金融政策の恩恵は富める者ばかりに降りる:レイ・ダリオ
レイ・ダリオ氏に対するCNBCインタビューの第2弾、金融緩和が機能不全を起こしていると主張している。
これ(マイナス利回り)は、お金を上げていることを意味する。
投資家はなんでお金を上げているのか。
お金があまりにも多すぎるからだ。
ダリオ氏が、世界に広がるマイナス利回りについて1つの解釈を与えている。
「お金の重み」(weight of money)が、常識の逆を行く利回りを生み出しているという。
その重みを生み出したのは莫大なマネーを発行してきた各国の金融政策だ。
1つの問題点は、その効果が低減している点にある。
「私たちは金融政策の有効な変更方法を持たない。
このため、金融資産の買入れを行っても(過去と)同様のトリクルダウンが起こらない。
低所得層には信用力のある借り手がいない。」
ダリオ氏は6日のSNS記事で「お金は信用力のある人にとってはタダになった」と書いている。
あくまで「信用力のある人」の話だ。
本当にお金を必要とし、お金を得ればすぐに使うはずの人たちには、残念ながら往々にして貯蓄や信用力が欠けている。
だから彼らはお金を手にできないし、使うこともできない。
金融政策による実体経済の刺激効果が減退すれば、もはや恩恵を受けられなくなる。
中央銀行から見れば、金融政策が目指す1つの目的、信用創造も進まない。
一方、金融政策の恩恵を受ける裕福な人たちは、これをチャンスとばかり投機に勤しむことになる。
投機とはあくまで投機であって、実体経済の牽引役とはなりにくい。
「こうしたシステムは元来非効率を生む。
金融システムにお金をたくさん注入しても、それが金融システムにとどまってしまう。
通常なら他の人の支出を生み出すような牽引力がない。
カギとなるのは、お金を使わない上層なんだ。」
ダリオ氏が教育投資を推すのは、金融政策の恩恵を受けられない層のチャンスを確保するためだ。
人材・社会の生産性向上が重要と述べている。
「生産性を上げて富を生み出し、パイをうまく分配することができるはずだ。
パイを大きくし、うまく分けなければいけない。」
ダリオ氏は、とりわけ「公平な機会」を確保することが重要だと説く。
それこそが「アメリカン・ドリーム」であり、米国の強みの源泉だという。
対立の先鋭化した米社会の風潮を悲しみ、さまざまな人々が団結して問題解決にあたるべきと主張。
富豪を悪とみなすのは一方的すぎると擁護に回っている。
もう1つ理解すべきなのは、ほとんどの億万長者は億万長者になるために働いているのではなく、人々が欲しがるものを作っているんだ。
これには少なからぬ人が《人による》と感じるのではないだろうか。