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 国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」への補助金を文化庁が不交付としたことについて、7日に開かれた文化審議会文化政策部会で、複数の委員から「あってはならないこと」「萎縮効果が生じた」などと批判が相次いだ。

 同部会は、文化庁の政策全般に助言し、専門家の委員からなる。口火を切ったのは、小林真理・東大教授(文化政策学)。本来の議事だった、来年度予算に向けた政策などについての審議が済んだ後、「不交付の決定は文化行政の上で不適切。文化行政の後退、文化庁の信頼が失われたことになるのではないか」と話した。

 松田陽・東大准教授も「芸術作品を作る際に萎縮してしまう方向性を示してしまったのではないか」と指摘。「手続き上の問題と書いていたが、せめて『展示物の内容に問題はなかった』と触れてあれば、まだよかった」と述べた。

 石田麻子・昭和音大教授は「現代アートは、現代的な意義を問いかける場としてやっている。色々な方がこの話を契機に考えを述べているのはあるべき姿。次に進むためのステップにすべきだ」と話した。

 部会長の河島伸子・同志社大教授は「萎縮効果が生じてしまったことは事実だと思う」と引き取り、「文化庁として不交付の決定を取り消すことはできないとすれば、手続き論という一点張りではなく、文化業界にすごく広がっている文化庁への不信感や萎縮効果を消すため、どういう態度で取り組むのかをステートメントのような形で示す必要が今まで以上にある」と述べた。補助金のあり方や基準などについて、議論する場をもつべきだと求めた。

 文化庁側は「ご理解いただけるよう努力したい」と従来の説明を繰り返した。

 この日の審議会は11人の委員のうち体調不良の人も含めて6人が欠席。出席した委員は5人で定足数を満たさず、「懇談会」という枠組みで行われた。(上田真由美)