音楽や文学の作品批評を見るのは楽しいです。良質な批評は、作品への理解を深めるとともに、その作品に対する好き嫌いが生まれる理由も確認できますね。ですので、けもフレ2の批評やtogetterのまとめなどをちょくちょくみてますが、私の観測範囲では「批評」とはいいながら、ただの「悪口」になっているだけのことが多いのが残念です。

たとえるなら、欧風カレー好きだけどエスニックカレーは初めて食べた、という人が、

  「長時間煮込んで熟成されたルーのコクや小麦粉の絶妙な配合も味わえず、最初に辛さがストレートにくる。なんか緑色っぽいカレーとは思えないものもでてくるし、かと思えば定番のバター添えジャガイモはでない。欧風カレーでは野菜や肉を煮込んでコクを出すという洗練された手法を使っているが、単にスパイス振りかけて炒めるだけというエスニックカレーの手法自体が時代遅れ。そもそもインド人は仏教徒のくせに豚肉食べていいのか?こんなカレークソクソクソ」
といっているイメージ。

そもそも欧風カレーとエスニックカレーは、「カレー」であっても、持ち味が全然違うので、「欧風カレーを100点」としてエスニックカレーを評価すれば、それは点数が低くなります。その結果、「批評」ではなく「ただの悪口」になっているので、いくら「クソクソクソ」といわれても、欧風カレー好きの人達には鬱憤晴らしになるでしょうが、エスニックカレー好きからすると「的外れだな」と思うだけで、何も得られるものがないのです。

とはいえ、こうなってしまうのもある程度は仕方ない面もありますね。何故なら、今の状況は、「欧風カレーで一世を風靡した一号店がしばらく閉店してやむを得ない事情でシェフが代わり、その後二号店として営業再開したが、提供するカレーはエスニックカレーだった」というものですので。

従って、欧風カレーを期待した客がエスニックカレーに失望するのは、まあ当然ではあります。更にややこしいのは、この店のオーナーは、一号店の前に元祖店舗で創作カレーを出しており、二号店で出すカレーは、実は元祖店舗の創作カレーの特徴をかなり尊重している、という状況でもあるのです。そう、元祖店舗からのファンには、「元祖をレスペクトしている点も多い」と、意外に受けが良いのですよ。

しかしながら、客の多くは一号店の欧風カレーしか知らないので、そのような事情はあまり重視されません。かといって、一号店のシェフは素晴らしい腕前であり、欧風カレーで同じ味を出すことは限りなく難しいうえに、欧風カレーを出す限りは、おそらく「一号店の劣化コピー」にしかならないので、オーナーがエスニックカレーを出すのも苦渋の決断なのでしょう。

さて、この状況で、けもフレ2のファンが「批判」のように見える「悪口」にはどう対抗すれば良いか。以下に下策、中策、上策を解説します。

下策
「そもそもインド人は仏教徒のくせに豚肉食べていいのか?こんなカレークソクソクソ」に反応する。

 「エスニックカレーはインドに限らないし、スリランカ、パキスタン、ネパール等ある。そもそも北インドの生クリーム系と南インドのサラサラスパイス系も~」
 「インド人の多くは仏教徒ではなくヒンドゥー教だし、豚肉がタブーなのはイスラム教~」
##この状況で間違いを指摘しても、かえって感情的対立が激しくなるだけです。

「クソクソクソとはなんと乱暴で知性のない言葉なのでしょう~」
##これも同様。更に、『冷静なレスに感服しました。貴方のツイートで知性のある話し方を勉強していますが、今年の3月1日12時5分24秒に「アホ」、2月4日0時7分09秒に「カス」とツイートされていますね。これらは知性のあるツイートなのでしょうか。大変申し訳ありませんが是非ともご教示下さい。』などと、貴方のツイートを深く深くほじくり返して慇懃無礼な反論をする方が出現するおそれもある諸刃の剣です。まさに下策といえましょう。

中策
「最初に辛さがストレートにくる。なんか緑色っぽいカレーとは思えないものもでてくるし、」等の味について直接反応する。

 「実はこれが慣れると非常に美味しく感じられるようになります。緑色っぽいのは、多分ほうれん草のサグですね。アーユルヴェーダ(インド大陸の医学)では医食同源を旨として、色々な健康に良い野菜をカレーにとりこんで~」
 「定番のバター添えジャガイモは欧風カレーの手法ですね。エスニックカレーにジャガイモがあわないわけではなく、インドではサモサといってジャガイモを潰して~」
 「"単にスパイス振りかけて炒めるだけというエスニックカレーの手法自体が時代遅れ"とは理解が浅い上に、時代遅れかどうかではなく、美味しいか否かが問題であって~」
##悪くはないですが、批判サイトに直接意見しても相手が素直に聞いてくれる可能性は低いです。また、欧風カレーのルーツを説教する方が多数出現し、数の暴力で押し切られる可能性も高いです。戦いは数だよ兄貴。これも対立が深まるばかりでお勧めはできません。

上策
「批 判 サ イ ト に は 何 も 反 応 せ ず に ツ イ ッ タ ー 等 で け も フ レ 2 の 良 さ を 楽 し く 語 る」


これです。要は、否定的な方が集まるところに飛び込んでも仕方ありません。素直に楽しいを楽しいと語っていれば、中立的な方や新規の方など、先入観のない方も興味を持つかもしれません。
仮に、けもフレ2の話をしているところに喧嘩をふっかけてくる人がいたとしても、それは明確にその人がおかしいだけです。また、過激な人は目立ちますが、ごく一部です。けもフレ1のテレビでの視聴率は1%程度でしたっけ?で、NHKが実施している「全国個人視聴率調査」の結果によれば視聴率1%で100万人が視聴しているらしいです。あなたがネットでみかけた攻撃的な人、おそらく1000人もいないですよね?つまり、非常に大雑把ではありますが、過激な人は、けもフレ1を見た人の0.1%もいないかと。

で、色々な方のけもフレ2の楽しい感想を見たければ、このブログの「ここ好き集」をみるのも良いかもしれません(宣伝)。けもフレ2の良さについてブログで自分の意見をまとめるのも良いかもですね。

けもフレ2の良さは私自身何回も語っていますし、このブログにも記載していますが、あまりまとめてはいないので、時間がとれれば今回のように独立してまとめるのも良いかもしれませんね。

なお、この文章は、特定の批判者に対しての反論は意図していません。従って、わざとカレーを例にして抽象的な話しにしています。また、けもフレ1を欧風カレー、けもフレ2をエスニックカレーにしたのも特に意味はありません。気に入らなければけもフレ2を欧風カレー、けもフレ1をエスニックカレーに読み替えるか、シチューとカレー、中華と和食など、しっくりくる例に各自読み替えて下さい。

最後に、けもフレ関係のまとめサイトで、けもフレ2叩きをするところがありますね。あまり気分がよいものではありませんが、これもある面仕方ないのです。まとめサイトの多くはページビューで収入を得ています。現在の「アンチが圧倒的多数(にみえる)」の状況では、「けもフレ1を擁護しけもフレ2を叩く」のが、「最大多数の閲覧者を呼び寄せる」ための最適戦略ですので。
もしかしたらけもフレ2アンチまとめサイトの管理人は、実はけもフレ2が大好きだけど収入を得るために血涙を流しながらアンチまとめを作っているのかもしれません…や、これはないかw

けもフレ2好きとしては、そういうまとめサイトやtogetter(togetterが収入になるのかは知りませんが)は無視するのが一番ですね。アンチサイトに対してページビューで収入に寄与するのもあまり気分が良くないですから。