赤字のソフトバンクが宿す「WeWork」3つの懸念

孫社長の「誤差発言」多用がどうも気になる

決算説明会に臨んだ孫正義社長は業績急悪化の要因になっているWeWorkについて細かく説明した(写真:アフロ)

「今回の決算はボロボロ」と冒頭で語り、日本経済新聞の厳しい見出しの切り抜きをまとめたスライドを大嵐の写真とともに提示。「救済型投資は今後、いっさいしない」と語り、市場での最大の懸念を払拭しようと試みる。「反省したが萎縮はしない」と戦略やビジョンは不変であるというスタンスを明快に提示する――。

ソフトバンクグループが11月6日に発表した今年度(2019年度)中間決算は営業損益が155億円の赤字と、1兆4207億円の営業黒字だった前年同期から大幅に業績が悪化しました。投資先でシェアオフィス事業を手がけるWeWork(ウィーワーク)の経営不振を受けて、運営ファンドが巨額損失を計上したのが主な要因です。

これを受けて孫正義社長が同日開いた決算説明会での説明と質疑応答は、ネガティブニュースが起きた際、上場企業の経営者が株式市場にどのようなエクイティーストーリーを提示すべきかの教科書的な内容が満載でした。

質疑応答では、各種メディアの凄腕記者たちの厳しい質問にも自ら率先して答え、一貫して真摯で謙虚な態度で臨んだ孫社長の対応は、起きているネガティブなニュースのインパクトを和らげるのに十分な効果があったように見えました。

「問題は『大幅減益』と『WeWork問題』」

説明がシンプルで明快なことも孫社長の真骨頂ですが、今回もイントロ部分の直後に、「問題は『大幅減益』と『WeWork問題』」であると自ら定義し、決算説明を展開しました。

もっとも、本当に今回の問題の所在や本質は孫社長がシンプルで明快に定義したようなものであるのか? ソフトバンクグループに何が起きており、それをどのように評価すべきであるのか?

孫社長が決算説明会の冒頭で提示した「2つの問題」の1つは「WeWork問題」。これが市場からの大きな懸念材料となっていたことは間違いありません。そこで本稿では2つの問題のうち、とくに後者の問題設定についてフォーカスして見ていきたいと思います。

孫社長は「WeWork問題」をどのように捉えていたのでしょうか。またそれは市場にある懸念を払拭するに足るものだったのでしょうか。

次ページ「WeWorkへの今回の投資はナンピン買い」
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  • qb8089b983e12
    > 私自身も日本のビッグビジョンを背負い日本の活路を切り拓いている最有力経営者が孫社長であると確信しています。

    過去形でしょう。シンギュラリティを言い出してから、何も具体的なビジョンが出ていない。孫さんの過去の勝負とは全く違う。

    第一We Workの件なんて、いかにIT後進国日本のお金だけある田舎者爺さんが、遊び慣れたジジ殺しプロの手管にコロリと落ちた図ではないですか。

    この会社に孫さんの暴走を止められる人がいなければ、今後も誤算は積み上がっていくでしょう。
    up12
    down3
    2019/11/7 21:12
  • None7ef4d4b03362
    いやぁ、破綻してほしいものです。
    up11
    down6
    2019/11/7 19:30
  • netwalker5c85090a737a
    なんかいろいろウザい(笑)
    事務所貸すと何故

    ライフスタイル、健康、家族サービス、フード、教育、保険、テクノロジー、ヒューマンリソース、エンターテインメントなどの領域で会員に対してワンストップサービスを提供する

    ことになるのかさっぱり分からん。
    コワーキングスペースについてはむしろ有望。
    しかしごちゃごちゃ言うてる付加価値がさっぱり分からん。
    なぜAIかというと100億円カメラLightの応用らしい。
    監視カメラで誰と誰が話してるのか分析、スモールワールド解析するんだと。
    あ駄目だこりゃ。
    この駄目部分に孫正義がWeWork復活に賭けてるなら本格的に駄目。
    up0
    down0
    2019/11/8 00:19
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