【シリコンバレー=佐藤浩実】米司法省がサウジアラビアのスパイ活動に協力したとして、米SNS(交流サイト)大手ツイッターの元従業員2人を含む3人を起訴したことが6日わかった。ツイッター上でサウジに批判的な投稿をしたユーザーを特定し、入手した個人情報をサウジ側に渡していたとみられる。社会インフラになったSNSの法令順守体制を問う声が改めて強まりそうだ。
起訴されたツイッター元従業員は、サウジ国籍のアリ・アルザバラ被告と米国籍のアフマド・アボウアモ被告。さらにサウジ当局関係者とツイッター元従業員の仲介役を務めたとされるサウジ国籍の1人も起訴した。米メディアによれば、サウジ国籍者が米国内でのスパイ行為で起訴されたのは初めてという。
6日に公開された訴状によると、ツイッター元従業員の2人は2014~15年に、サウジ王室を批判するような投稿をした利用者の電子メールアドレスや生年月日、電話番号などの入手を目的にツイッターの社内システムにアクセスした。
合計で6000以上のアカウントの個人情報にアクセスし、対価としてサウジ側から腕時計や現金などを受け取ったとみられる。米メディアによれば、アカウントのなかには18年にトルコで殺害されたサウジ人著名記者のジャマル・カショギ氏と親しい人物も含まれる。
ツイッターによれば、機密性の高いユーザー情報へのアクセス権限は訓練を受けた一部の従業員に限定しているという。同社は6日「ツイッターを使って自分の見解を世界に共有し、権力者に説明責任を求めようとする多くの人々が直面している大きなリスクを認識している」との声明を出した。