吉本興業と京都市が仕組んだと言われているステマのお話はその後どうなったのだろうと思っている読者はいないだろうか。
私はそう思った。だから、各方面の報道をチェックしていた。ところが、11月に入ってからこっち、ふっつりと続報が途絶えている。どうやらこのニュースはこのまま黙殺されるカタチでフェードアウトする流れに入ったようだ。つまり、吉本ステマ案件は、報道的には、すでに風化過程に組み込まれているわけだ。
なので、蒸し返すことにする。
私が、あえてこのさしたる大事件にも見えない吉本ステマ騒動にこだわっているのは、この事件に限らず、最近、メディアが報道案件を取り上げる時の扱い方に納得できない気持ちを抱いているからだ。
思うに、21世紀の不況下の報道メディア各社は、ニュースバリューの大きさや事件の重要性よりも、取材のやりやすさや、視聴率の高さを重視する方向にシフトしている。だからこそ、ふだんから付き合いの深い関係先のスキャンダルを暴き立てることよりは、世に言う「文春砲」の後追いで安易に記事を作ることを選択して恥じない。私の目にはどうしてもそんなふうに見える。
本題に入る前にこっちの話をしておこう。あるいは、こっち(メディアの報道姿勢のうさんくささ)の方が本来の本題であるのかもしれないので。
つい2日ほど前、財務省のいわゆる「森友文書」について、新しい展開があった。
「森友学園」をめぐる国有地の売却問題で、情報公開請求に対して、財務省が「不開示」としていた行政文書およそ5600ページをテレビ東京が入手したというこのニュースそのものは、見事なスクープだと思う。
リンク先の記事によれば、新たに公開された応接録や交渉記録は、日付や一部の担当者の名前を除いて、多くが黒塗りにされていたということなのだが、黒塗りでもなんでも、実物の「森友文書」を入手したこと自体が重要な成果だ。
財務省は、文書の特定の部分を黒塗りにすることで、情報の漏洩を防ぎ切ったつもりでいるのかもしれない。しかし、すべてが彼らの思惑通りに展開するわけではない。というのも、文書の表面を覆い尽くしている黒い色のインクそれ自体が、財務省の隠蔽体質をなによりも雄弁に物語ってしまっているからだ。このことを証明したのは、ひとえにテレビ東京の手柄だ。今後、どの部分が黒塗りにされ、どの部分がそのまま開示されていたのかを子細に分析すれば、いまわかっていること以上の何かが浮かび上がる可能性もある。
気になるのは、「森友問題」という、ほんの1年ほど前には日本中のメディアにとって最大級の鉱脈だったはずの事案から、新たなネタを掘り出してきたのが、よりにもよってテレビ東京だったという事実だ。
しかも、テレビ東京の自前のニュースコーナーやウェブサイト以外の大手メディアは、いまのところこのスクープを記事化していない。まさか黙殺するはずはないので、いずれ後追いで報道するとは思うのだが、どっちにしても、立ち上がりの反応が鈍すぎる。いったい彼らは、去年まであんなにやかましく声を張り上げていた森友案件について、どういう落とし前をつけるつもりでいるのだろうか。
コメント46件
まつたろう
墨消しでも書類が流出したとなれば、次からは書類自体を始末する流れになるのでしょうか。都合良く紛失・処分してしまう事に対して強烈な罰則を設ければ・・・そもそも記録自体しなくなってしまうでしょうか。
…というかもう既にそうなってきてますね。
...続きを読むそういう面では、特に今の政権になって後退してますよね。そういう傲慢な態度がまかり通るようになってしまっていて残念です。
ねこパンチ
平社員ネコ
日本のマスコミをジャーナリズムと勘違いしているから小田嶋氏のような突っ込みをしてしますのだろう。マスゴミは報道記者じゃないのだから当然面白ければそれでいいわけだ。モリカケなんて初めからメロン並みの内容しかないのだから当然フェードアウトとなる
案件だったんだろう。
...続きを読むtcltk
someone
オダジマ、ふんばれ。
山川草木
先週の教育ネタもメディア批判に傾いていたがメディア問題なら小田嶋さんのフィールドか。
最近はテレ東がテレビ局ではひとり気を吐いている印象がある。タレント頼みの安易でなく低予算で面白い番組を作るノウハウが今の時代にフィットしているのかも
しれない。今では他局がテレ東のフォーマットをパクっているケースも散見される。
...続きを読むテレ東がずっと追ってきたマイナースポーツ卓球もいまや人気スポーツとなり高視聴率を稼いでいたり。
栄枯盛衰を感じる。
本質的な問題を避け、どうでもいい問題でその場を回すというのは政府や野党、メディアだけでなく、社会の多くの場で行われるフォーマットになっている気がする。
大臣など辞めればそれだけまたポストが空くので議員にとってはむしろ好都合だろう。いまどき大臣でどんな箔がつくのか知らないが。優遇された議員身分を剥奪されない限り何の痛みもなかろう。
野党も批判のパフォーマンスができれば議員身分は安泰、あえて労力を費やし本質的問題に切り込む動機がない。
メディアにしても、国民の表面的関心のフックとなる報道さえできればとりあえず食い扶持はしのげる。ネットに煽られ尻に火はついていても目先の利益、権益の守りに回る以外に打つ手を見いだせないのだろう。
それは、社会の多くの現場がそんな状況にある反映ともいえる。既存のプラットフォームの上でやってる感を出す以外に有効な方策を見いだせない、私自身も自戒を含めてそう思う。
沈み行く船を立て直すのそう簡単なことではない。
小田嶋コラムはそんな八方塞がりに穴をあける存在のひとつか。
テレ東と協力関係にある日経にはテレ東的抵抗を期待したい。
経済自体まじめに考えないとヤバい状況にあるのは明らかだ。経団連や連合にまかせておいていい状況ではない。
日経には、これからの日本経済のために独自の価値を生み出す役目が課せられているのでは。
その意味で記事の鍵がとれているのはいい。
日経には小田嶋コラムをフラグシップ的位置づけで広くオープンにする程度の太っ腹を見せていただきたい。
日経さんの良心を信じたい。
NEKOKICHI
コンサルタント
「森友学園」がなぜ盛り上がったのかといえば、安倍首相が「もし私あるいは妻がこの土地売買に関与しているのであれば総理大臣も国会議員も辞職する」と啖呵を切ったから野党とマスコミが躍起になったのです。そして下火になったのは野党やマスコミが総力を挙
げても首相と首相夫人が関与している明確な証拠を見つけられず、「忖度」などというこじつけで無理やり関与しているように見せかけるようなマネしかできなかったからです。もし安倍首相が森友の件に全く関与していなければ、野党とマスコミは首相を辞めさせたいがために無実の罪に陥れようとした大悪人ですし、本当は首相が関与しているのであれば証拠の1つも見つけ出せない調査能力皆無の大馬鹿者です。結果がどちらであっても野党に政治を担ってほしいと思う人も、マスコミが流すニュースを鵜呑みにする人もいなくなるのは当然です。...続きを読むコメント機能はリゾーム登録いただいた日経ビジネス電子版会員の方のみお使いいただけます詳細
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