NTTは10月31日、次世代の高速光通信システムの実現を目指し、ソニーと米半導体大手のインテルとともに国際的な連携組織を立ち上げると発表した。新技術は通信時の遅延や電力消費を大幅に抑えることが期待され、自動運転車などへの活用の他、1年間充電不要のスマートフォンの実現なども見込まれるという。今後参画企業を募集し、来春に設立、2030年ごろの実用化を目標に掲げる。
NTTが開発を進める次世代高速光通信システム「IOWN(アイオン)」に、イメージセンサーなど光関連の技術にたけたソニーと半導体に知見を持つインテルが協力する。アイオンは電気信号を用いず、光の周波数で情報を区別し、信号として伝送する方式が特徴。連携組織では光信号で計算処理ができる半導体チップの開発を加速させる。
現在の通信技術でも光信号は用いられている。しかしスマホなどの機器に用いられている半導体は電気信号を使っているため、通信時には機器の電気信号を光信号に変換せねばならない。この際、遅延が起きやすくなったり、消費電力が増えたりする問題がある他、電気信号は発熱を伴うため、エネルギーの無駄が生じている。
新しい通信システムが実用化すれば、スーパーコンピュータでも困難な大規模計算が可能になる量子コンピュータの膨大なデータもやりとりできるようになる。交通状況など、街全体のデータを分析して災害などの不測事態の発生を予想したり、多くの自動車同士が通信して協調しながら最適な自動運転をしたりするといった未来に近づく期待が高まる。
またNTTは新構想で、電力効率を約100倍にする目標を掲げている。現状のスマートフォンのバッテリーの持続時間が数日間だとすれば、構想実現後には1年近くまで伸びる計算だ。
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