楽天の無料サポータープログラムに当選した筆者によるレビュー。第1回、第2回に続く3回目となる今回は、海外に持ち出してみた結果をレポートします。
楽天キャリアでは、一般的な格安SIMでは不可能だった「海外データローミング」ができるようになっています。
楽天キャリアは海外データローミングに対応
楽天モバイルを海外で利用する場合、従来のMVNOサービスでは申し込みにより音声ローミングを利用できたものの、「データローミング」には非対応でした。海外用のWi-FiルーターやSIMを用意するという手はありますが、通信するまでの準備に手間がかかります。海外でデータローミングが使えないことから、格安SIMを避けてきた人もいるのではないでしょうか。
これに対して楽天の自社回線サービスでは、設定画面から有効化することで月間100GBの範囲内で海外データローミングを利用できます(無料サポーターは追加データチャージも無料なので、実質無制限)。
楽天によれば、このサービスはフランスのOrange International Carriers社とのパートナー契約により提供しているとのこと。大手3キャリアに比べて対応地域は少ないものの、アジア、北米、欧州を中心に日本からの旅行者が多い国はカバーされている印象です。
▲海外データローミングは64の国と地域に対応。どのキャリアにつながるかは楽天側では非公表とのこと
一方で、注意を要するのが音声通話です。楽天キャリアの国際電話は「日本から海外への発信のみ」利用可能。つまり海外にいるときは、電話をかけることも受けることもできないのです。
「日本から海外への発信」以外の国際電話について、「今後検討していく」(楽天モバイル広報部)との姿勢は示しているものの、対応時期は未定です。緊急時に海外で電話が使えないのは不安が残るので、代わりの手段を用意しておきたいところです。
たとえばデータローミングでつながっていれば、「楽天Link」(今後リリース予定)やLINEによる音声通話を利用できます。個人的にも、海外からの電話は料金面でもお得な「SMARTalk」などのIP電話を使うようにしています。
中国ではグーグルやTwitterを利用可能
飛行機に乗るため、まずは成田空港へ。千葉県は基本的には全域でauローミングが有効となっており、空港ターミナル内でも安定した通信が可能でした。▲成田空港はauローミングで安定
今回利用するのは「上海発ロサンゼルス行き」という激安チケットのため、まずは上海へ移動します。上海浦東国際空港に着いたところで「OPPO Reno A」のデータローミングを有効化すると、中国移動(チャイナモバイル)の電波をつかみました。
▲上海浦東国際空港にて。中国移動のTD-LTEにつながった
中国の国内ではインターネット利用が規制されており、現地のキャリアからはグーグルやTwitter、Facebookなどのサービスを利用できません。しかし海外データローミングは規制の対象外。楽天キャリアも問題なく利用できました。
上海での下り速度は5〜20Mbps程度でしたが、中国で自由にネットを使える回線としては十分な速度です。テザリングでタブレットやPCをつなぎ、YouTubeによる動画視聴やGoogleドライブへのアップロードも快適でした。
▲空港ラウンジにて速度を計測。これくらい出れば快適に使える。
▲上海で最も賑わう「南京路歩行街」。混雑する中でも下り5Mbpsほど出ていた。
米国ではAT&Tに接続
米国ではロサンゼルスのダウンタウンやビーチに滞在しました。空港に到着すると、まずはT-Mobile USをつかんだものの、なぜかデータ通信は不可能。しばらくするとAT&Tの電波をつかみ、以後はずっとAT&Tでつながっていました。▲ロサンゼルス国際空港(LAX)に到着。AT&Tの電波をつかんだ
マンハッタンビーチ沿いの遊歩道や、大型スーパーの店内では圏外になるところがあったものの、そもそもAT&Tの電波が来ていないようです。米国の電波状況は日本の都市部よりもアバウトで、意外とこういう穴があります。
▲週末はマンハッタンビーチに滞在。AT&Tの電波はおおむね良好だった
▲ダウンタウンでは比較的治安の良い7th St/Metro Center駅付近でテストしてみた
このように楽天キャリアの海外利用は、音声通話を除いたデータローミングについては十分に快適といえるものでした。なにより無料サポーターなら、大手キャリアでは1日980円から2980円程度かかる海外での定額料金が無料になるのもメリットです。運良く当選した人は、年末年始に海外で使いまくってみてはいかがでしょうか。