ミッツ・マングローブ「憤激! 小池東京五輪札幌の乱」
連載「アイドルを性せ!」
ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、小池百合子東京都知事を取り上げる。
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来年2020年はいよいよ東京オリンピックです。56年ぶりの「お・も・て・な・し」に日本中がすでに沸き立っているわけですが、ここへ来て突然「マラソンと競歩は札幌で」とIOCが強行決断したと騒ぎになっています。理由は「8月の東京の酷暑は競技を実施するのに危険だから」とのこと。
確かにここ数年の暑さは尋常ではありません。テレビやラジオで「こまめに水分を摂って熱中症対策を!」と注意を促していますし、何なら「外での運動はなるべく避けて」とも言っています。そんな環境を忘れていたわけではないでしょうが、ならばマラソン・競歩だけに限らず多くの屋外競技は大丈夫なのか。それにしても直前になって唐突なことを言い出すIOCもIOCですが、そもそも開催都市の大きさにも相当な差があるわけで、例えば前回大会のリオデジャネイロの面積は東京都の2倍、北京に至っては8倍の広さです。そう考えると、IOC的にはアメリカや中国のスケールからすれば「東京も札幌もさほど位置的に変わらない」ということになるのかもしれません。だったらサッカーやラグビーのワールドカップみたいに「国単位」での開催にして、名義上だけ都市にすればいいのにとも思うのですが。
とにもかくにも突然降って湧いたこの「札幌五輪案」に、現地札幌市は俄然やる気を見せているようで、それはそれでなかなかの節操のなさです。一応ポーズだけでも「そんな滅相もない」的なスタンスを取るのが日本人の美徳かと思いきや、まるで準備していたかのような勢い。どうやらすでにIOCの決定事項らしいので、このまま移転が実現すれば、東京と北海道にはかなりの「しこり」が残ると思われます。2020に向けてこの6年間、どれほど東京の街がオリンピックに翻弄されてきたか。その浮足立ったムードに多かれ少なかれストレスを感じる都民もいたでしょう。そんな「努力」もないまま、札幌にオイシイところだけ持っていかれるというのでは、さすがに胸中は複雑です。