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ちばあきお作『キャプテン』~

『キャプテン』とは・・・

「華無し」「色無し」「魔球無し」の三拍子揃った正統派野球漫画。登場人物が地味だが、それにより身近に感じることが出来る作品。
無名だった墨谷二中野球部が、キャプテンをはじめとしたナインの頑張りによって名門野球部へと成長していく様を描く。
物語は野球部のキャプテンの視点から描かれているので、一年ごとに主人公が変わる。
「どんな強い相手でも、特訓すれば必ず勝てるようになる」という、ドラゴンボールにも似た哲学を貫いているのが特徴。
こんなの読んだら『巨人の星』とか読む気が失せてしまう、(管理人的に)最高峰の野球漫画。



主な登場人物



谷口
初代主人公。
元々野球はド下手だったが、
努力の結果上達し、
キャプテンに任命される。
部員をしごき倒す一方、
試合中骨折しても試合を続ける、
サド・マゾ両方の素質を持つ男。


丸井
谷口の後を継ぎキャプテンに。
性格は短気で横暴。
それが原因で
キャプテン不信任案が出て
クビになりかけた経歴あり。
面倒見が良く(恩着せがましい)
卒業後もOBとしてよく顔を出す。

イガラシ
三代目主人公。
何故か名前がカタカナ。
素質と才能に恵まれているが、
性格は厳しく冷酷。
彼の代で
墨谷二中は黄金期を迎える。
実家はラーメン屋


近藤
消去法で選ばれたとしか
思えないキャプテン。
身体能力はずば抜けているが、
幼稚な性格で周りを困らせる。
全登場人物中、
最も多く殴られた男。
(大半は丸井から)






谷口編・・・
谷口編は比較的短く、その大半が試合の場面なので食事シーンは殆ど存在しない。
唯一食事の描写があったのがコレである。
(併せて参照ページも載せているが、大きいサイズのジャンプコミックセレクション版を使用しているので、通常版とは異なっている)


グルメその1

谷口母の豪華な朝食
「決勝戦だから たっぷり栄養をつけなくちゃな!」(谷口父)
(第二巻10ページ目より)

地区大会決勝戦の日の朝食。「すごい ごちそうだね」と谷口が言うように、凄いヴォリューム。
焼き魚にカマボコ、そしてサラダだろうか。手前の魚だけ二匹のっているが、恐らく谷口が食べるのだろう。
生活水準が低めの谷口家だけあって、質より量で攻めている。魚は・・・なんだろう?海水魚のようだが。
しかし、運動前(午後から試合が始まるにしても)に食べ過ぎるのは体によくないはずである。谷口母、もう少し息子のことを考えよう。
ちなみに、この日の弁当は「おめえのすきな のりまきだの おいなりさんが どっちゃり」(谷口父)のデラックス版(何の?)だった。




丸井編・・・
丸井編では大規模な合宿が行われており、そこに食事シーン存在した。
また、試合前の弁当を食べるシーンもあった。



グルメその2

イガラシの作ったインスタントラーメン
「どうだ みんな いくらインスタントラーメンでも イガラシがつくると ちがうだろう」(丸井)
(第四巻191ページ目)

合宿での食事は当番制のようで、このシーンではイガラシが夜食にインスタントラーメンを作っている。
イガラシの家はラーメン屋なので、丸井がおいしいラーメンの作り方をイガラシに尋ねたところ、
「まず あついお湯で 三分間ゆでる それで 味つけスープを そのあとに いれるんです」
「ひき肉だの 野菜なんか いためたのを いれて・・・・・・」
「すると たいへん おいしく いただけるわけ」と、秘伝の技を伝授してくれた。さぁ、みんなも作ってみよう!
ひき肉と野菜が入っているラーメンとは、なかなか豪華である。五目ラーメンだろうか。
だが、過酷な合宿の夜食がインスタントラーメンでいいのか?もっと栄養のあるモノを食べるべきだろう。腹持ちも悪そう。
食事する部員も疲れ果てている。野戦場キャンプのようだ。・・・手、洗ったか?
この後、食事がのどを通らぬ者、吐き気を催す者が一名ずつ出る。ラーメンのせいではない・・・はずだ。


グルメその3

近藤のママ手作りお弁当
「試合まえやから かるうにしときって ママにいわれたんや」(近藤)
(第五巻52ページ目)

地区大会決勝戦前での食事。大食漢の近藤が小さな弁当を食べていたので丸井が理由を尋ねた時の、彼の返答が↑。
残念ながらおかずが何かまでは特定できなかった。しかし、ご飯の比率が高すぎる。
連載当時(1970年代中盤)を考えるとこのような水準なのだろうか?お箸もちっちゃいのが可愛い。
巨体に似合わず、小さな弁当を行儀良く食べる様子を見た他の部員は笑い転げてしまう。
普段は冷静で無表情なイガラシでさえも、ご飯を吹き出して笑っている。(イガラシが笑う貴重なシーン)
当の本人はなぜ笑われているのか気付いていない。少し可哀想。


グルメその4

丸井のメザシ入り弁当
「ほほーっ めざしか おいしそうだね」(対戦相手・青葉学園の監督)
(第五巻55ページ目)

近藤の弁当ネタの直後のシーン。やはりご飯率が高い。ビバご飯党。
メインはメザシ(焼き?)で、カマボコみたいな物体が隣に添えられている。
メザシは体によさそうだ。育ち盛りの中学生にはカルシウムは必要不可欠である。丸井もイガラシも背が低いが。
何故丸井は箸を逆に持っているのかというと、青葉の監督におすそ分けしようとしたからである。速攻で断られたが。
丸井によると、かなり美味しいらしく、その監督に
「おいしいからって 試合前だし ほどほどにね」と言われ、弁当を残す時、よだれを垂らして惜しむほどだった。



イガラシ編・・・
歴代主人公の中でも最も長いのがイガラシ編だ。
当然ながら殆どが試合のシーンなのだが、丸井編同様合宿を行っている。
また、食事のシーンは全て合宿からである。

グルメその5

部員のおやつ
「まあ まともに のどに食い物がとおればの話だが」(丸井)
(第九巻25ページ目)

OBの丸井が(強引に)参加した合宿より。
部員が練習している間に丸井が部員達の荷物を整理(検閲)した結果出てきた御菓子の山。あの・・・、プライバシーは・・・?
ちゃっかり丸井がつまみ食いしているが、持ち主にそのことを伝えたのかは不明。
これらを食べるシーンが存在しないので、これらがどうなったのかは不明。
おやつにバナナって、時代を感じますなぁ。
よく見ると、ハムらしきものが大量にある。小腹が空いたらハムか魚肉ソーセージ、今と大差ありませんなぁ。



グルメその6

丸井特製塩っ辛いおかず
「おらあ 汗をながして 塩分が不足するだろうとおもって 塩をすこし多めにつかったってのによ」(丸井)
(第九巻41ページ目)

練習に忙しい部員に代わって丸井が作った昼食。
「塩を多め」どころか、大量に使っているようで、常に水を飲みながら食べる者、半分以上残す者が続出。
野菜炒めでも作ったつもりなのだろうか。
こんなものを食べ続ければ、いくら屈強な墨谷二中ナインでも生活習慣病にかかってしまいそうだ。
勝手に塩分の多い料理を作るとは、丸井らしい。愛情のすれ違いとは、こういうことを言うのだろう。
「これからは おれが みんなの炊事をやるんだし」(誰もしてくれとはいっていない
「かたづけがおわったら 料理の本でも買ってくるか」(・・・高校の方は大丈夫なのか?だから谷口のいる高校の受験失敗するんだよ)


グルメその7

丸井特製カレー
「えーと これで もう 火をおとして いいんだったかな」(丸井)
(第九巻109ページ目)

前回の失敗に懲りて料理の本を買ってきた丸井。そして合宿の最終日にカレーを作り、皆に振舞う。
失敗しないように料理の本片手に作っていた。
・・・カレー作るのに料理の本がいるのか?丸井サン、アンタの料理の腕は一体・・・。
慎重に作っただけあって、評判は上々。疲れて空腹になった時に食べるカレーは格別だもんね。
一緒に食べている、一回り体格の大きい縦じまのユニフォームを着ているのは、墨谷の練習相手を務めた朝日高校の軟式野球部員達。
練習試合とはいえ中学生に負けてしまった。墨谷が強すぎるのか、空腹で力が出なかったのか・・・?
ちなみに丸井もこの野球部に所属していたが、後に谷口のいる墨谷高校に編入する。朝日高校って噛ませ犬・・・?



近藤編・・・
近藤編の途中で漫画が終わっている。春の全国選抜大会までしか無いのだ。
食事シーンも谷口編並みに皆無で、今回は無理矢理用意してみた。

グルメその8

近藤パパが差し出した食後のデザート
「そ そんな たった三ぜんじゃ 力はいらんがな」(近藤)

(第十四巻150ページ目)

春の選抜大会の試合前で、大量の朝食を採ろうとする近藤に対して近藤パパがご飯のかわりに差し出した果物。
試合前には消化の良い食べ物を、という父の気遣いである。
ママの小さなお弁当といい、パパの細かい気配りといい、近藤家は親バカ炸裂だ。ちなみに近藤は父親似。母親には一切似ていない。
差し出された果物はリンゴにミカンにバナナ。決して高価な果物ではないが、当時朝食の後に果物なんて出てきたのだろうか。
恐らく近藤家は中流階級でも上の部類だろう。自ら自動車修理工場を経営しており、従業員も数名雇っている。
甘やかされて育ったんだろうな、近藤・・・。デザートにフルーツなんてうらやましすぎるぞ。





最後に・・・
やはり料理の描写が手抜きで、どんな食べ物か判断しかねるものが多かった。
野球漫画だから食べ物なんて何でもいいじゃないか、ということだろう。
僕もそう思う。野球漫画なんだから野球の描写ありき、なのだから。
でも、好きな漫画だからこそ、細かいところまで気になる。
重箱の隅をつつきたくなる。いぢりたくなる。

しかし、丸井は本当によく出てくる。
後輩の試合にも顔を出し、近藤編ではベンチに代わって指示を出す影の司令塔ぶり。
実は彼は第一話から最終話まで登場する唯一のキャラクター。もしかしたら作者に愛されていたのかもしれない。
欠点のある人ほど可愛いというし。


ちなみに僕が好きなのは谷口編の最後の試合。
指を骨折しても試合を続けた谷口が渾身のスルスウィングし、
一塁にいたイガラシが三塁コーチの支持を無視してホームインして宿敵・青葉に勝ったシーンは感動モノです。
丸井・・・何してたっけ?