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職業冒険者は半額シールが好き。 作者:語谷アラタ
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第四話 迷宮装備4

「うおお!うおおおー!」


 冒険者として生きていく決意を固め、左腕にプロテクターを装着した俺はなんとなく叫んでみた。


「……」


 迷宮装備をつければ、何か凄い光が出てきたり、風がぶぉんと吹いたりするのかと思ったが何も起きない。


「これ、ちゃんと俺の専用装備ってことになってんのかな?」


 装備はしてみたもののあまりに何も起きず、しばらくぼーっとする。


 すると、スライムの模様が描かれた箇所がうっすらと光り、黒く染まった。


 これが、装備したという証なんだろうか?



「なんか地味だな…」


 と思いながらも、肝心のスキルが気になる。

 どうやって発動するんだこれ。


「発動!」


「スキル!発動!」


「いでよ我が力!スキール!」


「崇高なる我がスライムの力!いでよ!」


「邪神!我が左腕に宿れっ」


「……」


 思いつく限りの発動式的なものをなんとなくで唱えてみたが何も起きない。


「もしかして、スライムドロップの迷宮装備ってなんのスキルもないんじゃないのか…」


 売っとけばよかったなぁ、と早くも後悔してきた。



 いやまだだ、まだ何か発動の仕方があるに違いない。



 そうだ魔法だ、魔法のような力って言うからにはきっと周辺を漂うマナとか魔脈とかの何かしらを感じ取って発動するに違いない。


「よし…」


 目を閉じて、今度は左腕のプロテクターに意識を集中し、周辺のマナとか何かしらがあるのか分からないが、それらを感じ取ろうとする。


 ―――


 ――――


 ―――――


 気のせいかも知れないが、なんとなく温かいモノを周辺に感じ出した。


 身体が微妙に熱くなる。


 俺は慎重に、身体の熱を左腕に集中させた。


「発動ッ!!」


 そして、目を開くと同時にそう唱えてみた、するとプロテクターから青い半透明の正方形型のバリアのようなものがうっすら出ているのが見えた。


「うおお…」


 まさか本当にマナとか存在するのか?と思った瞬間、バリアのようなものは消え去り、普通の青いプロテクターに戻った。


 あのバリアみたいなものがこの装備のスキルなのだろうか。見た目的にはまあまあかっこいい感じだったがすぐ消えたな。


 でもまあ、迷宮内で使ってみないと実際どんなものかわからないか。もし本当にマナみたいなものがあるとしても、迷宮内の方がずっと量は多そうだし、ここで発動しても力は発揮しないのかもしれない。


「明日、朝一で迷宮に行くとして…」


 そう考えながら、プロテクターを左腕から外した瞬間、お腹がぐぅーとなった。


「とりあえず…何か食べるか」


 それでゆっくり寝て、明日迷宮でもう一度試す。


 これで決まりだ。


 あ、弁当買ってないから食べるもの何もないかもしれない。


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