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【プロ野球】

相手の自滅、だけじゃなかった!侍ジャパンの『四球力』 押し出しで追い上げ決勝点…冷静なる“セパ四球王”

2019年11月6日 紙面から

8回裏1死満塁、近藤が押し出しの四球を選び、喜ぶ

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◇龍の背に乗って <侍ジャパン編>

 滞留していた試合を一気に動かしたのは、侍ジャパンの四球力だった。計12四球。逆転した8回だけで7四球。ベネズエラ投手陣の自滅に見えて、それだけではない。荒々しいパワーピッチに、冷静さを失わなかったからこその6得点だった。

 1点差に迫る1死からの押し出しは代打の山田哲。菊池涼の同点打をはさんで、決勝の押し出し点をもぎ取ったのが近藤。この2人は今季のセパの四球王でもあった。山田哲が110、近藤が103。彼らはフルスイングしながら、選球眼は乱さない。この試合でもそうだった。

 無死一、二塁からマウンドに上がった右腕・ビスカヤは、変化球でストライクを取れていなかった。満塁となり、フルカウントにいたる3つのボール球はすべてカーブ。高めに外れたストレートに山田哲のバットは止まった。近藤もフルカウントからの内角高めへのストレートを見極める。今季パ・リーグの最高出塁率(4割2分2厘)に輝いた好打者は、何と4個目の四球でもあった。

 この2人と4番の鈴木(103個)の3人だけが、今季のNPBで大台を突破した四球力の持ち主だ。さらに7番には四球王常連の丸が控えており、8回も好機を広げる四球ととどめを刺す押し出しの2つをむしり取っている。安打数でベネズエラを下回りながら、土壇場で息を吹き返せたのは序盤から出塁を続け、重圧をかけてきたからだろう。

 「四球を選ぶところはしっかり選んで後ろにつなぐ。(無死一、二塁から)松田選手がバントを失敗(一飛)しましたが、その後の打者が四球でつないだ。あの気持ちが大逆転につながった」

 稲葉監督は松田のミスを救い、山田哲に満塁のチャンスを用意した会沢の四球を評価した。受け身に回り、苦しんだ先の粘りと執念。侍ジャパンの強さがにじみ出た四球力だった。

 (渋谷真)

 

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