認知低下70代に1億円保険 ゆうちょ銀 家族抜き、取り消しも拒否
女性の貯金通帳。複数の生命保険が解約された後、三井住友海上プライマリー生命に計1億円の保険料が送金されていた
「なんだ、この送金は」。2018年初旬、福岡県の春田邦男さん(70)=仮名=は、県内で1人暮らしする姉(79)の貯金通帳を見て驚いた。17年11月29日に計1億円が三井住友海上プライマリー生命保険に送金されていた。
姉が契約したのは、ゆうちょ銀行が受託販売する外貨建て保険「ハッピーロード」。死亡保障はあるものの、米ドルで運用されるため為替相場によっては元本割れのリスクがあり、満期の10年以内に解約すれば損失が出る内容だった。自宅に来た男性行員から勧誘されていた。
姉は認知機能が低下しており物忘れがひどく、契約から約2カ月しかたっていないのに「よく覚えてない」と繰り返した。春田さんが契約内容を説明すると「10年後は生きているかも分からない。そんな内容と知っていたら契約しなかった」とショックを受けていたという。