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【首都圏】「特別区の児相」は今
相次ぐ児童虐待事件を受けて児童相談所の体制強化が進む中、東京都二十三区のうち世田谷、江戸川、荒川区が来年四月の児相開設を予定している。児童福祉法が改正され、区も児相を開設できるようになった。ただ、身近な基礎自治体として児相開設に積極的な区がある一方、人材確保などに課題があり、まだ様子見の区も。現状を追った。 (東京ニュース取材班) 「児童福祉司が、虐待の調査や移動に時間を取られがち。子どもと接する時間を長く取れるようにしたい」。江戸川区の児相開設を担当する上川光治参事は語る。児童福祉司の定員は四十二人を予定する。 都が運営する江東児相よりも手厚い配置で、保護者対応のために常勤の弁護士も置く。虐待などで保護された子どもが最初に入る一時保護所は、従来の大部屋ではなく個室を用意する。世田谷、荒川両区も同様に個室を設けるという。 また、世田谷区は里親などへの一時保護委託を積極的に進め、保護中も子どもが学校に通える環境を整える方針。同区の長谷川哲夫担当課長は「子どもにできるだけ日常の生活を過ごさせてあげたい」と話す。 運用は手探りの面もある。三区は児童福祉司になる職員を都内外の児相に派遣し、現場経験を積ませてきたが、習熟には五~十年かかるとされる。江戸川区の上川参事は「職員を育成しながら相談対応するので、大変」と明かす。 都や他区との連携も課題だ。虐待などがあって、親の近くで子どもを預けられない場合、都や他の区の里親や児童養護施設に委ねることが想定される。都内のある里親は「区の児相に期待をしているが、分かれた行政間の情報共有は高いハードル。きちんと体制整備をしてほしい」と話す。 練馬を除く二十二区が児相設置を予定している。だが、時期が未定な区が多く、板橋と新宿は開設時期の延期を決めた。人材を確保できないという。多発する虐待事件を受けて、どこの児相も児童福祉司を増やそうとしており、品川区の担当は「圧倒的な人手不足」と訴える。 財政面の不安もある。児相の運営費は年間数十億円。区側は、都に財源移譲を求めているが、可否が決まるのは来年二月ごろの見通し。「心配で、はやく解決してほしい」(新宿区の担当)という声が上がる。 こうした背景から、児相を設置できる全国の中核市五十八市のうち設置しているのは、神奈川県横須賀市など三市のみ。都幹部は「手を下ろす区も出てくるのではないか」と話す。 PR情報
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