の人たちが単に金儲け主義なのかというとそうとも思えなくて(国から補助金をもらっているわけではないので、ある程度儲けがないといけないのは当然かと思いますが)、ごく一般的な価格の本もたくさん出ているし、ウェブ上でも無料の情報がたくさん流れています。項目の多い血液検査(保険が効かないのでどうしたって高額になります)のデータから各個人にあった量を摂ることが基本ですが、普通の健康診断の血液検査データだけから、タンパク質やビタミンB群などの不足を読み取る方法を書いている人もいます。

そういうもので勉強するのはめんどくさいけれどお金ならある、という人は高額を払って相談すればいいってだけの話じゃないでしょうか。必ずしも、そういう人たちの本を読んだりサイトを見て勉強したりするだけで、高額を請求されるわけではないですし。「引っかかる」ということなのかどうかは、本人次第かと。「高額の相談料を取っている=金儲け主義=情報は信用できない、避けた方がよい」という図式は、ちょっと拙速でかなりもったいないような気がします。

私は相談に高額が払えるわけではないので、自分で無料や安価な情報を利用しています。花風社さんに対してと同じように、そういった人たちにも、貴重な情報を流してくれていることに感謝しています。そのおかげで人生変わるほど元気になったんですから。

ととさん、ご飯がやめられないなら、せめて、肉や野菜を先に食べてご飯を後回しにするとか、一緒にたくさんの食物繊維を摂ったり、しっかり噛んで時間をかけて食べたりすると、血糖値の上昇は多少はゆるやかになるようですよ。
医療と健康保険 (ねてまて)
2018-12-11 18:19:06
保険というと、生命保険を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?

健康保険と医療費について、ビタミン剤や漢方がどういう経過をたどってきたか、知っているとなんとなく、お金の問題については見えてくると思います。

今でこそ、外来で漢方薬が処方されたりしますが、昔は…。
今まで身近になかった療法が保険がきくようになるにはずいぶんゆっくりです。

世の中のスピードはそんなにのんきではないので、自分が理解できたり、試してよくなることは積極的にとりいれることが必要だと思います。特に親は、待ってられないですから。

ただ、信用できるか判断するときに、有名な人が、有名な病院がをやってしまうと親の目が曇ることがあり、Feだけでなくフェリチンをみるだけで大分違うのに、調べてくれる病院が少ない、これが一番分かりやすい気がします。

スクリーニングの方法を変えるだけなのに、全身検査を薦める病院をどう評価するかという考えもあると思います。
ゆるゆる糖質制限 (とと)
2018-12-14 21:24:14
診断済み発達障害当事者さん
アドバイスありがとうございます。
ごはんもイモもカボチャも好きでストイックな糖質制限はできそうにないのですが、ソフトなゆるい糖質制限は健康のために取り入れていくつもりなので、参考にさせていただきますね。
うつけしごはん (とと)
2019-02-18 12:47:19
おひさしぶりです。
浅見さんと花風社愛読者の皆さんがツイッターで推している「藤川理論」「うつけしごはん」や美味しくて割安なプロティンで、ゆるゆる糖質制限が成功しつつあります。

いままで何度も糖質制限は挫折してきて、わたしには糖質制限は無理なんだと思っていましたが、藤川先生の理論だと、普通の食事にホエイプロティンドリンクと鉄サプリビタミンサプリをプラスするやりかたでも実行できそうなので、やってみました。
普通の食事にプロティンを足したら栄養過多とカロリーオーバーで太ってしまうのでは?というのが心配だったのですが、ごはん(白米飯)は少量で満足できるし、プロティンが甘くておいしいのでお菓子を食べなくても満足できるし、栄養しっかりとってるのに太りませんでした。
夜しっかり眠れるし、気持ちがほどよく前向きになるし、運動したくなるし、疲れにくいしで、いいことづくめです。

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