今回は大岡家の執事、伊織無我について考察したいと思います。
何しろ彼はまだ出番がそう多くないキャラクター。
だからこそ今なら思う存分考察ができるというもの(笑)
この状況を活かして深読みも交えながら綴ろうと思います。
伊織無我は麻薬取締官ではないか
私は伊織の正体は麻薬取締官の可能性があるのではないかと考えています。
伊織無我は一般人ではないことは確かなはず。
まず彼の初登場の「謎解きは喫茶ポアロで 92~93巻」。
彼の存在に気付いたコナンと平次の感想が以下の通り。
平次(な…何や…コイツ…)
コナン(気配が全くしなかった!?) 92巻
2人のすぐ隣のテーブルにいたにも関わらず伊織が話し始めるまでコナンと平次は彼の存在に気付くことができませんでした。
また事件解決後も人知れず姿を消しています。正に神出鬼没。
さらに94巻では紅葉に襲い掛かろうとする人物をあっさりと撃退しています。
大金持ちのお嬢様の執事を務められるだけあって身体能力に関しても優れた人物と言えそうです。
そして最新の「暗号謎解きレース」では死体を目撃しても微動だにしない。
これらの点から一般人とは異なる「何か」が彼には備わっていると考えられます。
その「何か」は「麻薬取締官」という正体なのではないか。
私は以前から彼の正体は麻薬取締官ではないかと考えていたのですがマトリが大岡家に潜入する理由がイマイチ分からなかったのでこの仮説は成り立たないとも考えました。
そんな中、最新のサンデー40号で大岡家が羽田家と縁のある家柄だと判明しました。
またこの40号で羽田浩司が大金持ちの御曹司であることも明らかとなりました。
このことから羽田家が組織に資金援助をしていた可能性も浮上します。
そして羽田浩二はAPTX4869により最期を迎えている。
ざっくり説明すると羽田家と薬物には関連がある。そしてその羽田家と縁のあったのが大岡家です。
マトリである伊織が羽田家の周辺に不審な動きを感じ、縁のある大岡家に潜入した可能性などは考えられる状況が生まれました。
先述の通りコナンと平次は伊織の気配に全く気付くことができませんでした。
しかし安室はちゃんと気付いています。
コナン「ねぇ、あの人よく来るお客さん?」
安室「いや、初めてだと思うよ…君達が来たすぐ後に来店された方で…」92巻
これは安室が観察能力に長けているというよりも同じ潜入捜査官としての力が発揮されたシーンではないかと考えています。
要するに伊織の正体に関する伏線ではないかな、と。
またこの回で伊織は登場時も去り際も見事に気配を消し去っていますがこれも潜入捜査官ならではのテクニックと言えます。
安室の名前は透。透明の意味があります。
伊織の名前は無我。自分を無くすという事。
自身の存在を透明にする、無くすという名前の共通点は2人が似通った職業に就いているというヒントなのかもしれません。
ポアロで事件が発生したばかりの店内で伊織はこんな台詞も言っています。
「私はあの入り口の扉の前に陣取り何人たりとも店外に出さぬよう警戒しておりましたので…」 93巻
これは悪人を絶対に捕まえるという正義の立場の人間の行動です。彼の本来の姿の象徴的な行動と言えます。
もちろん安室同様に公安の可能性もゼロとは言えませんが気になるのはこの台詞。
「私は和田進一…医療関係者です」 93巻
彼は平次の観察を目的とし、素性を隠してポアロにやってきています。
この場合偽名を名乗ることは何ら問題はありませんが私が気になっているのは医師など明確な職業でなく医療関係者としたことです。
麻薬取締官は一般的に薬事に精通している人物を指します。
ここで伊織が「医療関係者」と名乗っても彼が麻薬取締官であるのならこの発言は嘘にはなりません。
また犯人は返り血を浴びている可能性があるので手を見せてほしいという安室に対し両手の手の甲を顔の位置まで挙げています。
ドラマなどでよく見る医師のオペのポーズです。これも彼が本当に医療の分野に明るい人物という意味かもしれません。
深読みですが長髪なのもマトリの仕事上有利なのかも。
コナン「おとり捜査も法律で認められているから…金髪も刺青も鼻ピアスも何でもアリ!」 83巻
彼は紅葉に仕えていますが京都の言葉を話しません。
恐らく京都の人間ではないが事情があって大岡家のある京都に来ているという事。
これも一か所に身を置かない潜入捜査官ならではと考える事ができます。
また最新の事件で伊織がいわゆる外国人目ではないことが分かりました。(初登場時は一貫して外国人目)
ポアロで外国人目だったのは安室がバーボンとして振舞う時と似通った意味なのかもしれません。
伊織の「いずれ…」の言葉の意味
平次「けどアンタら何者や?」
伊織「まぁそれは…いずれ…」 38号
伊織の言葉は自分には秘密があるという意味。
秘密を抱えた人物となると組織に大きく絡むことが予想されますがポイントは平次に返事をしたこと。
この時コナンも発言していますがコナンは車中で伊織に背を向けています。
そんな中伊織は後部座席を振り返り返事をしています。
これは伊織が返事をした相手がコナンでなく平次だという明確な描写です。
今のところ平次は組織を追う人物ではありません。
伊織の秘密は組織を追うコナンでなく平次に明かすことに意味があると捉えることができます。
そこで思い出されるのが83巻の平次と麻薬取締官の騒動です。
平次はおとり捜査中だった麻薬取締官の人物が和葉にちょっかいを出したと勘違いをしたことがありました。
伊織の秘密が麻薬取締官である場合平次と無関係ではないので「いずれ…」という言葉が過去の答え合わせになりそうです。
伊織無我は「悪」ではない
伊織が悪の立場であるという可能性は今現在は有り得ないと言うべきだと思います。
先述の咄嗟に出入り口を塞ぐ行為も平次に対し自らの秘密を明らかにするという言葉からしても悪という要素は皆無。
素性は気になるところですが警戒に値する人物ではなさそうです。
伊織は羽田家の元家政婦の息子なのか
最新の事件は大岡家と縁のある家で家政婦をしていた女性が生前に残した暗号を解き明かすというものでした。
その暗号は彼女の4人の息子が協力し合わなければ解けないもの。
その息子たちは全く似ていなかったのですが眉毛だけは似通っていました。伊織はこの種類の眉毛の持ち主です。
4人の息子たちは家族写真をコナン達に見せ、それが撮影されたのが30年前と語っています。
伊織の年齢が30歳。そしてこの家族写真や息子たちが火傷を負った際の回想シーンは母親の腹部が徹底して見えないように描かれています。
次男「母さんの体重ですよ…あの頃かなり太っていましたから…」 40号
あの頃という言葉をわざわざ付けているのは普段は痩せていたという事。
この4兄弟の母親は当時妊娠していたのではないでしょうか。
三男「その上あの日も肉焼きまくってたらふく食べていたしよ…」 40号
この台詞も母親が5人目の子供を妊娠中で食欲が旺盛だったと捉えることが出来そうです。
妊娠が事実なら眉毛や年齢からお腹の子供は伊織と考えられます。
母親は子供をみんな養子に出したのだからそれなりに複雑な家庭環境だった。5人目の子供について息子達に語っていなくても何ら不思議ではありません。
私は彼女がこの時妊娠していた可能性はかなり高いと思います。そしてその子供が伊織というのがミスリードとも考えにくい。
伊織はまだ出番の少ないキャラクターなのでミスリードを描く段階ではないような気がします。
もしこの女性と伊織が親子であった場合羽田家の情報を家政婦の母から聞く機会もあったでしょうし伊織本人が羽田浩司と面識があっても年齢的におかしくありません。
そうなると伊織と薬物がぐっと近い存在となり彼の正体が麻薬取締官という私の推察も有り得ないとは言えないと思います。
伊織と安室は交流がある?
伊織と安室には交流がある可能性についても考えているので一応綴っておきます。
安室は伊織の来店についてコナンに「初めてだと思う」と答えています。
嘘をついている様子はなく、伊織と安室に面識があるような印象は受けません。
ですが深読みすると事件発生後の2人は初対面にしては奇妙な行動を取っているように見えます。
まずポアロ店内が停電し暗闇の中で被害者の悲鳴が響きます。この時安室の取った行動は梓に電源の復旧を促すことでした。
そして伊織は上記の通り容疑者が逃げ出さないよう出入り口を塞いでいます。
この伊織の行動は本来なら安室が取るべき行動です。
それをしなかったのは両者には交流があり安室から見て伊織は緊急時にそれ相応の行動のとれる人物だと判断していたからではないか。だから出入り口の事は入り口近くに座っていた伊織に任せ自分は梓に声掛けをした。
このように考えることができます。
また伊織は安室と違い息のある被害者に対し何の行動もとっていません。
伊織が麻薬取締官であるかはさておき最新の事件で死体を見ても動じていないことからこのような現場には慣れているはずです。その伊織が何の対処もしなかった。
これも伊織が安室の職務内容を理解していたので彼に任せておけば安心と考えた結果かもしれません。
そして伊織は事件解決後誰にも気付かれずにその場を去っています。
安室は彼の入店時にその気配に気づけたのですから伊織がこっそりポアロを後にしようとする気配も感じ取り、現場に留まらせることはできたはずです。
それをしなかったのは交流のある伊織を逃がしてやったと捉える事もできるのではないでしょうか。
つまりポアロの一件は両者の阿吽の呼吸が成り立っていた事件ではないかという深読みの考察です。
深読みですが一応の筋は通ると思います。
安室は麻薬取締官と交流している可能性が高いと考えているので伊織も交流のある人物のうちの1人なのかもしれません。
ただこれは2人が交流がなくとも互いに潜入捜査官という気配に気づいた為に可能だった連係プレイの線も有り得ますね。
年齢も1つ違いなので交流があれば面白いなと思います。安室の右腕の風見も伊織と同じ30歳でしたね。
伊織のスマホは脇田とお揃い?
伊織のスマホは脇田と同じデザインの可能性があります。
断言できないのは最新の伊織のスマホには脇田のスマホのデザインの特徴である四角のマークが見られないからです。(ポアロの事件の時はマークあり)
書き忘れなのかそもそも同じ物では無いのか気になるところです。
単行本で脇田と同様のデザインに修正されていた場合は彼のスマホが今後の展開のキーになる可能性が高くなりますね。
私は以前から脇田はラムではなく麻薬取締官であるとこのブログで主張しています。
2人のスマホがお揃いである場合2人とも同じ職業という伏線の可能性があります。
ちなみに伊織の初登場の事件の際脇田の勤めるいろは寿司の話題が唐突に出てきます。(93巻)
伊織と脇田は繋がりがあるという示唆かもしれません。
最新の事件の扉絵は左目を閉じている紅葉とラム肉という単語から脇田を連想させます。
最後に羽田浩司に関する新情報が出てきたのでラムの正体は脇田という方程式を読者に示したい青山先生の考えなのかなと思いますが同時に脇田と伊織は同じ麻薬取締官であるという伏線なのかなと考えています。
伊織の目的は何なのか
ここでは伊織の正体を麻薬取締官ではないかと綴っていますが現状ではまだ考察材料が足りません。
しかし気になるのは伊織のこの言葉。
「この伊織…死力を尽くしてお支えする所存でございます!」 93巻
この言葉はどこまで本音なのかがさっぱりです。
彼の忠誠心の向かう先は紅葉個人なのか大岡家なのかはたまた潜入捜査官であった場合その職務上潜入先に馴染むために相手が気に入る言葉選びをしているのか。
92巻で彼はお喋りなキャラクターである安室の言葉を遮り長々と発言しています。
これは平次が和葉に告白するのを止めさせたいという思惑が働いての事ですがそれにしても不必要に話している印象を受けました。
実際に伊織の言葉を受けた平次の感想は告白を思いとどまろうではなく伊織の気配の無さへの衝撃です。
もしかすると伊織は本来お喋りな人物なのかもしれません。
その場合彼は無我という己の名前の通り自分を偽って聞き分けの良い執事を演じていることになります。
そもそも潜入捜査官であった場合この名前すら偽名のはずです。
「死力を尽くす」という言葉を用いてまで紅葉に仕える理由は何なのか、一体何が目的なのか。
「いずれ…」の答え合わせが待ち遠しいキャラクターです。