「平日に人が集まらず」休日中心の災害ボランティアに限界 “企業ボランティア”求める声も
- 10月から11月の3連休までに14都県で10万人以上が災害ボランティアに参加
- 土砂に埋もれた墓石を掘り起こす…台風被害残る千葉県富津市を生田アナが取材
- 求められる「力仕事」と「平日の人手」専門家は“企業ボランティア”の必要性を指摘
今なお、各地で深刻な被害が残る台風や大雨の被災地。
宮城県・福島県・長野県などでは、11月2日~4日の3連休にボランティア活動が盛んに行われ、これまでに延べ10万人以上のボランティアが、14都県の各地で復旧作業にあたった(10月12日~30日と3連休の速報値合計。全国社会福祉協議会集計・めざまし調べ)。
福島県郡山市の住民女性からは、「助かった。本当に感謝です」とボランティア参加者への感謝が聞かれた一方、「今、苦労しているところです。ななか集まらないです」と、千葉県富津市などの一部地域では、ボランティアが不足しているという声があった。
どこで、どんなボランティアが求められているのか。被災地の今を取材した。
高齢世帯は力仕事に不安 ボランティアのニーズにも変化
11月4日、めざましテレビが向かったのは、9月の台風15号で甚大な被害を受けた千葉県富津市。台風通過から約2カ月経っているが、未だに住宅街の屋根はブルーシートで覆われている。
こうした状況の中、生田竜聖アナウンサーが訪れたのは、台風で30基ほどの墓が2カ月近く土砂に埋もれたままの場所。
生田竜聖アナウンサー:
もともとこの辺りにあった墓石が、土砂により埋まってしまったため、ボランティアの皆さんが墓石を掘り起こす作業をしているところです。
目の前には高齢の夫婦が住んでいるが、どうすることもできなかったといい、ボランティアに訪れていた15人以上の高校生や大学生が、協力して土砂に埋もれた墓を掘り起こしていた。
墓の横の住宅に住む高齢夫婦の親族:
若い人は土仕事なんかしたことないでしょう。それでも一生懸命掘ってくれてる。本当に頭が下がりますよ。
生田アナウンサーも作業に加わったが…
生田竜聖アナウンサー:
粘り気のある土で、重いですね。
11月3日に降った雨の影響で土が粘り気を増して、土は非常に重くなっていた。
一方、富津市のボランティアセンターからはこんな声が…
富津市ボランティアセンター・神子勇会長:
チェーンソーを使える方とか、いわゆる専門的な技能の分野の人が不足していますね。
ボランティアに求める被災地側のニーズが次第に変化しているという。では、千葉以外の被災地からは、どんな要望が出ているのか。
課題は平日 高まる「企業ボランティア」の必要性
こちらは、めざましテレビが調べたボランティアが不足傾向にある全国の主なエリアと、この連休中にボランティア活動を行った延べ人数。
埼玉県東松山市、茨城県大子町、福島県郡山市やいわき市、宮城県丸森町では、1日に100人以上が集まったが、まだまだ人手が不足している。
今も泥を撤去する作業が完了していない長野市では、この3日間で延べ約8000人が集まった一方で、平日は1日1000人の募集に対して8割程度の参加にとどまっているという。
防災システム研究所・山村武彦所長:
注目されやすいというのは、(メディアの)露出度もあったと思います。ボランティアが少ないのは、あまりクローズアップされていないとかですね。
同じく深刻な被害が出た岩手県。ラグビーのワールドカップが行われた釜石市は、比較的順調に復旧作業が進んでいるというが…
岩手県宮古市の住民:
倒木も路肩に避けられてはいるんですけど、倒木は見られます。結構そのままになっている住宅とかもありますし。
山間部の道が崩れるなど甚大な被害を出した宮古市では、がれきの撤去作業などが必要で、休日だった11月4日は、130人の人手がほしいところ83人にとどまり、今後も継続してボランティアが必要だという。
また、宮城県ではこの3連休に、行きづらい山間部の被災地などへのアクセスを確保すべく、仙台駅からボランティアのバスツアーを組む動きもあった。
「非常に広い範囲でボランティアを募集している。水害というのは、いっぺんに処理が終わらない」と話す防災システム研究所の山村武彦所長は、平日に人員確保するためには、有給扱いになるボランティア休暇を利用する「企業ボランティア」が必要だと指摘している。
(「めざましテレビ」11月5日放送分より)