中国共産党の重要会議、いわゆる「四中全会」は、香港の混乱について「反乱扇動」などを禁止することを念頭に置いた法制度の樹立を決めた。さらなる締め付け強化が懸念される。
第十九期中央委員会第四回全体会議(四中全会)は十月二十八日から三十一日まで北京で開かれた。
採択された声明は、香港について「国家の安全を擁護する法律制度と執行メカニズムを打ち立てる」とうたった。
香港基本法が義務づける「国家分裂」や「反乱扇動」などを禁止する法整備を進める考えを示したとみられる。混乱収束に武力行使を含めた強硬策を正当化するような動きには強い懸念を覚える。
香港で十一月に実施される区議会議員選挙で、選管当局は雨傘運動リーダーでもあった民主活動家の立候補を認めない決定をした。香港デモの収束に向け行政長官は当事者能力を欠いており、この決定には中国の意向が影響しているとみるのが自然であろう。
声明は「一国二制度」堅持を強調したが、参政権剥奪のような対応は、中国が国際公約した香港の「高度な自治」を守る意思がないと批判されても仕方ない。
会議では「国家統治の現代化」が主議題とされた。習政権が最新の科学技術により統治の効率化を図っていく方針であるといえる。
党理論誌「求是」は最近、「自らに刃を向け、毒を取り除くため腕を断ち、内部から起きる災いを防ごう」との習氏の発言を掲載した。党内不満分子に対する強烈な警告にも映る。
中国政府は、国内メディア記者を対象に習思想などの理解度を測るテストを実施した。不合格者には記者証が発行されない。浙江省で十月に開かれた世界インターネット大会で、習氏は国内だけでなくネット空間のグローバル管理を厳格化する方針を示した。
中国で憲法が保障するはずの言論の自由が一層失われるだけでなく、息苦しい社会が中国以外に広がる恐れすらある。
香港紙は開幕前、政治局常務委員ポストが七から九に増やされ、五十代の二人が昇格する可能性があると報じた。
この人事が実現していれば、「ポスト習」の有力候補になっていた。だが、習氏が自身への権力集中を排し、トップの座の平和的継承に動くとの期待は裏切られた。集団指導体制が形骸化し、独裁的になっていく現状は危険である。
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