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【プロ野球】

街を歩けばすぐに…「選手と同じ位サインを(照)」侍ジャパン井端コーチが“台湾”で人気のワケ

2019年11月8日 紙面から

5日のベネズエラ戦で、戦況を見詰める稲葉監督(右)と井端コーチ=桃園国際野球場で(今泉慶太撮影)

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◇龍の背に乗って <侍ジャパン編>

 台湾の街を歩けばすぐに話し掛けられる。その人気は侍ジャパンのコーチの中では群を抜いている。

 「選手と同じくらいサインをお願いされるんですよね」。照れ笑いで答えたのは、井端弘和内野守備走塁コーチだ。人気の理由はわかっている。2013年3月8日。台湾の野球ファンに井端の名を刻み込んだ日だ。第3回WBCの2次ラウンド・台湾戦(東京ドーム)。1点を追う9回、2死一塁で打席が回ってきた。侍の歴史に輝く「井端の同点打」である。

 初球のど真ん中のストレートを、井端は見送った。走者の鳥谷がスタートを切ったからだ。

 「そうそう。走ったのが見えたから振るのをやめたんです」。あと1人。自分とは別にドローンからの映像があるかのように、井端は球場を俯瞰(ふかん)していた。走ったことだけでなく「たぶんセーフになる」と見切った上で1ストライクを捨てた。ボールをはさんで3球目を空振り。「あと1球」に追い込まれながら、井端は手応えを感じていた。

 「あの3球目、引っ張りにいっちゃったから。あれで思い出せたんですよ。もっと内角に壁をつくらなきゃって」。4球目を冷静に見送って、カウントを整える。運命の5球目。井端は打つ方向だけでなく、落とす位置まで決めていた。

 「外野が前進守備だったから、普通にレフトやライトに打ったんじゃ(鳥谷が)かえってこられないなと。少し詰まり気味で、センターの横あたりにと。まあ、集中していたんでしょうね」

 起死回生の同点打を、中堅左に落とした。ベストナイン(DH)に選ばれた大会は、準決勝でプエルトリコに敗れ、3連覇を逃した。

 「あのときが台湾からプエルトリコで、今回が逆。不思議な感じがしますけど、今のチームの雰囲気は日に日によくなっていますよ」

 選手としては果たせなかった世界一の夢を…。コーチになった今も、侍の誇りを胸に宿している。

 (渋谷真)

 

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