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【芸能・社会】

ウィーン芸術展の公認撤回 国交記念事業で日本大使館 安倍政権批判を問題視か

2019年11月6日 11時48分

5日、ウィーンの芸術展「ジャパン・アンリミテッド」で展示された作品。東京電力幹部の謝罪会見を基にした動画(左)や日の丸の形に血が浮かぶ放射線防護服のようなオブジェ(右上)(共同)

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 【ウィーン共同】オーストリアの首都ウィーンの「ミュージアム・クオーター」で、同国外務省が協力し、日本との国交150年の記念事業として開かれた芸術展について、在オーストリア日本大使館は5日までに公認を取り消した。東京電力福島第1原発事故や安倍政権を批判的に扱った作品などが問題視されたとみられる。

 この芸術展は、日本の美術家、会田誠氏らの作品を展示する「ジャパン・アンリミテッド」。政治的テーマへの抗議が高まり、公権力との関係が物議を醸した国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」に参加していたグループも出展した。公式ロゴが使えなくなるだけで芸術展は続いているが、表現の自由を巡る不寛容が国外に波及した格好。

 日本での政治社会批判の自由と限界に焦点を当てた芸術展は9月下旬に開幕。放射線防護服に日の丸の形に浮かんだ血が流れ落ちるようなオブジェや、安倍晋三首相に扮した人物が歴史問題を巡り韓国、中国に謝罪する動画も展示、昭和天皇を風刺する作品もある。

 日本大使館によると10月30日に公認撤回を通知した。実際に芸術展を見た結果、相互理解と友好関係を促進するとの条件を満たさないと判断したとしている。

 芸術展で学芸員を務めているマルチェロ・ファラベゴリ氏は、企画展で批判された芸術家がウィーンの芸術展にも参加していることが日本で指摘されたため、日本の国会議員が外務省に調査を要請、撤回につながったとみられると述べた。

 ファラベゴリ氏は作品について「欧州の感覚では無害だと思う」と指摘。「(欧州で強権色を強める)ポーランドやハンガリー同様、日本でも検閲が強まっているのを感じた」と話した。

 

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