荒木荘の内装の特色は、華やかであること。特に食堂は下宿屋でありながら、裕福な商家育ちのさださんの趣味で、オシャレでハイカラな雰囲気になっています。 単身、大阪に移り住んできたきみちゃんにとって、大阪は新しい華やかな世界。信楽の貧しく慎ましい川原家と、都会的で洗練された荒木荘が、ドラマで対照的に見えるように工夫しています。
美術デザイナー 岩瀬夏緒里
都会のハイカラな雰囲気
食堂
360°画像
腰壁で洋風な雰囲気をプラス
食堂は、もともと和風の広間だったところを洋風にリフォームしたという設定です。ソファなど洋風の家具を置くだけでなく、腰壁に木の板をはることで、モダンな雰囲気にしてあります。壁は赤色の聚楽(じゅらく)壁。黄色の玄関と対照的になっています。
ハイカラな調度品
フロアスタンドランプ、ビューロー(収納棚)、油彩画、蓄音機などなど、ハイカラな調度品があちこちに飾られています。いずれも、女主人のさださんの趣味で置いているという設定。
「下宿代は滞りなくお支払い願います」の貼紙が、ここが実は下宿屋であることを思い出させてくれますが、さて住人への効果は…。
大久保さんときみちゃんの主戦場
台所
360°画像
1950年代の台所の風景
オシャレな雰囲気の食堂に対して、台所は実務的なのが特徴。よく見ると当時と今とでは、台所に並んでいるものがけっこう違います。
食べ物をとっておくならラップフィルムをつけるのではなく、蠅(はえ)帳へ。コンロに火をつけるのはマッチで。冷蔵庫は電気ではなく氷冷蔵庫。電気炊飯器や電子レンジはもちろんありません。食器を洗うのは、スポンジではなく、タワシや竹ささら。調味料の貯蔵や漬物のためにホーローの容器がたくさんあるのも特徴です。
買い物はツケで
八百屋や酒屋のつけ帳。買い物はなじみのところから購入して、支払いは月ごとにまとめて払います。
住人ごとに食器が違います
左から、きみちゃん、大久保さん、ちや子さん、さださん、圭介さん、雄太郎さんの湯飲み。食事のシーンをよーく見ると、分かるかもしれませんが、お茶碗とお箸も住人ごとにそれぞれ決まったものが使われています。