成蹊大学法学部教授がたどり着いたドキュメント共有ツールの決定版。塩澤一洋先生が語るScrapboxの魅力

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Nov 7 · 6 min read

ドキュメント共有サービス「Scrapbox」の熱心なユーザーとして知られる、成蹊大学法学部教授の塩澤先生。
以前からNota Inc.が開催してきた情報交換会「Scrapbox Drinkup」に幾度となく参加・登壇いただき、Scrapboxの有効な利用方法を語っていただきました。
今回は大学にお邪魔して実際にScrapboxを使った授業とゼミを見学させていただくと同時に、改めてScrapbox導入の経緯や教育現場における効果などをお聞きしました。

塩澤一洋先生

成蹊大学法学部教授(民法・著作権法)・政策研究大学院、多摩美術大学、慶應義塾大学総合政策学部非常勤講師・写真家 Twitter


「教育をITでより良くしたい」好奇心でScrapboxを授業で導入

塩澤先生が大学の授業でScrapboxを使おうと思った理由を教えてください

「大学で法律を教えるようになって21年目になりますが、当初から教育をITでより良くすることに挑戦してきました。『より良く』というのは、学習のハードルが下がり、よりラクで楽しくなるということ。その時々で自分が注目するツールを取り入れては効果を測ってきました。教育に対して何か特別な問題意識を抱いていたというわけではなく、ITに対して常に抱いている純粋な好奇心が強いですね。」

Scrapboxを使い始める前にどのようなツールを試しましたか?
「chatworkやFacebook、WorkFlowyなどなど、覚えていないくらいいろいろ試しました(笑)。しかし、2017年2月にScrapboxを導入してからはScrapbox一筋です。」

Scrapboxを導入したときの学生さんの反応はいかがでしたか?
「みんなすごくポジティブでしたよ。ネガティブな反応はまったくなかったと思います。むしろみんな前のめりにどんどん使って「すごい、すごい!!」って感動していました。というのも、新しいツールを導入する際、必ず私自身が徹底的に使い込んだうえで、従来のツールでやっていたことが同じようにできるのか試すんです。また、もし同じ手順でできない場合、別の方法でどのようにできるのかも検証します。学生たちが困る前に、目の前にある“つまづきそうな石”はすべてどけておいた、ということですね。」

なるほど。Scrapboxを教育現場で使うことを考えたとき、機能面で厳しいと感じるところはなかったですか?

「Scrapboxの機能はシンプルですが、ツールとしての完成度は非常に高く、特別な問題はありませんでした。ただ、導入した後でテキストにアンダーライン引けないという致命的な問題に気付いたんです。ゼミの中で司法試験や司法試験予備試験の論述試験の過去問を使うことがあり、問題に「下線部について〜」と書かれていることも多いため、アンダーラインが再現できないと問題を貼り付けることができません。しかし、それはNota Inc.さんに要望を出したらすぐに対応してもらえました。他にもTwitterで「もっとこうだったらいいのにな」とつぶやくだけで機能改修してもらえたことも多々あり、対応のスピードも素晴らしいと思います。」

Scrapboxにより学生のactivityが活発に。教育のインフラとして最高

Scrapboxを導入したことで授業に何か変化はありましたか?

「学生同士が対面で議論をする中で、ジェスチャーや表情、声色も伴った『言葉のコミュニケーション』と、Scrapboxによる『文字言語のコミュニケーション』という2つのコミュニケーションチャンネルを同時に使えるようになりました。会話しながらScrapboxでも書いていく……同じ人と2つの受話器を使って同時に違う言語で話しているみたいな感覚です。」

それは学生にとってどのようなメリットがあるのでしょうか?

「私は以前から学生たちに『喋る言語と書く言語は別ものです』と伝えてきました。法律の条文を扱ううえで、例えば言葉を定義して深く理解するということが非常に重要です。頭の中でなんとなく考えたとしても、それは“考えたフリ”にすぎません。『本当に考えた量は、書いた文字数で決まる』と考えています。『思考』をアルファベットで『shikou』と書いて、iをoに換えると『shokou(書考)』……書くことではじめて本当の意味で考えたと言えるのではないでしょうか。Scrapboxにより“書考”の足跡を他者と共有でき、コミュニケーションを通して学生全員の知恵の体系として醸成していきます。」

本日はありがとうございました。最後に、塩澤先生が考える「理想の授業」とはどのようなものでしょうか?

「授業とは『業』を『授ける』と書きます。業とは『activity(アクティビティー)』。教員ではなく学生がいかに多様なactivityをするかが大切です。個人のactivityがクラスやゼミという『community(コミュニティー)』に貢献している状態が理想的な姿。そこを成績評価の基準にもしていて、期末には『私はこれだけクラスやゼミに貢献をしたからこれくらいの評価が妥当だ』と自分で論述してもらっています。activityが活発に行われる理想のゼミを実現するために、Scrapboxはもはや不可欠の存在。多分これ以上のツールは他にないのではないかと、現時点では思っています。教育のインフラとして本当に最高。全世界の教育現場で導入されることを願い、今後もその魅力を発信していきたいです。」

塩澤先生、素晴らしいお話をありがとうございました!

今回は実際の授業やゼミでの活用方法も取材させていただきました。こちらをチェックしてみてください!

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