みなさんは公益法人と聞くと、どんなものをイメージするでしょうか?
公益とつくことから、なんとなく良いことをしてそうなイメージがありますよね
コトバンクによると公益法人の定義は以下のとおりです
"社会公共の利益をはかることを目的とし,営利を目的としない法人をいう。(中略)公益法人は公益を目的とするため税法上などの保護を受けることができるが,その設立のためには一定の要件をそなえた定款または寄付行為を作成したうえで主務官庁の許可を受けなければならない (許可主義) "
というもので、キモとなるのはやはり"社会公共の利益をはかることを目的"といったところでしょうか
であるならば、歴史を破壊しヘイトを蔓延させ社会を崩壊させる歴史修正主義団体とは最も縁が遠い存在のはずです。"主務官庁の許可を受け"られるわけがないはずなのです
(余談です。ときどきモラロジー研究所が「教育委員会後援」で講演していることが話題になりますが、あれは公益法人パワーによるところが大きい……と知り合いの教育関係者は語っていました。教育委員会的に公益法人の要請は断りづらいのだそうで。そもそもモラロジー研究所の問題点を知らない人には、公益法人の冠は安牌に見えるはず)
そうしたウヨい公益法人のひとつに、本日の主役「公益財団法人アパ日本再興財団」があります
アパ日本再興財団ホームページ
アパ日本再興財団とは
言わずと知れたヘイト企業、アパホテルグループ。そのヘイトと歴史修正主義の中核を担うのが、アパ日本再興財団です
アパ日本再興財団の具体的な活動のことをお話する前に、まずは「非営利法人データベースシステム」で概要をつかんでおきましょう
代表者:元谷外志雄
事業の概要:日本国民が自虐史観によって失った国に対する誇りを取り戻し、誇りある祖国である日本を成長発展させることを目的として、顕彰制度の企画運営、講演会・勉強会の企画運営及び関連書籍の出版を行う。
アパホテルグループの代表者である元谷外志雄さんについては皆さんご存知ですね。アパグループ発行の『アップルタウン』(http://apa-appletown.com/)において、「藤誠志」のペンネームでウヨい文章を書いていることでも有名です
もちろん安倍晋三さんの熱烈な支持者。リテラですが、元谷外志雄さんと安倍晋三さん及びその側近との繋がりが端的にまとまっている記事が↓(アパ日本再興財団が公益法人なことへツッコミを入れている記事ですので、その問題に興味がある方も是非アクセスを)
上記リテラの記事にもありますが、アパ日本再興財団が公益法人になったのは2015年6月25日。もちろん安倍政権下での許可ですが、そこらへんはあまり関係ないかな、と個人的には思います。なぜなら民主党政権のときに公益法人になったウヨ団体も多いからです(たとえば国家基本問題研究所の場合、2011年に公益法人化しています)
さて、事業の概要についてですが……えーと、なんというか、こんなので公益法人になれるんですね……という感想しかないです
で、概要で触れられている"顕彰制度の企画運営、講演会・勉強会の企画運営及び関連書籍の出版"についてですが……
アパ日本再興財団ホームページの財団概要(http://www.ajrf.jp/outline/index.html)によると、以下のとおりになります
(1)「勝兵塾」の企画運営
(2)「真の近現代史観」懸賞論文の企画運営
(3)「アパ日本再興大賞」の企画運営
では、まずは「勝兵塾」からいってみましょう
勝兵塾とは何か?
勝兵塾ホームページ
勝兵塾はアパグループの創業40周年を記念して2011年につくられたウヨい私塾です
ホームページにデタラメだらけの歴史観(http://shoheijyuku.com/kingendai)を披露してくれている親切設計なので、義務教育レベルの知識・知能があれば、こんな私塾にはまず近寄らないでしょう
勝兵塾では毎月毎月ウヨい識者や政治家を呼び、講演会を開いています。若者にウヨ教育をしようという目的っぽいですが、ネット上の感想を漁っている感じだと、たぶん塾生の多くが高齢者……(FAXでも入塾申込を受け付けていることからも、その平均年齢の高さがわかります)
元谷外志雄さんは勝兵塾の発足式において、
"本日発足した私塾『勝兵塾』を、数年後には全国1万人の塾生を擁する組織へと発展させ、いずれはこの国の総理を輩出したいと願っている"
……などという妄言を垂れ流していましたが、一般塾生からだとそれは無理無理無理
勝兵塾の概要については画像(http://shoheijyuku.com/wp-content/uploads/2019/10/tokutai_koushi_list_191007.pdfより)をどうぞ
画像からもわかるように、勝兵塾には「特待生」がいます。これはアパ側から「勝兵塾に入ってくれー」と要請し、それに応えた著名人のこと。いわば現代ウヨ名鑑としてもつかえるものですので、是非御笑覧頂ければと思います(特待生からだと総理の芽がある人も……いやーナイナイナイ、と言い切れないのが最近の日本の怖いとこら)
「特待生」ですが、とにもかくにも政治家の多さに目を引かれますね
衛藤晟一内閣府特命担当大臣や稲田朋美元防衛大臣をはじめ、極めてウヨい議員連中が名を連ねていますね。2019年9月11日発足の第4次安倍再改造内閣では5名の閣僚が勝兵塾の特待生です(もう辞めた人もいるけどね!)
気になるのは「あいちトリエンナーレ」の「表現の不自由展」ですごく真っ当な対応をしている大村秀章愛知県知事がいること。うーん、この……
さて、上の画像では特待生の他に、勝兵塾の顧問も掲載されていますね
勝兵塾顧問
・加瀬英明:外交評論家
・小堀桂一郎:東京大学名誉教授
・竹田恒泰:竹田研究会代表
・デヴィ・スカルノ:オフィスデヴィスカルノ代表
・佐波優子:戦後問題ジャーナリスト
・山元雅信:山元学校学長
みなさん有名なウヨなのですが、個人的には「志教育プロジェクト」でも役職者である山元雅信さんの存在が気になるところです
山元雅信さんが学長をつとめる「山元学校」(https://yamamotogakko.jp/)は、勝兵塾と同じく私塾です。一見するとただの異業種交流会の学校に見えますが、もちろんウヨ系。しかも「スピリチュアル」系のヤバいやつです
しっかり情報源を書いていて信用のできる個人ブログhttps://duckmole.exblog.jp/9066004/によると、山元雅信さんは統一教会の協力者なのだとか。おー怖
山元雅信さんと山元学校については、いずれ当ブログでも書く(……かもしれない)ので、このへんで
さて、勝兵塾の講演会が開かれているのは、東京・金沢・関西の3ヶ所です
東京での講演会(月例会)の模様はYouTubeにアップされています。どういう連中が勝兵塾で講演しているのか、ウヨ界隈の動向を知るのにわりと便利だったりするのでチェックしているウォッチャーも多いのではないでしょうか?
その東京の勝兵塾ですが、先頃記念すべき100回目を迎えたそうです
そのときの講師の名前と肩書きだけ書き写しておきます
勝兵塾(東京)第100回月例会(講師陣と質問者)
・イムティアズ・アハマド:駐日パキスタン大使館特命全権大使
・加瀬英明:外交評論家
・馳浩:元文部科学大臣・衆議院議員
・片山さつき:前内閣府特命担当大臣・衆議院議員
・斎藤成也:国立遺伝学研究所教授
・酒生文弥:在日本ルーマニア商工会議所会頭
・三ツ林裕巳:衆議院議員
・近藤建:武心教育経営塾塾長
ここで気になるのは国立遺伝学研究所教授の斎藤成也さん
斎藤成也さんは遺伝子研究によって日本人の起源を解き明かそうとしている研究者です
この人は真っ当な研究者のようですが、研究をウヨたちに曲解されて変に利用されないかが心配です
まあ勝兵塾についてはこんなもんでしょう
続いて「真の近現代史観」懸賞論文について見ていきましょう
「真の近現代史観」懸賞論文とは何か?
「「真の近現代史観」懸賞論文」及び「アパ日本再興大賞」公式ホームページ
「真の近現代史観」懸賞論文のはじまり
2008年4月、元谷外志雄さんが藤誠志名義で『アップルタウン』に発表していた文章が、『報道されない近現代史 戦後歴史は核を廻る鬩ぎ合い』(産経新聞出版)としてまとめられました
(ちなみに帯でこの本を推薦しているのは佐藤優さんです。やっぱりコイツは信用できねー)
「真の近現代史観」懸賞論文は、この『報道されない近現代史』の出版を記念して創設された賞です
ウヨい歴史修正主義的な作文(間違ってもアレらは論文ではありません)に賞を贈る……ものだったはずですが、第4回・第10回で最優秀藤誠志賞を受賞した作文は「少量の放射線なら体に良い!」と主張するトンデモ系原子力PAでした
さらに言えば、第11回受賞の草間洋一さんの作文では、近現代ではなく近世を扱っています
ウヨければなんでもアリ……それが「真の近現代史観」懸賞論文というわけです
なお、「真の近現代史観」懸賞論文で良い成績を残せば、前述した勝兵塾の特待生になれるそうです
田母神論文事件
「真の近現代史観」懸賞論文の名を一躍有名にしたのは、なんといっても第一回最優秀藤誠志賞です
2008年10月、第一回最優秀藤誠志賞(審査委員長・渡部昇一)が発表されるや国を巻き込んだ一大騒動へと発展しました
なぜなら受賞したのが現役の航空自衛隊トップ、しかもその内容が日本の戦争の侵略性を否定するものだったからです
作文のタイトルは「日本は侵略国家であったのか」
それを書いたのは、第29代航空幕僚長・田母神俊雄さんでした
作文では、ただ「日本は侵略戦争をしていない!濡れ衣なんだ!」と訴えていたばかりではありません
"濡れ衣"をきせたのはコミンテルン(国際共産主義運動の指導組織)であり、アメリカもまたコミンテルンによって操られていたという「コミンテルン陰謀論」が展開されていたのです
あまりにもあんまりな内容に、大バッシングの嵐が吹き荒れました。左側からは無論のこと、本来はウヨ的な立場のはずなのに「これはあまりにヒドイ」とばかりに田母神俊雄さんを叩く右派の歴史家もいくらか存在しました
その代表格が、つい最近『慰安婦と戦場の性』が英訳され国家基本問題研究所の賞をとった秦郁彦さんです
「慰安婦」問題でどれだけ杜撰な誘導をしようとも、さすがに古典的な陰謀論に与するわけにはいかなかったわけですね
秦郁彦さんは著書『陰謀史観』において、田母神作文で展開される数々の陰謀論を、
"いずれも以前から流布され、専門家の間ではなじみの話題"
と、昔からよくある陰謀論として斬り捨てつつも、
"受け売りが多いとはいえ、諸説をかき集めて一堂に並べたのはユニークな着想"
とも述べています
僕なんかは「たんにウヨいものにはなんでも食い付くウヨ系まとめサイト的な手法なんじゃねーの?」と思ってしまいますが、リアルでこの手法をやらかしたのは田母神作文が初だということでしょう(昔からウヨ陰謀論はこんな感じだった気もするけどなー)
ともかく、田母神作文はまさしく"古い陰謀史観に新たな生命を吹きこ"んだわけなのです
当時は麻生政権だったのですが、さすがの麻生太郎さんも陰謀論にまみれた人物を航空自衛隊トップにしておくわけにはいかなかったようで、浜田靖一防衛大臣はただちに田母神俊雄さんを航空幕僚長の地位から解任
しかし、野党はこの問題を追及、麻生政権に大きなダメージとなりました
そして田母神俊雄さんは自衛隊から去っていったのです
なお、田母神俊雄さんは「陰謀論だ!」との批判に対し、現在でも、
"そう批判する方がいるのは知っていますが、私は亡くなられた渡部昇一先生や小堀桂一郎先生がおっしゃっているのと同じ論を踏まえているわけです。間違っているとは思いません"
と述べています。ウヨ界隈がいかに陰謀論にまみれた世界なのか端的に表している言葉ですね
ちなみに田母神俊雄さんの作文はhttp://ronbun.apa.co.jp/images/pdf/2008jyusyou_saiyuusyu.pdfでダウンロードできます(僕の環境だとちゃんとダウンロードできないみたいです。残念)
田母神作文についてはいつか「覚えておくべき」カテゴリとしてブログに書こうと思いますので、このへんで切り上げます(田母神作文の元ネタになった航空自衛隊幹部学校幹部会発行の内部誌『鵬友』についても触れていきますよー。……いつか、時間ができたらね)
「真の近現代史観」懸賞論文歴代受賞者たち
第1回目にしていきなり麻生政権にダメージを与えた「反日」な懸賞論文ですが、その後も懲りずに現在まで続いています。ちなみに2019年現在の賞金総額は800万円(!?)です
元谷外志雄さんの話では、
"最近はレベルの高い方々からの応募が多くなり、応募総数は若干少なくなったものの、全体のレベルは上がっている"んだそうで
ここでは歴代最優秀藤誠志賞受賞者たちとその作文タイトルを見ていきましょう(どの作文も公式サイトからダウンロード可)
なお、肩書きは受賞当時のものとします
第1回(2008年)
田母神俊雄:第29代航空幕僚長
「日本は侵略国家であったのか」
第2回(2009年)
竹田恒泰:慶応義塾大学講師
「天皇は本当に主権者から象徴に転落したのか?」
第3回(2010年)
佐波優子:キャスター・戦後問題ジャーナリスト・陸上自衛隊予備自衛官
「大東亜戦争を戦った全ての日本軍将兵の方々に感謝を~9年間の遺骨収集を通じて感じたもの~」
第4回(2011年)
高田純:理学博士・札幌医科大学教授
「福島は広島にもチェルノブイリにもならなかった」
第5回(2012年)
一色正春:元海上保安官
「中国の狙いは尖閣だけではない」
第6回(2013年)
松原仁:衆議院議員・元国務大臣(国家公安委員会委員長・内閣府特命担当大臣)
「我らが日本!「三つの敗戦」から
脱却して力強い国家を」
第7回(2014年)
杉田水脈:衆議院議員・次世代の党国対副委員長
「慰安婦問題とその根底にある
報道の異常性」
第8回(2015年)
ケント・ギルバート:米国カリフォルニア州弁護士
「日本人の国民性が外交・国防に及ぼす悪影響について」
第9回(2016年)
西鋭夫:モラロジー研究所教授・スタンフォード大学フーヴァー研究所教授・Ogawa Fellow
「美学の國を壊した明治維新」
第10回(2017年)
稻恭宏:東京大学医学博士(病因・病理学/免疫学)
「日本は低線量率放射線医科学によって復活し人類と地球を救う」
第11回(2018年)
草間洋一:文明工学研究家
「近世日本のダイナミズム―日本文明を再考する―」
いかがでしょうか?
中身など検分せずとも、タイトルや受賞者だけで「真の近現代史観」懸賞論文のウヨウヨな実態がわかったかと思います
さらに中身を読めば、「えっ、こんな文章で高額な懸賞金ゲットできちゃうの?」と思うはずです(嘘だと思うなら公式サイトからどれかひとつをダウンロードして読んでください)
「作文レベルの文章で受賞できるのが実態なら、俺もウヨいもん書いて賞金ゲットだぜ!」と思う人もいるかもしれませんが、この懸賞論文はウヨい仲間にお金を与えるのが目的だと推察されますので、たぶん無理かと(あ、学生部門ならワンチャンあるっぽいですよ?)
惜しくも最優秀藤誠志賞に選ばれなかった優秀賞、佳作にも多くのメジャーウヨ・マイナーウヨがごろごろいますので、公式ホームページを見て気になった人名があれば検索すると良い暇潰しになると思います
第12回(2019年)受賞者たち
2019年10月3日、第12回「真の近現代史観」懸賞論文の受賞者が発表されました
審査員は以下のとおり
加瀬英明:審査委員長・外交評論家
伊藤隆:東京大学名誉教授
小堀桂一郎:東京大学名誉教授
小松﨑和夫:報知新聞社前会長
今村雅弘:衆議院議員
わりといつものウヨさんたちですが、「まだ東北で、あっちの方だったから良かった」発言で復興大臣を更迭された今村雅弘さんがいるのがニクイですね
で、受賞者は以下のとおり(学生部門は割愛)。簡単に受賞者の説明もしておきます
最優秀藤誠志賞
村島定行:鹿児島大学名誉教授・日本会議鹿児島会長
「平成日本は精神的に独立していなかったために没落した」
村島定行さんは「修学旅行で南京市の虐殺記念館なんかに行くな!」という陳情を行っていた工学部教授ですね。当時の肩書きは「新しい歴史教科書をつくる会」鹿児島県支部支部長です。現在、日本会議所属ということは「つくる会」分裂のときに乗り換えたのでしょうか?
肝心の彼の作文はというと、「緊縮財政にNO!」という部分と「自虐史観だから平成日本はダメになった!自虐史観から脱却すればデフレもなおる!!」という部分の二本柱です
前者はともかく、後者はどういう論理なのか読んでて意味がわかりませんでした
「大和魂があれば竹槍でB-29だって落とせらぁ!デフレだって克服できらぁ!!」的な精神論なんでしょうね、たぶん
優秀賞(社会人部門)
小川榮太郎:文藝評論家
「令和日本 ― 國體が耀く時代をどう作るか」
有名ウヨなので説明は省きます
佳作
青柳武彦:元国際大学教授
『ルーズベルトは米国民を裏切り 日本を戦争に引きずり込んだ』や『日本人を精神的武装解除するためにアメリカがねじ曲げた日本の歴史』などの陰謀論本の著者
講演依頼.comによれば、青柳武彦さんの主要な講演テーマのひとつに「体罰はなぜ必要か(発達脳科学的教育論)」というものがある。しかし、彼はもともとビジネスマンで、脳についても教育についてもド素人です(もちろん歴史学もね!)
奥本康大:一般社団法人「空の神兵慰霊顕彰碑護持会」代表理事
出光興産(『海賊と呼ばれた男』)出身。髙山正之さんとの共著『なぜ大東亜戦争は起きたのか? 空の神兵と呼ばれた男たち』(奥本實名義)がある。なお、この本は古典的なルーズベルト陰謀論です
父である奥本實元陸軍大尉(落下傘部隊「空の神兵」を率いていたんだそーな)の部隊を褒め称える活動の他、「史実を世界に発信する会」、「二宮報徳会」、「千葉正論の会」共、「新しい歴史教科書をつくる会 千葉支部」などで役職をつとめている、比較的メジャーなウヨですね
加藤健:「アジア調査機構」代表
「アジア調査会」という名前の立派な団体があるが、それとはもちろん別物。また、「アジア調査機構」なる団体は存在が確認できませんでした。おそらくそれっぽい雰囲気づくりのために名乗っているだけかと
加藤健さんはウヨ出版社の展転社から『朝鮮総連に破産申立てを! 血税1兆円以上が奪われた』を刊行しており、今回応募した作文はその"要約のような内容"なのだそうな
上のURLを踏めばわかるように、朝鮮学校も攻撃対象としており、極めて悪質なヘイター。自身のブログ読者を「在宅ロビー活動にご参加いただいている皆様」と呼び、世界各国(!?)に反北朝鮮メールを送るよう促したりしています
文章の感じから、また、完全にアッチの世界に行っちゃってる陰謀論者の菅沼光弘さんと対談してキャッキャッしている(http://kenkato.blog.jp/archives/72792724.html)あたり、加藤健さんも妄想の世界の住人なのかな、といった印象です
清水裕介:アパグループ首都圏CM事業部
あー、業務の一環の作文っすね。ご苦労様です
高橋富代:尾崎行雄記念財団・咢堂塾運営委員/元下田市議会議員
2012年、2013年、2019年と佳作続きな人
統一教会系ネットメディアのviewpointで連載している(高橋富代さんの個人ブログの転載)
2019年11月4日現在、彼女のホームページで投稿した作文が読める。タイトルは「最終通告:日本政府よ、ただちに海上保安庁を増強せよ!」
また、以下のような作文も……
"あえて言う、NHKを叩き潰せ"
"NHKの放送事業は、韓国の文化侵略による日本人解体であると肝に銘じよ"
高橋富代さんのようなウヨが加わっているせいか、"健全な有権者・リーダーの育成を目的"とした尾崎行雄記念財団・咢堂塾では、講師に池田信夫さんやペマ・ギャルポさんなどの有名ウヨが混ざっています。「憲政の神様」とはなんだったのか……
田中稔:研究者
本人特定できず
知念章:「グッドニュース沖縄」編集長
元防衛省の技官。ウヨ界全体ではそこまでの知名度はないですが、沖縄ウヨ界ではそこそこ有名な人です
『基地反対運動は嫌いでも沖縄のことは嫌いにならないでください』『頭に来てもサヨクとは戦うな』などの著作の他、以下のウヨ団体を設立・運営しています
沖縄問題ドットコム
護佐丸リラーニングサポートhttps://gosamaru.net
知念章さんにはネット起業家としての一面もあり、『ネット活用で一生型収入を実現させる方法』『ストックビジネスでお金と自由な時間を手に入れる方法』といった著作もあります
彼は"ネット活用で一生型収入を実現させる"ためにウヨの道を選んだのでは……?
中村敏幸:近現代史研究家
第5回、第8回で優秀賞(社会人部門)だった人
第5回作文
第8回作文
作文を読むと、ルーズベルト陰謀論やWGIP陰謀論などの陰謀論にまみれたヤベエ奴だとわかります
第5回のラスト数行はトンデモ学問「文明法則史学」風味で、これまたヤベエ
中村敏幸さんは「新しい歴史教科書をつくる会」東京支部幹事として精力的に活動されているそうですね……
松木國俊:「朝鮮近現代史研究所」所長
5回目の佳作
松木國俊さんはもともと豊田通商(トヨタグループの総合商社)で韓国を担当していた商社マン。「新しい歴史教科書をつくる会」の地方支部を中心に、日本会議地方支部でも活躍するウヨです。地方支部レベルで地道に活動しつつ、ウヨ雑誌に定期的に寄稿しています。「慰安婦の真実国民運動」「国際歴史論戦研究所」http://payoyomaru.livedoor.blog/archives/17557233.htmlでも役職者をつとめています
なお、「朝鮮近現代史研究所」は松木國俊さんの個人事務所であり、加藤健さんの「アジア調査機構」と同様、それっぽい雰囲気づくりのための名称にすぎません
山下英次:大阪市立大学名誉教授・経済学博士/国際歴史論戦研究所(iRICH)所長
5回目の佳作受賞
「新しい歴史教科書をつくる会」理事をつとめており、「不当な日本批判を正す学者の会」事務局長、「国際歴史論戦研究所」の所長でもある
国際歴史論戦研究所は最近できたばかりの団体ですが、以前からウヨの「慰安婦」問題に関わっていた連中が勢揃いしており、活動自体に新味はありません
アパ日本再興大賞とは?
「アパ日本再興大賞」は、「真の近現代史観」懸賞論文に派生して2018年からはじめられた大賞です
なんと大賞の賞金は1000万円。特別賞は50万円です
「真の近現代史観」懸賞論文が公募だったのに対し、すでに刊行された書籍や論文が賞の対象となります
書籍や論文は、過去5年間に刊行されたもののなかから推薦人の推薦を受け、そこから事務局による一時審査を経て、審査委員会の最終選考を受けることとなります
詳しくは実施要項から
記念すべき第1回の審査委員は、
審査委員長:加瀬英明
審査員:小堀桂一郎、小松崎和夫、原田義昭
原田義昭前環境大臣は韓国大統領の名前を、統一教会の教祖である「文鮮明」と言い間違えたことのある人ですね(https://hbol.jp/192390)。そのことからもわかるように、多くの統一教会系団体と関係があり、それでいて少しも恥じることのない豪傑ですね(https://hbol.jp/204962)
そんな審査員たちが「アパ日本再興大賞」第1回選んだのが、
大賞:江崎道朗『日本は誰と戦ったのか コミンテルンの秘密工作を追及するアメリカ』(KKベストセラーズ)
特別賞:小川榮太郎『天皇の平和 九条の平和 安倍時代の論点』(産経新聞)
特別賞:高田純『誇りある日本文明』
……といった結果になりました。小川榮太郎さんと高田純さんは、「真の近現代史観」懸賞論文のほうでもお金をもらっていますよね。本当にウヨはお金をポンと出してくれるスポンサーがいて羨ましいです
コミンテルンハンターこと江崎道朗さんについては、前回の「歴史チャンネル」においてある程度詳しく説明していますので、そちらを参考にしてください。一言で言えば、ガチの日本会議な人です
第2回アパ日本再興大賞
2019年10月23日、第2回アパ日本再興大賞の結果が発表されました
第2回アパ日本再興大賞の審査員は、同年の第12回「真の近現代史観」懸賞論文審査員と同じです
(加瀬英明、伊藤隆、小堀桂一郎、小松﨑和夫、今村雅弘)
厳正な(?)審査の結果、
茂木弘道『大東亜戦争 日本は「勝利の方程式」を持っていた!』(ハート出版)
阿羅健一・杉原誠四郎『対談・吉田茂という反省 憲法改正をしても、吉田茂の反省がなければ何も変わらない』(自由社)
……の2作品が甲乙つけがたく(笑)、両方に日本再興大賞優秀賞(賞金500万円)与えることに決定したそうです
なお、最終選考にノミネートされた作品はもうひとつありまして、
木佐芳男『「反日」という病 GHQ・メディアによる日本人洗脳を解く』(幻冬舎)
では、ここでも皆さんのことを軽く紹介しましょう
木佐芳男
木佐芳男さんは元読売新聞の人。1999年からフリーランスになり、『<戦争責任>とは何か』などの本をポツリポツリと書いていました。決して著作は多くはなく、『「反日」という病』が久しぶりの著書になるみたいです
その主張は"日本国憲法が一度も改正されていないのは、戦後の日本国民がマインドコントロールから解放されていないからだ"という実に香ばしいもの
茂木弘道
「史実を世界に発信する会」として海外の研究者に歴史修正主義な怪メール(モテキメールとして恐れられている)を送りつけている人
「世界出版」代表、「国際歴史論戦研究所」理事、「史実を世界に発信する会」代表代行(代表:加瀬英明)、「放射線の正しい知識を普及する会」事務局長(代表:加瀬英明)、「慰安婦の真実国民運動」幹事(代表:加瀬英明)
……と、いった具合に、加瀬英明さんの子分のような印象の人
アパ日本再興大賞審査委員長の加瀬英明さんについてきて良かったですね!おかげで500万円ゲットですよ!
阿羅健一
阿羅健一さんは「南京戦の真実を追及する会」の会長をつとめる、南京大虐殺否定論の中心的存在です
『正論』誌上での1年間にわたる連載と『じゅん刊 世界と日本』(内外ニュース)1985年1月5日号をまとめた『聞き書 南京事件ーー日本人の見た南京大虐殺』(図書出版社、1987)で名を上げました
なぜなら『聞き書 南京事件』は「虐殺は知らなかった」という証言ばかりを集めたものだったからです
罪が暴かれるのを恐れる人、虐殺を虐殺と認識していなかった人、本当に知らなかった人などもいたでしょうが……。なかには証言をねじ曲げられたり(佐藤振寿さん、松本重治さん)、「南京大虐殺はあった」と証言してしまった(佐々木元勝さん)ため単行本に未収録となった人もいました
『聞き書 南京事件』は阿羅健一さんのバイアスがかかりすぎているため、はっきり言って役に立たない代物ですが、そんな本を装いも新たに2002年に復活させたのが小学館『「『南京事件』日本人48人の証言」』です
なお、『「『南京事件』日本人48人の証言」』では松本重治さんの証言は削除されています
阿羅健一さんは都合の悪い証言を切り捨て、自説に都合の良い証言(ねじ曲げたものも含む)だけを取り上げるウヨ☆トリック「切り取り」の使い手なんですね
そして2018年『「『南京事件』日本人48人の証言」』を英訳し、Web上で公開したのが加瀬英明・茂木弘道の「史実を世界に発信する会」です(翻訳者はグローン摩野)
なお、↑のブログは「南京の真実国民運動」という「新しい歴史教科書をつくる会」内にある団体です。ここはもちろん阿羅健一さんと連携した動きをしています
杉原誠四郎
前「新しい歴史教科書をつくる会」会長。「国際歴史論戦研究所」会長。「史実を世界に発信する会」顧問
優秀賞受賞作と同じく自由社より出版された杉原誠四郎さんの著作『外務省の罪を問う』(2013)の序文は、アパ日本再興大賞審査委員長の加瀬英明さんが書いています
そもそもアパ日本再興大賞審査委員長の加瀬英明さんは、「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を発行していることでも知られる自由社の社長さん……
おわりに
以前お伝えした国家基本問題研究所の「日本研究賞」と同じく、どう見てもウヨ仲間への利益供与を目的としているのが、「真の近現代史観」懸賞論文でありアパ日本再興大賞です
歴史修正冊子(『本当の日本の歴史 理論近現代史』等)をホテルの部屋に置くなど、アパはグループとしてもウヨ道を邁進しています(https://biz-journal.jp/2017/01/post_17859.html)
アパの極右的な性向や、それを公益法人として日本政府が支援していることなど、来年のオリンピックを良い機会にもっと世界中に広がればいいな、と思います
「アパを世界に発信する会」でもつくろうかしら