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施策から逆算する JTBのプライベートDMP設計

2019/11/07 09:00

 事業をデータドリブンに変革するためには、どういった考え方や組織が必要になるのでしょうか。本連載では、体制づくりに悩む企業の担当者に向けて、JTB Web販売部戦略担当部長の福田晃仁氏が自らの経験をもとに解説していきます。第2回では、JTBの統合データ基盤とその設計思想について語ります。

目次

CVRの改善を実現する、特徴に応じた1to1コミュニケーション

 JTBのデータドリブン戦略の要となる組織 「データサイエンスセントラル」(前回記事はこちら) は、基盤~分析~施策までを範疇としています。施策の成功指標として様々な評価指標を持っていますが、単純にCVRベースで見たときは、150%以上改善することを、ひとつの目安としています。

 従来の1.5倍の効果が上がれば、“仮説としてのセグメントが実在”し、“それに応じてコミュニケーションを改善できたと言える”、と考え設定しているものです。これらは、データドリブン、マーケットインの発想のもと、お客様が旅行へ出かける理由や動機といった、文脈(コンテクスト)を紐解き、特徴に応じた1to1のコミュニケーションを行っている成果です。では、そのためにどのようなデータ基盤が必要になるのでしょうか。

株式会社JTB Web販売部データサイエンスセントラル 基盤チーム
株式会社JTB Web販売部データサイエンスセントラル 基盤チーム

 第2回は 「統合顧客データ基盤(プライベートDMP)」 の設計について解説します。

施策から逆算するJTBのプライベートDMP

 この連載をお読みになっている方のなかには、まさに自社のプライベートDMP(※)構築を検討されている方もいるかもしれません。その際に必ず直面するのは「何から手をつければいいのか?」という点だと思います。

 そこで、今回はJTBのプライベートDMPの変遷をVersion1.0→2.0→3.0→4.0の順番で紹介し、どのような優先順位で設計してきたかをお話ししたいと思います。キーワードは「施策側から逆算する」ことです。

※このような統合顧客データ基盤は、グローバルでCDP(Customer Data Platform)と呼ばれています。日本においてはまだ「プライベートDMP」の呼称が多く残っているため、本連載ではそれに準じることとします。

 プライベートDMPの全体構成は、「データ統合」と「データ活用」に大別することができます。(下図左から右へ) データ統合では、JTBの販売データ、外部データ、Webのログデータをつなげてためる。そして統合したデータから、顧客の購買動機や旅行目的を分析し、得られた知見を施策へ活用していきます。

 一般的にプライベートDMPというと、図中央にあるDMP単体を指します。そのため製品選定から手をつけてしまいがちです。しかし私たちは、データソースや、施策を実行するMAといったアプリケーションも含めたエコシステム全体をプライベートDMPと捉えています。

 



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