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【埼玉】

<子どものあした>支える 交流、遊びの場 草加の安高さん 「子ども会」活性化奔走

草子連が開いた防災体験会で、消火器を操作する子どもたち=10月19日、草加市で(安高さん提供)

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 全国的に衰退する「子ども会」の活性化に、草加市職員の安高昌輝(やすたかまさき)さん(31)が熱意を燃やしている。子ども会がなくなった地域のために「草加市子ども会」を18歳で立ち上げ、昨年は9年ぶりに会長に復帰。運営の担い手育成に力を入れ、子どもたちの遊びや交流の場を支えようとボランティアで奔走している。 (近藤統義)

 全国子ども会連合会によると、子ども会の加入者は一九八五年の六百六十万人をピークに落ち込み、昨年は二百三十八万人にまで減少。草加市内の子ども会を束ねる「市子ども会育成者連絡協議会」(草子連)の加盟団体も三十年前は八十以上あったが、現在は六団体しか残っていない。

安高昌輝さん

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 安高さんは小学二年で子ども会に入り、中高生時代は小学生の世話や行事の企画をするジュニアリーダーとして活躍。次第に、子ども会がない地域が増え「行事に参加する機会すらない子がたくさんいる」と危機感を抱くようになった。

 そこで、高校卒業後の二〇〇六年、市内全域から参加できる「草加市子ども会」を設立。運営は中高大学生の仲間たちで担った。共働き世帯が増え、行事の手伝いや役員の仕事が保護者の負担になってきたことも、子ども会離れの一因だったからだ。

 安高さんは初代会長を〇九年まで二年半務めた後、「子どもたちが好きになってくれる街にしたい」との思いで市職員に。運営の一線からいったん退いたが、後輩たちも進学や就職で忙しくなり、会員数が落ち込んでいた昨年、再び会長に就任。草子連の副会長も引き受けた。

 会員の積極募集とともにテコ入れを図ったのが、新たなジュニアリーダーの発掘だ。市内の独協大や高校、駅前でチラシを配り、協力を呼び掛けた。応じてくれた中高生らを対象に、リーダーの心構えや行事の企画立案などを学ぶ研修会も今年初めて開いた。

 「テレビゲームやスマートフォンが普及しても、子どもたちが楽しさや喜びを感じることは昔も今も本質的に変わらない」と語る安高さんの思いは熱い。「学年に関係なく、みんなが集える子ども会という居場所を守っていきたい」

<子ども会> 主に小学生が対象の地域の親睦グループ。異なる年齢の子どもたちが一緒にレクリエーションやスポーツなどを楽しみ、集団行動や社会性を学ぶ。校区や町会などさまざまな単位で組織され、保護者や町会員らによって運営されているケースが多い。国が戦後の混乱期に青少年の不良化防止対策として設立を推奨し、全国に広がったとされる。

 

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