「働く」と「生きる」を楽しむためのレシピ

「人生100年」と言われるようになり、生涯現役がもはや当たり前の時代に突入。一人ひとりが「自分らしさ」を見つけ、ワークライフを楽しむためのヒントについて考えていきます。

人間関係の広がりは、ネット(網の目)からノット(結び目)へ

今日の材料:人間関係、網の目、結び目、主体性

インターネットが普及し、不特定多数の人々が情報を受発信できるようになってから、私たちの情報に対するとらえ方は大きく変化しました。

ネット(網の目)とはよく名付けたもので、無数の網が絡まり合い、複雑な構造を織りなしています。この記事でも書きましたが、何かに対する反論コメントがモラルを問われぬままに大勢の影響力を持つようになったのも、ネット構造の力の一つなのかもしれません。

ただネットに限らず、こうした集団心理は日本社会の根底に常にありました。

いじめがその典型的な事例かもしれません。最近では「教師いじめ」という衝撃的な事件もありましたが、学校だけでなく職場やコミュニティ、親同士の関係性など、集団があるところには必ずある種のパワー関係の中で、こうした不具合が起こりがちです。

でもその一方で、大きな喜びを与えてくれる出来事もまた、人との関係性の中で起こります。誰にでもこうした経験が一つ二つ、もしかしたらそれ以上に記憶にあるのではないでしょうか。

私にも最近、ネット上の関係性を通してとても嬉しい出来事がありました。私のブログを他のブロガーさんが紹介してくださったのです。とても示唆に富む言及でした。

 

satsumaim0.hatenablog.com

 

さつま芋さんは、まえがきに続くご紹介の冒頭で、「毎日ブログを書いていると、何かの巡り合わせで新しいブログとつながりを持つことができる」と書かれていました。

ほんの小さな、偶然のつながりです。実は私もさつま芋さんのブログを読んでいて、物事のとらえ方やブログ観など、共感するものがありました。

それは、広いネット(網の目)の中での小さなノット(結び目)なのかもしれません。

 

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このネットとノットという言葉は、教育学博士のユーリア・エンゲストローム氏の著書から拝借しました。

エンゲストローム氏は日々の活動から起こる学習の在り方について、新たな見解を示しています。既存の枠組み(チームや学校、組織など)を越え、ノットによって創発的に広がっていくことこそ、これまでにない新たな学びを引き起こすというものです。

興味がある方はぜひ、『ノットワークする活動理論: チームから結び目へ』(新曜社)をお読み頂ければと思いますが、とても難しい理論で私自身、きちんと理解できているわけではありません。

でも、このネットとノットという言葉が、私の中で「結び目」となりました。

ネット社会でたくさんの情報が溢れるの中、私たちはどうしても人の目を引く目立つ情報に引き寄せられてしまいます。それ自体は悪い事ではありません。ただ、一度立ち止まって何が自分にとってのノットなのか、考えてみる必要があると思うのです。

そして勢いで同調したり反論したりするのではなく、まずは自分でそのノットをきつく締めたり緩めたりしながら、一体何が引っかかるのかをじっくり考えてみるべきではないでしょうか。

エンゲストローム氏は結び目によって広がる活動をネットワークならぬ「ノットワーキング」とし、ノットを中心とする主体的な活動と考えています。共感するにしても反対するにしても、しっかりと自分の軸を持つことが必要なのです。

これはネット社会に限らず、日々の人間関係にも言えることだと思います。もし今、純粋な興味や共通性を越えたしがらみに縛りつけられている関係性が身の回りにあるなら、それを見直すことが出来るのではないでしょうか。

「広く浅く」でも「狭く深く」でもない、この「ネットからノットへ」という人間関係の広げ方が、今私の中で一番しっくり来ています。

  

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