被曝(ひばく)の恐れのある放射性物質を許可なく所持したとして、愛知県警は5日、名古屋市守山区守山の会社員、市川貴紀容疑者(34)を放射線障害防止法違反などの疑いで逮捕した。県警によると、容疑を一部否認しているという。
逮捕容疑は4月24日午後5時10分ごろ、密閉した容器8個に入った放射性物質「アメリシウム241」と、爆薬の原料となる「塩素酸カリウム」約157グラムを自宅の室内で不法に所持した疑い。
アメリシウムはプルトニウムから生成される人工放射性元素で、煙感知器などに使われる。県警は市川容疑者が煙感知器の部品をインターネットで買い、アメリシウムを取り出して入手した可能性もあるとみている。周囲で健康被害は確認されていないという。
市川容疑者は「アメリシウムを持っていたことは認めるが、塩素酸カリウムを所持した認識はない」と供述している。県警は所持の動機や入手経路を詳しく調べる。
2018年に名古屋市の元大学生が公園で高性能爆薬を爆発させた事件の捜査の過程で、市川容疑者が危険な物質を隠し持っている疑いが浮上。県警が自宅を捜索し、押収した物質の分析を進めていた。
放射線障害防止法は放射性同位元素等規制法に改正され、9月に施行されたが、容疑が4月だったことから、県警は旧法を適用した。