治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

障害と個性

2019-01-12 09:16:51 | 日記
14日の読書会のため、赤本こと『自閉っ子、こういう風にできてます!』を読み直していて思い出したことがあります。詳しくは当日話しますがつれづれに書いてみますね。

私は当時、二人(ニキさんと藤家さん)が大好きだったなあ、ということ。
だからこそ二人と本を作りたいと思ったし。
いい子たちだなあ、と思っていたということ。
そして私が大好きだった部分は、あんまり障害とは関係なかったのですね。それが個性だったのかもしれません。

そして当時私はギョーカイに反発してもおらず、というか、新参者なのでえらい先生たちが「生まれつきの脳機能障害だから治らない」という以上それを素直に信じていたのです。
そして一方で、えらい先生たちは、自閉っ子たちと世の中の架け橋になるべく努力しているのだと思っていた。
まさか私が受けた法的被害一つ解決策を持っていないとは思ってもいなかったのです。
「ありのまま」「社会の理解ガー」を旗印に問題を先送りにするカンタンなお仕事しかしない人たちだとは思っていなかった。

でも今は無能さを知り
そもそも

・生まれつきの
の概念のもろさを知り

・脳機能障害
は神経発達障害になり

・治らない
はウソになりました。

じゃあ私は当時二人に治ってほしかったのかな?
大好きなのに治ってほしかったのかな?

当日はそのあたりから始めましょうか。

それにしても

自閉は身体障害じゃないか、と問いかける私にニキさんは「身体障害ですよ、自閉は」と答えている。

当時ニキさんもギョーカイとは仲良しだったんですが、っていうか萌えられてかわいがられていたんですが、えらい先生たち、具体的に言うとS山大先生やT井大先生が一向に身体感覚に興味を持たないことは愚痴ってました。ニキさんのいつもの不定愁訴みたいな感じで「あの人たち興味持たないよ~」みたいに。

でもさあ、ニキさんや森口さんを発見するまであの人たちの萌えの対象は外国人だったのです。『自閉症だったわたしへ』のドナウィリアムズとか。そしてドナさんはちゃんと身体感覚について書いてるよね。邦訳が単行本で出たのが1993年。そこに身体感覚のことはちゃんと載っていたはずなのにギョーカイ人は生きづらさが大好物だからそこにしか反応しない。

そして赤本が2004年。私はあれをギョーカイ人の萌えのために出したのではなく、気まぐれな身体感覚とそれのもたらす世界観のつながりについて知ってほしくて出したのに、ギョーカイ人は雨が痛い風が痛いという二人にきゅんきゅん萌えた。そして未だに言いふらしてる。

そして2013年、やっと感覚過敏鈍麻がASDの診断基準に入った。ギョーカイが重い腰を上げるのはここから。

2004年に二人の証言をきいて身体から手当した人たちはどんどんラクになっている。

だからね~

つねに当事者が最先端の情報を持っているんです。
ギョーカイに付き合ってたら20年遅れるよ。

読書会当日は障害と個性の話題から始めましょうかね。

13時に開場するので13:15くらいからゆるゆる始めます。
よろしくお願いいたします。
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大人の発達障害で気になること (ねてまて)
2019-01-12 17:59:49
読書会に参加できない私は、自宅で自主読書会をしようと2冊を読み返しています。

障害と個性で思い出したのですが、最近、企業の社内研修で、LGBT、ダイバーシティとからめて発達障害についてふれる研修が増えているようです。
多分お役所やギョーカイが資料を提供しているのだと思うのですが。

私が出た研修は、かなり短い時間で、表面的な説明、エジソン等の名前、能力を活かしましょう、脳の機能障害、生まれつき、治りません、診断は医師でないと、理解をーでした。

発達障害の人と仕事をする機会がこれから増えますよ、こういう特性の人がいますよ、どんな人にもそういう面はありますよね。伝え方を工夫しましょう、等々。

という流れなのですが、障害者雇用を増やすのは難しいなと他人事になりそうになって、はっとしました。

一緒に仕事をしたいと思える人を採用するわけなので、かえって逆効果なのでは?と。

魅力的な人もいる。性格の悪い人もいる。
でも、はっきりしていることは、今、企業は依存心の強い人は求めていないのです。啓発は障害の有無より重要なことを、見落としているのではないでしょうか?

個性ということや、魅力的な花風者の筆者の皆さんを思い出しながら、モヤモヤしました。
無視されてきた事実を認めてくれた (川添紀子)
2019-01-13 22:38:55
15年前くらいは、体力作りも就活も、的外れなことばかりして、くたびれ果てていた20代ミドルでした。自分が怠け者のように感じられて、自己嫌悪で一杯の日々を過ごしていました。

身体障害、考え方、感じ方のずれについてニキさん藤家さんのお二人に言及してもらい、また、浅見さんの職業観に触れ、努力の仕方、体力と就労へのアプローチを変えることで、あっさりと社会に出ることが出来ました。今までの自分はなんだったんだろう、と笑えました。

花風社の本を読み、言葉以前のアプローチをしていると、子供時代のことを良いことも悪いことも思い出します。

治らないと信じている人たちの考え方、言動は、私が小さい頃不具合を訴えても困った顔で笑って聞き流した周りの大人を思い出させます。病気になるまで放置した挙げ句、病状にしか対処しようとしない。

親兄弟、親類、学校の先生、看護師や医者(小児科、耳鼻科、歯科、整形外科、内科、婦人科)がみんな敵に見えた時期が長かったです。

私はかなり幼い段階で、彼らの常識に合わせた努力をするしか生きていく術はないんだと誤学習してしまい、思春期以降、自分の意思で人生を築いていかなくてはいけない段階で躓き、20代半ばまで苦しみました。

ニキさん、藤家さんはは自分の中で起きている出来事を、無視しないで素直な言葉で文章にしてくれました。大地君は子の異変を見逃さない大人に見守られながら素直に語り、こよりさんは見逃さずに見守った我が子の成長の経過を語る。

自分が無視して遣り過ごしてきた不具合は無視すべき事象ではなかったんだと判ったとき、私には治っていく道が見えました。

神田橋先生、栗本さん、南雲さん、灰谷さん、専門家の皆さんが語る治療へのアプローチは、当事者、親御さんが語る努力と出した結果へ裏付けを与えてくれます。

人ひとり一人の心身の内側で起きていることは、その人だけのもの。

育ちは、周りの皆と一緒でないと駄目なのではなく、社会に出る段階で帳尻が合っていれば良い。

成人してからだって取り返しはつく。自分の躓いたところから満たしていけば、なんとかなるよ。

花風社から出版される本を時代順に読み返してみると、浅見さんが出版しながら考え、学び、思い、感じたこと、伝えたい事が見えてきて泣けてきます。

遊ぶ金ほしさに仕事してないとツイートされてましたが本読んでたら伝わって来ます。

治らないと信じている人たちは、浅見さんほど当事者と向き合っていないし、勉強もしていないし、勉強は出来てたとしても、学んだ知識を当事者、親御さん、ひいては社会にに還元しようとしないんですよね。

浅見さんは、無視されてきた、当事者の中で起きている事実と専門的な視点を繋げて、誰にでもわかるように、しかもリアルタイムで、日本全国に、発信し続けてくれました。本当に有りがたかったです。

次の2冊が発達関連の最後になるとの事、寂しいよりも、発達の次は何かしら、と楽しみにしてます。

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