アフリカの遊牧民族から、世界的トップモデルに駆け上がった実在の女性、ワリス・ディリーをごぞんじでしょうか?
2010年に公開された、彼女の自伝を映画化した『デザート・フラワー』(エスパース・サロウ)も話題となりました。
それはただのサクセスストーリーではなく、「女性器割礼」という衝撃的なテーマも描かれています。
アフリカで毎年200万人が受ける「女性器割礼」
世界的トップモデル、ワリス・ディリーは、その華やかなルックスもさることながら、衝撃的な人生にも注目されています。
ワリスはソマリアの遊牧民族に生まれ、13歳で無理やり60代の男性と結婚させられそうになりロンドンへ逃亡します。
そこでモデルにスカウトされ、トップモデルへと駆け上がる爽快なサクセスストーリー……かと思いきや、この映画はもうひとつの衝撃的な問題に突入していきます。
ワリスは5歳のときに、FGMを受けていたのです。
FGMとは、「女性器切除」「女性器割礼」のこと。
アフリカ中部の国々では伝統的な通過儀礼として、おおむね初潮前の少女に行われています。
その多くは麻酔もなく、鋭利な刃物で切り取るだけのとんでもない処置であり、壮絶な痛みでショック死したり、感染症や出血多量で死亡することも!
処置の後も生涯続く肉体的苦痛は、想像するのも拒絶したくなる残酷さです。
さらに信じられないことですが、FGMを受けている女児の数はなんと、今でも毎日およそ6000人、毎年およそ200万人。
アフリカの女性の約7,000万人が処置済みという現状なのです。(ユニセフ2009年データより)
トップモデルがFGMをカミングアウト
FGMを慣習とする国々では、FGMを施していない女性は娼婦とみなされ、結婚することができません。
ワリス・ディリーはロンドンで現地の女性と接するまで、FGMを受けていない一般女性が存在するということすら知りませんでした。
この残酷な処置による犠牲者をなくそうとワリスは自らのFGMをカミングアウトし、FGM廃絶の活動を続けています。
そして現在では、エジプト、タンザニア、セネガル、エチオピアなど多くの国が法律によってFGMを禁止しています。
ところが、法律の影でFGMは続けられ、2008年にはシエラレオネ共和国の女性たちによってFGMの「存続」を訴えるデモが行われたというのです!
なぜアフリカの女性が「FGM存続」を求めるのか?
なぜ、女性にとって残酷に思えるFGMが、女性たちによって根強く支持されているのでしょうか?
それは、イスラム教の教えの下、「女性は夫に忠誠をつくすべき」とされ、結婚時に処女であることが最低条件とされる社会背景が後押ししています。
女性たちは結婚の資格を得るための儀式としてFGMを施し、性感を放棄することで夫への忠誠を証明しているのです。
ワリスもまた、幼い頃は大人の女性になる通過点としてFGMを受けることを楽しみにしていたのだそうです。
これは宗教や文化による違いで、FGMの受け取り方は大きく変わる難しい問題です。
法律で禁じたからといって、あまり意味のないことかもしれません。
性の解放によって、何がもたらされた?
「女だけが結婚するまで処女でいなければいけないなんて変だわ。それに自由恋愛したほうが人生をもっと楽しめるでしょ!」
先進国の女性ならそう思いますよね。
しかし、日本もほんの30〜40年前まではまだ処女信仰がありました。
女性の社会進出に伴って女性の性も解放され、「女性も性を楽しんで当たり前。結婚してから性の不一致なんて悲劇だし、結婚する前に確かめるべき」という風潮に変わっていったのです。
しかし、この性の解放によって、現代の男女の関係はどんどん迷走していっているように感じませんか?
女性たちは性を開放しすぎて愛する人でなくてもセックスしてしまうし、男性は結婚しなくても性的欲求を満たすことが出来る。
性がイージーになってしまったために、「愛」がおろそかになっていないでしょうか?
FGMの衝撃で、愛と性の尊さに気づく
女性は「生涯をともにする男性にだけ処女をささげる」
男性は「処女をささげてくれた女性を心から大事にし、守りぬく」
この価値観をかたくなに守ろうとするアフリカの文化。
FGMは決してよい習慣とは思わないけれど、彼女たちの「夫を愛するという決意」の強さに、先進国が失ってしまった性の尊さを思い出させてくれる気がするのは筆者だけでしょうか?
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Written by 杉本レン
Photo by Mayr