暗号の歴史 STAGE5 現代 Total Security Solution
~MISTY®の誕生~
コンピュータの誕生と共に、暗号はますます複雑で、解読が困難なものに進化していきます。そして、インターネットの誕生によって、暗号は現代の私たちの生活に密接なものになっていきました。
1976年 ディフィー=へルマンの公開鍵暗号
アメリカのホイットフィールド・ディフィーは、現在のインターネットの前身ともいえるアーパネット(ARPANet)が誕生した時に、いずれ多くの人たちがコンピュータを電話回線で繋ぎ、電子メールのやりとりをするようになるだろうと予測しました。そのときプライバシーを守るために、新しい暗号が必要であると考え、スタンフォード大学のマーティン・ヘルマンとともに、公開鍵というアイデアを発見しました。これは、暗号化するための鍵を公開鍵として誰でも入手できるようにし、復号化するためには本人しか知らない個人鍵を使うというものです。
1977年 アメリカの標準暗号、DES
1973年、アメリカ商務省標準局は、政府標準暗号を公募しました。そして、IBM社トマス・J・ワトソン研究所のホルスト・ファイステルが開発したルシファー(金星暗号)をベースに改良したものを1977年に正式採用し、「DES」(Data
Encryption Standard:データ暗号化標準)、と名付けました。
その後、研究者をはじめ多くの人がDESの解読に挑みましたが、15年間破られることはありませんでした。
1977年 RSA暗号
ディフィー=へルマンの発明した公開鍵のアイデアを実現する数学的手法は、マサッチューセッツ工科大学の研究者、ロン・リベスト、アディ・シャミア、レオナルド・アドルマンの3人によって発明されました。この公開鍵暗号は開発者3人の頭文字を取って「RSA暗号」と名付けられます。
<参考>1973年 GCHQの公開鍵暗号
第二次大戦後に英国で設置された最高秘密機関、英国政府通信本部(GCHQ)のジェイムス・エリスは、RSA公開鍵が発表される4年前の1973年に同様の概念を発見していました。しかし、政府の秘密隠蔽により最近まで知られることがありませんでした。
1994年 DESの解読
1977年にアメリカ商務省標準局が採用した暗号アルゴリズム DESは、56ビットの鍵を持っています。56ビットの鍵の組み合わせは約7京(7兆の1万倍)もあり、解読するのは不可能に近いとされてきました。事実、15年間一度も破られることがなかったのです。
しかし、三菱電機の研究所員・松井充は独力でDESの解読に成功。世界の暗号関係者たちを驚かせました。
2000年 第三世代携帯電話の国際標準化「KASUMI」誕生
「MISTY®」は、電子商取引用のICカードなど多彩な情報システムや製品に応用されはじめています。特に第3世代携帯電話のための暗号として「MISTY®」が注目され、2000年に「MISTY®」をベースにした携帯電話向け国際標準暗号「KASUMI®」が誕生しました。
問題 1995年 暗号アルゴリズム「MISTY」誕生
三菱電機は、DES解読の経験を生かし、より安全性の高い理想の暗号アルゴリズムの開発にとりかかりました。松井を中心に「情報セキュリティーシステム開発センター」を設立し、128ビットの鍵を持つ新暗号開発に着手し、1995年に高い安全性を持った新しい暗号アルゴリズム「MISTY®」を開発しました。
こうして誕生した暗号アルゴリズム「MISTY®」は、多彩な情報システムや製品に応用されはじめています。また、第3世代携帯電話のための暗号として「MISTY」が注目され、2000年に「MISTY®」をベースにした携帯電話向け国際標準暗号「KASUMI®」が誕生しました。
以下の問題にチャレンジしよう!
こちらの解答はアルファベット6文字です。
MISTYをベースに、2000年に開発された
携帯電話向け国際標準暗号は何でしょう?