挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
黄金の経験値 作者:原純
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました
66/87

レア 47

誤字報告というシステムがあることを今日知りました。

報告してくださった方々、誠にありがとうございます。

なお報告いただいた内容の中で直していないものも一部ございますが、間違っていた方が面白そうなのでそのままにしてあります。





「だいぶ作ったねぇ。これだけあれば適当なことに使っても惜しくないってくらいには出来たかな」


 賢者の石の作製はレアが行なってもレミーが行なっても変わりはなかった。しかし経験値をあまり与えていない工兵アリのギ酸や、通常のトレントの灰などを使用した場合は変化があった。

 『アタノール』で熱した時点での輝きがなかったのだ。マーブル模様にうっすら光ってはいたが、それはこれまでやってきた通常の反応と同様だ。おそらく「大成功」ではないということなのだろう。

 完成品も並べてみればその違いは明らかだ。世界樹の灰などを使用したものの方が鮮やかな赤色をしているうえに、ほのかに輝いて見える。


「持ってみれば一発でわかるんだけど、くすんだ色の方はステージを1段階のみ上げるみたいな効果になってるね。つまり世界樹の灰とか使った方は倍の効果ってことかな」


 ギ酸のみランクを下げたものや、灰のみランクを下げたものも作製したが、どちらもくすんだ方が出来上がった。両方とも高ランクの物を使用して始めて輝く賢者の石ができるということなのだろう。


「まずはステージ1だけ上げる方を実験してみよう。最終的にわたしに使用してみることを考えると、できればわたしに近いもの…素材とかアイテムとかでなくて、キャラクターがいいのだけど。立候補者は…」


〈そういうことならば、儂が実験台になりましょう。儂らはアンデッド。すでに死んでいるため、歳を重ねることで成長することはありませぬ。成長の機会が得られるならば、それは大きな戦力の向上に繋がりましょう〉


「うーん、できれば幹部級の子たちは、輝く方を使いたいところだけど…マニュアル見る限りじゃ、2回使えば同じことかなあ…でも使用制限とかあったら困るしな…」


〈それでしたら、私の配下のスケルトンナイトではどうでしょうか?理由としてはディアス殿のおっしゃったことと同じですし、スケルトンナイトならば一体一体すべてにそのアイテムを使用するなどということはないでしょう。一度しか使えないアイテムだったとしても問題ないのでは〉


「そうだね、成功したならボス級として運用すればいいわけだしそれで行ってみよう。1人連れてきてくれるかな」


〈御意。『召喚:スケルトンナイト』〉


 女王の間にスケルトンナイトが一体召喚される。ジークがスケルトンナイトに状況を説明し、スケルトンナイトが頷く。まるで普通の会社の上司と部下のようだ。


「よし、ではこれを持ってくれ。持ったなら、使い方がわかるはずだ。君のタイミングでいいから、自分自身に対して使用してくれないか」


 すぐにスケルトンナイトはその水晶の卵を掲げた。

 すると水晶が光になって砕け散り、中の赤い液体も赤い粉のようになってスケルトンナイトに降り注ぐ。重力によって降り注いでいるというより、スケルトンナイトに引き寄せられるように動いている。スケルトンナイトに触れたものは、そのまま粉雪が溶けるように骨の身体に染み込んでいく。

 すべての粉がスケルトンナイトに溶け込むと、やがてスケルトンナイトが輝き始めた。世界樹のときに見たあの光だ。


「転生が始まるようだね。やはりキャラクターのステージを上げるというのは、より格上の存在に転生するという意味で間違ってないようだ」


 程なく光が収まると、それまで着ていたボロボロの鎧ではなく、正規の騎士が着ているような立派な鎧を身に着けたスケルトンが立っていた。骨の身体自体も全体的に骨太になり、上背も高くなっている。


〈スケルトンキャプテン…に転生したようです。彼は一兵卒だったので、隊長クラスに昇格したと考えればよろしいかと〉


「なるほど。1ランク上がったということで良さそうだね」


 現在、キャプテンが少ないようなら、この賢者の石を使用して何名か増やしてもいいかもしれない。あるいはスケルトンメイジに使用し、魔法系の上位種族に転生させて、レアたちの勢力全体の魔法能力の向上を図ってみるなど、有用性は計り知れない。


「素材とかアイテムに使うのはいつでもできるから後でいいか。じゃ、次は連続使用ができるかどうかだね」


 レアはもう一つ同じものを差し出した。受け取ったスケルトンキャプテンはしばらくそれを見つめていたが、やがてレアに返し、首を振った。


〈どうやら1日は再使用ができないようです〉


「クールタイムは1日か。使用制限などがないようで良かった。これなら材料のある限りは転生を繰り返せるってことになるのかな?そんな馬鹿な話はないと思うけど…」


 無限に繰り返し強化に繋げられる作業など、運営が最も嫌うバグだ。最優先でデバッグされ、今もシステムAIのバグフィックス機能などに常時監視されているに違いない。

 とりあえずクールタイムが終わったら、また彼に協力してもらい、スケルトンジェネラルなどに転生できるのか試してもらいたい。


「さて、次はこの輝く賢者の石を使ってみようか。ディアス、試してみるかい?」


〈よろしければ、ぜひ〉


 ディアスに渡した賢者の石も、同じように水晶が光になって散った。今度はディアスは上に掲げたりしていなかったが、中の液体は赤く輝く粉となり、正面のディアスに向かってゆっくりと落ちていくように吸い込まれていった。


《眷属が転生条件を満たしました》

《「デスナイト」への転生を許可しますか?》

《あなたの経験値100を消費し「デスロード」への転生を許可しますか?》


「2段階までステージを上げられるっていうのは、どっちか選択できるってことか」


 ディアスは直接の眷属のため、レアに許可を求めるメッセージが来たのだろう。テラーナイトからデスナイト、デスナイトからデスロードへの転生が可能だということだ。


「これ、わたしのハイ・エルフとかと違って、種族ってよりなんか職業みたいだけど、そういう生態の魔物ってことで納得するしかないのかな」


 とりあえず、せっかくいい方の賢者の石を使用したのだし、経験値を支払い「デスロード」への転生を許可しておく。

 ディアスが光に包まれ、その姿が変わっていく。禍々しいオーラを漂わせていた鎧はすこし大人しくなり、しかし鎧自体の重厚感や装飾は豪華になったようだ。骨の身体だった本体も、皮がついたというか、骨というよりミイラのように見える。眼窩の奥には赤い光が揺らめき、点滅している。目を瞬いているということだろうか。


〈おお…なんという…これは、生前以上の力の(みなぎ)りを感じますぞ…〉


「かっこよくなったねぇ。子供が見たら一発で泣きそうだけど。スキルも…取得可能なものが増えているね。この『瘴気』はジークも持ってるやつかな。広範囲バフ・デバフ系のスキルツリーだ。味方アンデッドにバフ、敵対勢力にデバフって感じの。どうやって敵性を区別するのかな?」


 おおむね、実験としては成功と言っていいだろう。この調子で、幹部級のキャラクターは全て上位に転生させてしまいたい。


「でも転生に経験値を必要とするケースもけっこうあるし、一度にみんな、ってわけにはいかないかも」


 さらに、今のように新たにスキルの取得が可能になったということは、もしかしたら取得不能になるスキルも存在するかもしれない。

 レアもハイ・エルフになったことで新たに『光魔法』などの取得可能スキルが増えているため、可能なら初見のスキルは全て取ってから転生を行いたい。


「しばらくは経験値稼ぎに徹しようか。急ぐようなことでもないしね」


〈いえ、姫だけは先に転生を済まされた方がよろしいでしょう。ハイ・エルフのときのように、配下に対してプラスの効果を及ぼす特性などの発現がありうる以上、姫の強化だけで戦力の底上げになります〉


「ああそうか…そうだね。じゃあ、まずはスキルを取得しておいて…」


 レアはハイ・エルフへの転生時に新たに増えた『光魔法』『支配者』のスキルツリーを開放した。

 『支配者』は配下全体に対して効果のあるスキルばかりのツリーで、『配下強化』というスキル群や1日に一度だけ、配下の誰かと自分の場所を瞬時に交換する『キャスリング』などがある。『配下強化』は『眷属強化』と同様の効果だが、対象が「自身の支配下にあるすべてのキャラクター」と大変広い。眷属の眷属にも適用されるようだ。この書き方ならば、『支配』や『死霊』などで一時的に支配下に置いた者達にも適用されるのかもしれない。


 『光魔法』を取得すると『植物魔法』がアンロックされた。『光魔法』と別の何かが取得条件だったのだろう。有力なのは『地魔法』『水魔法』あたりだが、どちらにしてももはや検証はできない。

 さらにどれがキーになったのかは不明だが、『神聖魔法』というのも増えている。これも取得しておいた。

 他にも取得するたびにアンロックされていくスキルが増えていき、きりがない。しかしここまできたら、全部取得しておきたい。あの時取っておけば、と後悔するくらいなら、これからもっと稼がなければ、と考えるほうが建設的だ。

 それに全て取得したところで、世界樹につぎ込んだ5000と比べれば雀の涙だ。レアとレミーが賢者の石を量産したことで得られた経験値もある。賢者の石はやはり最上位かそれに近いアイテムのようで、経験値消費量の多いレアが作製しても経験値を得ることが出来た。


「こんなところかな…これだけ残っていれば転生の時に経験値を要求されても支払えるでしょう」


 レアは輝く賢者の石を持ち、使用を宣言する。声を出せない種族などはどうするのかと思っていたが、先程のディアスたちを見る限り、声を出せないなりに発声に変わる発動キーなどが設定されているのだろう。


「『賢者の石』を発動」


 これまで見たように、水晶が光に溶け、赤い液体がレアに溶けていく。すべての赤い光がレアに吸収されると、システムメッセージが聞こえた。


《「賢者の石グレート」を使用しました》

《転生条件を満たしました。精霊に転生が可能です》

《転生条件を満たしました。経験値3000ポイントを支払うことで精霊王に転生が可能です》

《特殊条件を満たしています。ダーク・エルフに転生が可能です》

《特殊条件を満たしています。魔精に転生が可能です》

《特殊条件を満たしています。経験値3000ポイントを支払うことで魔王に転生が可能です》








かねてより要望がありましたので、レア、ケリーたちの容姿について改稿した部があります。


確認するのが面倒な方のためにここに軽くまとめておきます。


レア:目以外全部白い人。髪の長さは背中の真ん中くらい(エルフの時)。目だけ赤い。

ケリー:髪は赤銅色。長さは肩くらい。適当に切っただけのザンバラ髪だったが、街に出るにあたりオールバックになでつけた。身長はレアとほぼ同じ。

ライリー:セピア色の髪。髪の長さは肩くらい。身長はレアとほぼ同じ。

レミー:黄土色の髪。濃い金髪と言えなくもない。身長はかなり低め。

マリオン:焦げ茶色の髪。身長はレミーと同じくらい。





感想を書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。