実は脇田兼則は利き手がいまいちよく分からないキャラクターと言えます。
初登場の92巻で客に飲み物を提供しているのは右手です。
コミックス化されていない長野廃教会殺人事件では折り詰めの寿司を右手で食べていますがこの時にお箸を使用せず手掴みだったのも気になる点です。
脇田「本当は板場に立ちてぇんだけど片目で包丁握るのは危ねぇってんで…左目がちゃんと治るまで接客してろって大将が言うんでね…」 92巻
彼の素性は不明ですが板前の仕事に就いている時点で料理はできるはずです。
ですが現在までに調理のシーンが無いため包丁をどちらの手で握るのかまだ分かっていません。
トランプを引くのは左手、廃教会の扉を開けるのも左手。
彼はこの事件の中で薬物を検査する道具を持ち歩いていることが明らかになりました。
この際その簡易検査の道具の使用は右手で行っています。
脇田は利き手がいまいちよく分からないキャラクターと言えるのではないでしょうか。
『ゼロの日常』で示唆された脇田の利き手とは
ここからは『ゼロの日常』の中で描写された脇田の利き手に関する伏線ではないかと感じているものについて記載したいと思います。
『ゼロの日常』は安室透の素顔を描いたスピンオフ作品です。
そこから本編の重要人物であるラムの候補の1人である脇田について考察するのはナンセンスという意見もあるかと思います。
ですが私は『ゼロの日常』の中からもラムをはじめ、今後のストーリーを考察する材料は多いと感じています。
まず3巻「逃げてください」に注目。
扉絵はボクシングをしている安室です。
脇田のビジュアルは「あしたのジョー」の丹下段平からと言われており、このことから安室にボクシングを教えたのは脇田ではないかという説が読者の間で出ています。
私もある伏線からその可能性が高いのではないかと考えています。(このことに関してはまた別に記事にします)
この話は妃英理の秘書として働く栗山緑がストーカー被害に遭いそのストーカーを安室が密かに撃退する話です。
このストーカーは右手で緑のバッグのアクセサリーを引きちぎりました。
ですがその後犯人は左手に包丁を持ち安室に攻撃を加えようとします。つまりこの人物は両利きと考えられるのです。
またこの話の中で梓が「目つぶし」という言葉を使っています。
扉絵がボクシング、目つぶしという言葉、犯人が両利き。どれも脇田を連想させるものです。
そしてコミックス化されていない『ゼロの日常』37話「構わんよ」にとても興味深い描写があります。
この話は安室が引ったくり犯をやっつける話ですが彼は自分が警察であることを隠さなければならない立場です。
梓「あ、安室さんがやっつけたんですか?」
安室「いやいや……バナナの皮ですべったんじゃないですか?」 サンデー33号
安室は犯人が倒れている理由をバナナの皮のせいにします。
この時、犯人は左目をバナナの皮で塞がれています。
ラム候補3人のうち左目が義眼とされているのが脇田なのでこの引ったくり犯は脇田を現した人物と考えていいのではないかと思います。
引ったくり犯は子供に危害を加える際、凶器を左手で持っていますが安室に暴力をふるう際右利きと考えられる描写があります。
つまりこの犯人は両利きの人物となります。
脇田を連想させる2人の犯人がどちらも両利き。
さすがにこれが偶然と片づけるには無理がある。
やはり本編で脇田の利き手が分からないことと関連していると思います。
青山先生は意図的に脇田の利き手を読者に分からない様に描いていると考えていいのではないでしょうか。
すなわち脇田の利き手が不明瞭なのは今後の展開の伏線と言えるはずです。
今後脇田が登場する際は彼の利き手に注目するべきです。
また『ゼロの日常』でも両利きの人物が登場した際は「ボクシング」「左目」「寿司」など脇田を連想させるものがないか探してみるのも面白いと思います。