NEWS / HEADLINE - 2019.11.8

会田誠が抗議。総理大臣に扮した映像作品の全文書き起こしを公開

ウィーンの展覧会「JAPAN UNLIMITED」が、在オーストリア日本大使館によって公認撤回された件に対し、参加作家のひとりである会田誠がTwitterで抗議の意を示した。

 

会田誠が公開したウェブサイトより

 展覧会内容が「反日的」だとする批判を受け、在オーストリア日本大使館が10月30日付で日本・オーストリア友好150周年事業の公認を撤回したウィーンの展覧会「JAPAN UNLIMITED」。この撤回に対し、参加作家のひとりである会田誠が抗議の意を示した。

 同展は、ウィーンのキュレーターであるマルチェロ・ファラベゴリがキュレーションしたもので、会田誠をはじめ、三田村光土里、丹羽良徳らが参加。展覧会は9月26日から始まっており、今回の撤回はそれから1ヶ月以上が経過してからの異例の対応となった。朝日新聞などの報道によると、自民党の長尾敬衆議院議員が展覧会について外務省に問い合わせたことが分かっている。

 この事態に対し、会田は次のようにTwitterで抗議する。

 会田は、自身が総理大臣に扮した映像作品《The video of a man calling himself Japan’s Prime Minister making a speech at an international assembly》(2014)を出品しており、今回の撤回を受けて改めて作品の意図をウェブサイトで公開。自身が扮しているのはあくまで架空の人物であり、Twitterでも「この世のどこにもけして実在しようもない一人の国家元首を、あえてリアリズムから離脱し、思考実験的にこしらえたものです」と説明している。

 映像作品をめぐっては、「あいちトリエンナーレ2019」で大浦信行の作品の一部のみが切り取られ、ネット上に流布したケースもあった。このようなケースを鑑みてか、会田は作品の全文書き起こしも同時に掲載している。映像を閲覧できない人はぜひこちらを確認してほしい。

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NEWS / HEADLINE - 2019.11.8

大山エンリコイサムの2冊の個展カタログ刊行を記念。独自の表現に中尾拓哉が迫るトークイベントが開催

独自のモチーフを追求し、2017年にはカンザス州のマリアンナ・キストラー・ビーチ美術館で、アメリカで初となる美術館個展を開催した大山エンリコイサム。国内においても現在、山梨県北杜市の中村キース・ヘリング美術館で個展「VIRAL」を開催中だ(〜11月17日)。今回、この2つの美術館個展のカタログ刊行を記念したトークイベント「拡散・横断・身体・造形」が、11月9日に東京・恵比寿のNADiff a/p/a/r/tで開催される。ゲストは美術評論家の中尾拓哉。

Enrico Isamu Oyama, live painting performance at Marianna Kistler Beach Museum of Art, Kansas, US, October 7, 2017, Photo(C)Shreepad Joglekar

 地下鉄や都市の壁などに名前を記すエアロゾル・ライティング(グラフィティ)から文字を取り除き、描線のみを抽出した「クイックターン・ストラクチャー(QTS)」をモチーフとする大山エンリコイサム。2017年に大山は、アメリカで初となる美術館個展「ユビキタス─大山エンリコイサム」を、カンザス州のマリアンナ・キストラー・ビーチ美術館で開催。国内においても、ポーラ美術館での個展に続き、現在中村キース・ヘリング美術館で個展「VIRAL」を開催中だ(〜11月17日)。

Enrico Isamu Oyama FFIGURATI #238 2018
© Enrico Isamu Oyama Photo © Shu Nakagawa

 マリアンナ・キストラー・ビーチ美術館での個展では、グローバル社会における多様性や、移民・難民を含むボーダーレスに移動する横断的生活というマクロな事象をQTSと重ねた大山。いっぽう中村キース・ヘリング美術館で開催中の「VIRAL」展では、同館の主要コレクションであるキース・ヘリングがHIV感染者であったことの関連から、QTSをウイルスというミクロな事象に擬えている。

 2つの個展を通じて、QTSの表現を深めた大山。今回、両展のカタログの刊行を記念したトークイベント「拡散・横断・身体・造形」が、東京・恵比寿のNADiff a/p/a/r/tで開催される。美術評論家の中尾拓哉をゲストに、2つの展覧会に関する共通点と差異が語られるという。

『UBIQUITOUS: Enrico Isamu Oyama』
『VIRAL: Enrico Isamu Oyama』