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再放送ですが…


まだまだお正月気分が抜けない xsylphyx ですが
創作も進まず、もがき苦しんでおります…
と言って、何もしないで放置しておく訳にも行きませんので
いまさらですが、【マツリ】に投稿させて頂いた創作を
お出しして時間稼ぎでもしてみようかと…

オイッ!ふざけるな!! それはもう食ったから別の料理を出せ!!
などと仰らずに、もう一度、お召し上がり下さいませ
もしかしたら、何か良い事があるかもしれませんよぉ?


それでは 『参上!! 美少女剣士セイバーナイツ』 の始まりで御座います






老科学者天野彦左衛門が作り出したセイバースーツに身を包み
世界制服を企てるジャムー帝国と戦う美少女剣士セイバーナイツ。

セイバーブルー小池由佳とセイバーピンク神崎麻美は17歳の女子高生。
時給のいいアルバイトを見つけた2人がその連絡先を訪ねると
雇い主の天野彦左衛門がジャムー帝国に襲われている現場に遭遇。
逃げ出そうとした由佳と麻美だったが彦左衛門の巧妙な話術に乗せられ
言われるがままにセイバースーツを装着させられてしまい
なぜかそのままセイバーナイツとしてジャムー帝国と戦い続けていた。

そんなある日
ジャムー帝国との戦いで、生みの親でもあり指揮官的存在でもあった
天野彦左衛門を失い、苦戦を強いられていたセイバーナイツは
偶然通りかかった20歳のOL天野愛子に助けられる。

そして、愛子が自分たちをジャムー帝国との戦いに巻き込んだ
天野彦左衛門の孫だと知ると、2人はその責任を愛子に負わせ
共にジャムー帝国と戦うことを強要した。




第39話『新たなる敵 オトヒメ 敵になった愛子』



3人目のジャムー四臣官カグヤを撃破した
セイバーナイツは束の間の休息に胸を躍らせていた。

「愛子さん 早く早く!!」
「麻美ちゃん わたしは浜辺で… 泳がないから水着なんて…」
「ダメです! そんなオバサンみたいなこと言わないで下さい。
  もう信じられないですよ、ハタチの女性が水着の一着も持っていないなんて」

大きな勝利のご褒美に海に行くことになったセイバーナイツは
その準備の最中、唯一の協力者で戦闘時には的確な指示を出してくれる愛子が
水着を持っていないことを知り、彼女の水着選びに来ていた。

「わたしホントにいいから…」
「ダメですって! わたしが由佳ちゃんに怒られるんですから
  あっ、ここです。『Sea God』」

愛子の背中を押してセイバーピンク神崎麻美は事前に調べておいた店に入って行く。

「愛子さん スタイルいいからこっちビキニなんかどうですか?」
「わっ! な、なに選んでるのよ麻美ちゃん そんなの着けれないよ」
「じゃあこっちにする?」
「もっとダメよ!」

店に入って2時間。
ずっとこんな状態が続き、気づけば店にいる客は2人だけで
少し離れた場所で麻美たちのやりとりを見ていた店員が
愛想良く微笑みながら何点かの水着を持って近づいて来た。

「いらっしゃいませ
  ずいぶんお悩みのようですが、こちらなどはいかがでしょう?」

店員が無難なワンピースを並べて見せる。

「さきほどから拝見しているとビキニよりこちらの方なのかなと思いまして」
「すみません 水着なんて高校の授業で着けたきりで恥ずかしくて…」
「お客様は素敵なスタイルをしていらっしゃるのでビキニもお似合いだと思いますよ」
「ですよね?  だから愛子さん、ビキニにしましょうよ」
「もう! 麻美ちゃんダメだってば」

愛子は店員が持ってきた鮮やかなマリンブルーのワンピースを手に取った。

「これにします」
「ありがとうございます ご試着はどうされますか?」
「えっ! あっ、結構です。 サイズも大丈夫みたいですから」
「かしこまりました そちらのお客様もいかがですか?」
「あ わたしは買ったばかりなので」
「そうですか ではこちらに」

麻美は店員に案内されてレジに向かうあいだも
愛子にビキニを薦め続けていたが首を縦に振ることはなかった。

「サイズが合わないようでしたら お取替え致しますので仰って下さい。
  本日はお買い上げありがとうございました」
「いえ、こちらこそ長い時間お邪魔してすみませんでした」

店の入り口まで見送りに来て
頭を下げる店員たちに愛子も深々と頭を下げて応えてから店を出ると
頭を下げたまま見送っていた店員の口元が邪悪に歪んだ。

「フフフ… オトヒメ様にご報告を」
「ハッ かしこまりました」

小さな声で言葉を交わし、顔をあげた店員たちの瞳はマリンブルーに輝いていた。



海の底
オトヒメの移動要塞『竜宮殿』

「そう セイバーナイツの1人がジャメーバースーツを… フッ…ウフフフ…
  ソルジャーを集めるための作戦にセイバーナイツが掛かるなんて、運がいいのかしら」

専属ソルジャーを集めるために水着ショップの店員に変装させていた
部下からの報告を聞いたオトヒメの舌先が赤紫色の唇を濡らした。





一泊分の荷作りを終えた愛子は購入してきた水着とベッドの上で向き合っていた。

「買ってはきたけどわたしは泳げないし、海に入るつもりもない…
  でもそれじゃ楽しみにしている由佳ちゃんと麻美ちゃんの気分を害してしまう……」

どちらかと言うと文科系の愛子は
自分の体に自身がなく、水着を着けることに抵抗を感じていた。

「やっぱり着ないとダメよね。 でも恥ずかしい…
  水着の上からTシャツとパンツを着るくらいは許してくれるかな…」

風呂上り 肩までの髪を後ろで束ねて体にバスタオルを巻いただけの愛子が
タオルをほどき、おずおずと買ってきたばかりの水着を着ける。

「一番大人しそうな水着でもこんなに… やっぱり恥ずかしいよ エッ!?」

鏡に映った自分の水着姿に頬を紅く染めていた愛子の顔がにわかにくもる。

「な…に……いま…」

<< ニュルニュルン >>

「ヒャッ!」

机の上に置いてあった愛用のメガネを掛けてじっくりと
鏡に映っている自分の姿を 違和感を感じた下腹部を見やると
水着の表面が小さく波打ち、マリンブルーがゆっくりと
体の表面に拡がりはじめていた。

「な、なによこ…ン…ンン!!」

いつの間にか背中を覆いつくしていたマリンブルーが触手のように
伸び拡がり、愛子の鼻と口を塞ぐようにへばりついた。

「ンンン!!」

鼻と口を塞いだマリンブルーを剥がそうともがいていると
腕から指先へとマリンブルーが拡がり覆われていった。

― しまった! これはジャムー帝国の… 新しいジャムー四臣官のワナ… ―

浮かれ気分で警戒心が薄くなっていたことを
後悔したがあとのまつり。
マリンブルーで覆われた体は自由を奪われ
仰向けにベッドの上に寝かされた。
完全に鼻と口を塞がれて声を発することは出来ないが
呼吸の妨げにはなっていない。

― いったいなにを…エッ…ハゥゥ… ―

愛子が思考を巡らせようとすると
電流を流されたような衝撃が全身に走り
それは断続的に繰り返され
愛子は思考を麻痺させられて眼が虚ろになっていった。

― ジャ…ムーは…なにを……えっ……だ…れ… ―

? …ネムリナサイ… ?

ピリピリ感じていた痛みはいつの間にか無くなり
代わりに怪しい声が頭の中に響き、全身を心地よい痺れで包み込む。

― くぅはぁぁ…なに…これ……あ…あぁぁ…… ―

? …ネムリナサイ… …ネムリナサイ… …ネムリナサイ… ?

― ぁあぁ… だめ……だ…め………だ……め… ―

頭の中に響いてくる声に抗えず
愛子の瞼がゆっくりと閉じられると全身がマリンブルーで覆われた。




<< ピロピロロ ピロピロロ >>

「はぃ…もしもし……」
『うそっ! 信じらんない…』
「ん…由佳…ちゃん?」


愛子は携帯電話の着信音で目を覚ました。
電話の相手はジャムー帝国以上の強敵セイバーブルー小池由佳。
体育会系のノリでぶつかってくる由佳を愛子は苦手とし
由佳はそんな愛子の反応を楽しんでいた。

「『ん 由佳ちゃん?』じゃないっしょ 愛子ォォ!!」
「うふぇ………あっ! ゴメン
  直ぐ準備して迎えに行くから
   ホント直ぐに行くからちょっと待っててね」

携帯を切ると慌ててベッドから飛び起きた愛子は
鏡に映った自分の姿に動きを止めた。

「とっと…あれ?
  わたし水着…そのまま寝ちゃった…のかな………
   そうだ、きっとそうよ! そんなことより
    いまは強敵の怒りを静める手立てを」

何か忘れているような すっきりしない感じだったが
頭の中が由佳の怒りをどう静めるかで一杯の愛子は
急いで着替えを済ませると由佳と麻美が待っている駅前に向かった。
このとき愛子は自分の体に起きている変化に気づかなかった。
恥丘に赤紫色をした斑点が現れていることに…


「ったく こんな楽しい日に寝坊しますか?」
「ホンっトにごめんなさい」
「もういいじゃない由佳ちゃん
  愛子さんがお昼ご馳走してくれるって言ってるし」
「食べ物に釣られるな!!
  それに今回のご褒美は最初から愛子が全部…… もういい、許す
   ただし!! ちゃんと水着を着て、オレたちと海水浴を楽しんでもらう
    浜辺でなんて許さないからね!!」
「えっ!? えぇぇ!! わたし泳げないよ… 水キライだよ… それだけはご勘弁を…」

車を運転しながら泣きそうな顔をしている愛子を指差し
由佳と麻美は笑い飛ばしていた。



「「あ?い?こ?さ?ん 先に行ってるからね?」」
「もう! わかったわよ!! ハモらなくてもいいじゃない!!」

戦闘以外でも息の合ったところを見せつける2人に
愛子はほっぺたを膨らませた。

― いいわよいいわよ そんなに苛めるんだったら… ―

「ヒャヒャヒャ…… 逃げようなんて 考えてないよねェ 愛子ォ」
「そ、そ、そ、そんなこと…」

由佳は射るような冷たい視線を愛子に向けて
そう言い残すと麻美と海辺に向かった。

「ハァ… なんで寝坊したんだろう…」

重い空気を漂わせながら
愛子はカバンから水着を取り出して着替えをはじめた。
裸になって水着に足を通そうと上体を屈めた愛子は
恥丘に赤紫色の模様が浮かび上がっていることにようやく気がつく。

「あれ? アザ?…… エッ!?
  エェェ!! こ、これってジャムー帝国の」

恥丘に浮かび上がっている赤紫色をした紋様。
それが自分たちが戦っている
ジャムー帝国の紋様であることは一目で判った。

「どうしてこんな物が…… そう言えば昨日の夜……エッ…」

言いようのない不安に駆られた愛子が紋様に触れようとしたとき

? …クルノデス… ?

「な…に…」

愛子は部屋中を見渡し声の主を探した。

? …クルノデス… …サマガオマチカネデス… ?

「ジャムー帝国! どこにいるの出てきなさい!!
  わたしに何を、何を企んで!? アッ…ウグッア…アァァ……」

両手で頭を押えた愛子が苦悶の表情でその場に崩れ落ちる。

? …クルノデス… …サマガオマチカネデス… …クルノデス… ?

「ウゥ…アァァ…アァァ……イ…ヤ……こんな……こと……で…」

大きく見開かれた眼の瞳孔は開き、焦点は定まっていない。

? アラガウコトハデキナイ スデニ ジャメーバーノ ドウカハ ハジマッテイル
   マモナク オマエハ ジャムーノ タミトナルノデス ?

愛子が身に着けたマリンブルーの水着。
それはジャムー帝国が作り出した人をジャムー帝国の民に変えてしまう
恐ろしいジャメーバースーツだった。
ジャメーバーと呼ばれる細胞体を人の脳細胞に同化させて
その人間の意識にジャムー帝国への忠誠心を芽生えさせる。
そして、同化が進むにつれて顔と体の一部に紋様が表れ
同化が完了するとジャムー帝国の命令に絶対服従の
ジャムーソルジャーへと生まれ変わるのだった。

? サア タチナサイ ジャムーノシモベ  オトヒメサマガ オマチカネデス ?

「あはぁぁぁぁ……」

大きな声を上げた愛子が両手を体の横に下ろしてコクリと小さく頷く。

「…ハイ…」

返事をして立ち上がった愛子はマリンブルーの水着を
着けると誘われるように歩きはじめた。
その瞳にはマリンブルーの輝きがゆらめき
意志の光はない。



一時間後
いつまで経っても姿を見せない
愛子の様子をみに、由佳が部屋に戻ってきた。

「愛子なにして…… チッ!! あいつぅ ホントに逃げ…」

部屋中の扉を開けて、隠れているかもしれない愛子を
探していた由佳は 脱ぎ散らかったままの衣服と
メガネが残されていることに違和感を覚えた。

「麻美 ちょっとヤバイことになったかも
  うん すぐに愛子の部屋に来てくれ」

由佳は携帯で浜辺で待たせていた麻美を部屋に呼び戻した。





海底によこたわる黄金の建造物。
それはゆっくりと移動している。
ジャムー四臣官が1人 オトヒメの移動要塞『竜宮殿』。

「よく来ました 我が僕となりし者 天野愛子」
「…ハイ… お招きいただきありがとうございます」

長い黒髪に透きとおるような白い肌
光沢のある赤紫色のボンデージを纏い
絢爛たる椅子に足を組んで掛けている
ジャムー四臣官最後の1人 オトヒメ。

「最強と謳われたカグヤを葬りし セイバーナイツ。
  その頭脳が我が手駒を集めるための策にこうも容易く…」

流れるような優雅な動きで立ち上がったオトヒメは
身に着けているロングブーツのヒールを響かせ
直立不動で佇んでいる愛子に歩み寄るとロンググローブで
覆われた指に嵌まっている青い宝石の指輪を愛子にかざした。

「アァ…」

愛子が着けている水着がスルスルと全身に拡がり
首から下の全てをマリンブルーで覆いつくすと
マリンブルーの恥丘に赤紫色をしたジャムー帝国の紋様が
くっきりと浮かび上がった。
そして、紋様を中心にその周囲が楕円形に盛り上がり
紋様以外の部分が黒く変色して紋様が浮き彫りになると
楕円の両脇から赤紫の帯が伸びて腰に巻きつき
それはジャムー帝国の紋様が付いたベルトに変化した。

ベルトが完成すると
肘から先も紋様と同じ色に変わってグローブとなり
膝から下も変化して、ゆっくりと踵がせりあがり
ヒールが形成されてブーツになると、その姿は
壁際で整列して立っているジャムーソルジャーと
同じになっていた。

無表情でオトヒメを見つめる愛子の顔
その唇と目元も薄らとだったが赤紫色に染まっていた。

「フフフ… まだジャメーバーの同化が完全ではないようですね」

愛子の顎をつかんで目元と口元の変化を確認したオトヒメが
ほんのり赤紫に染まった愛子の唇を指でなぞった。

「けどそれも時間の問題…
  まもなくお前はジャムー帝国の民に生まれ変わる」

オトヒメは踵を返し 椅子に戻ると壁際の一番近い場所に
立っているジャムーソルジャーに手で合図を送る。
するとソルジャーは自分が被っているヘルメットと同じ物を
持って愛子に近づいた。

「フフフ… 天野愛子 いまよりお前はこのオトヒメが僕
  オトヒメの専属ソルジャーとして働くのです」

オトヒメの言葉にうっとりと笑みを浮かべた愛子は
胸の前で両手をクロスさせて、ゆっくりと両膝をついて跪き
ジャムー帝国に忠誠を誓う姿勢からうつむく感じで頭を下げた。

「はい オトヒメ様 喜んでお仕えさせて頂きます」

愛子の前でヘルメットを持って立っているソルジャーに
オトヒメが目で合図を送ると 愛子の頭にジャムー帝国の
紋様のレリーフが付いた、バイザーが一体となった
マリンブルーのヘルメットが被された。

「立ちなさい 我が僕、天野愛子」
「ジャムー!」

ヘルメットを被された愛子はジャムーソルジャーの言葉で応えると
直立不動の姿勢から右手を高々と掲げた。

「天野愛子 お前の敵が何かを答えなさい」
「ジャムー! ジャムー帝国に仇なすセイバーナイツにございます」

オトヒメの質問に愛子は姿勢を崩さず応える。

「ウフフフ… よろしい」

オトヒメが手で合図を送ると愛子は手を下ろし
壁際に並んで立っている同じ姿をした
オトヒメ専属のジャムーソルジャーの列に加わった。





「まったく! 寝坊はする 迷子になる どっちが保護者だっての!!」

行方不明になった愛子を一日中探し続けた2人は
夕日が綺麗な岬の岩場を捜索していた。

「愛子さん どこ行ったんだろう…
  由佳ちゃん これってやっぱりジャ!?」

言葉を止めた麻美はゆっくりと移動して由佳と背中合わせになる。

「やっぱりジャムーの仕業だったのかな こっちに5人」
「こっちも5人… いや6人だ」

日が沈み薄暗くなった周囲に2人を取り囲むように幾つかの人影が現れた。

「ジャムー怪人の姿が見えないけど ソルジャーだけで襲ってきた?
  う?ん カグヤのソルジャーとは色が違うみたいだけど…」
「新しい四臣官が挨拶に来たってことか!
  しかし、ソルジャーだけってムカツクよな 麻美!!」
「オッケー!!」

2人が左手首に嵌められた腕時計を高々と掲げて
セイバーナイツに変身するためのキーワードを叫ぼうとすると

「ジャムー! 2人を変身させるな!!」

岩の上に立っているジャムーソルジャーの声と共に
ソルジャーたちが一斉に変身ポーズを決めたまま
止まっている2人に襲い掛かってきた。

「なに!!」
「キャアッ」

「ジャムー! 変身させなければ ただの女子高生だ!!」

少し離れた岩の上に立っているソルジャーが
10体のソルジャーを自在に操り、由佳と麻美をバラバラに分断して行く。

「ちょ、ちょっと、由佳ちゃん! あのソルジャーの声!!」
「チッ! なんでジャムーのソルジャーやってんだよ バカ愛子!!」

ジャムーソルジャーたちを指揮しているソルジャーが
天野愛子であることは2人にはすぐに判った。

「ジャムー! 神崎麻美は右に逃げる癖がある!
  そこの岩場の窪みに追い詰めろ!!
   もっと小池由佳を苛立たせるんだ!
    そうすれば周りが見えなくなり動きが単調になる!!」

2人の癖を熟知している愛子から出される的確な指示と
戦況を見極める眼が確実に由佳と麻美を追い詰めて行く。

「あいつぅ!! 好き勝手言いやがって…
  絶対海に突き落としてやる!! 麻美、援護しろ!!」
「エエッ!? そんなの無理よぉ」
「何もしないうちから無理って言うな!!
  愛子にお前がいなくても戦えるって見せつけてやるんだ!!」
「いや… 由佳ちゃん 愛子さんを助け出す方向で…  エイ!!」
「由佳ちゃんこれ!!」

岩の陰に落ちていた流木を拾い上げた麻美が
包囲しているソルジャーを打ち据えて包囲を崩すと
由佳のほうに駆け出し、持っていた流木を渾身の力で投げつけた。

「ちょっと麻美!! どこ投げて… 麻美?」

麻美の投げた流木は由佳を囲んでいるソルジャーの頭を直撃し
由佳が駆け出した麻美を見やるとその姿は忽然と消えていた。

「セイバーチェーンジ!!
  邪悪な悪を切り裂く乙女 セイバーピンク参上!!」

中が透けて見える剣道や合気道で着用される
胴衣と袴に似た白い着物の下にローズピンクのレオタードに
同じ色のフィンガーレスグローブと膝上までの踵のあるソックスを
着けたセイバーピンクが由佳の目の前に降り立ち
ピンクに輝くセイバーソードを構えた。

流木でソルジャーの注意を逸らした麻美は
岩を踏み台にしてジャンプすると
空中でセイバーピンクに変身していた。

「由佳ちゃん 援護するよ」
「ご苦労! セイバーチェンジ!!」
「ジャムー! 何をしている、セイバーブルーに変身させるな!!」
「汚れ無き心で悪を討つ セイバーブルー参上!!
  愛子! 少ぉし遅かったな  セイバースラッシュ!!」
「「「「「 ジャムー! 」」」」」

セイバーピンクと色違いのスカイブルーの装備を纏った
セイバーブルーの必殺技が掴みかかってきたソルジャーを一閃した。

「ジャムー! おのれセイバーナイツ!
  よくもオトヒメ様からお借りした大切なソルジャーたちを!!」

岩から飛び降りた愛子が残されたソルジャーたちと一緒になり
ギリギリと歯を噛みながら由佳と麻美を取り囲み睨んでいた。

「愛子さんなんでしょう!
  わたしたちは愛子さんと戦いたくないの 愛子さんは大切な仲間だから!!」
「ジャムー! 戯言を!! セイバーナイツは敵! ジャムー帝国の敵!!
  セイバーナイツに変身されてもまだチャンスは」
「愛子ォ!!」

敵意を剥き出しにしている愛子の名前をセイバーブルーが大声で叫ぶと
ビクッと体を反応させた愛子が2歩3歩と後ろにさがった。

「ジャあ……あ……… 由佳…ちゃん…」
「いい加減にしないと本気で殴るぞ! 聞いてるのか 愛子ォォ!!」
「ひぃ…  い、いや… わ、わ、わたし… わたし…」

愛子はヘルメットの上から頭を抑えてオロオロしはじめた。

「愛子…さん?」
「おまえら! 愛子から離れろ!!」

愛子を見やり佇んでいるジャムーソルジャーにスカイブルーの刃を一振り
一喝するとソルジャーたちも2歩3歩と後ずさりしていた。

「愛子さん? わたしたちが判りますか?」
「わ、わたし…わたし………麻美…ちゃん…」
「愛子さん 判るんですね」

セイバーピンクが愛子に近づこうとすると閃光が走り
足元で小さな爆発が起こった。

「なに!?」
「何をしているのですか 我が忠実なる僕 天野愛子」
「あぁ…あぁぁ…… オト…オトヒメ…さま…」

さっきまで愛子が立っていた岩の上に
光沢のある赤紫のボンデージを纏った女性が優雅に舞い降りた。

「お前が新しい四臣官か!!」
「我が名はオトヒメ ジャムー四臣官が1人
  フフフ… 我が僕となった天野愛子に一瞬とは言え、自我を取り戻させるとは…」
「黙れオトヒメ! 愛子に何をした!!」
「ご覧のとおりよ 天野愛子は我に仕える僕になったのです
  天野愛子 心を静めなさい  お前はオトヒメの僕 そうですね」
「…ジャムー… わたしはオトヒメ様の僕…です…」
「愛子ォォォ!!!!」
「…ジャあっ……由佳…ちゃん……」
「ウフフ… ホント 楽しませてくれるわ」

オトヒメが青い宝石の指輪を愛子にかざし、宝石の青い光を浴びせる。

「あっ…やめ……あはぁぁぁ…
  ジャ…ムー……わたしは…オトヒメさまのシモベ…何なりとお申し付け下さい…」

ヘルメットに付いたレリーフの
双頭の怪鳥の眼が不規則に青く明滅しはじめると
愛子は胸の前で両手をクロスさせてゆっくりと両膝をついて跪いた。

「天野愛子 お前の敵が何かを言いなさい」
「ジャムー… それは…セイバーナイツです」
『由佳ちゃん ヘルメットの紋様をみて きっとあれで愛子さんを操っているのよ』

オトヒメが愛子に施している妖しい儀式の最中
セイバーピンクがそっとブルーの背後に忍び寄り耳打ちする。

「そう言うことか、なら任せろ!  セイバームーンショット!!」

スカイブルーの刃から放たれた青い三日月が
跪いて動こうとしない愛子のマリンブルーの戦闘服と
ヘルメットを一瞬で切り刻んだ。

「ハウッ…アァァァ… オトヒメ様ァァァ…」

大きな声でオトヒメの名前を叫びながら
前のめりに倒れる愛子をセイバーピンクが受け止めた。

「愛子さん 愛子さん!」
「うぅ…うぅぅん………麻美…ちゃん?……おはよう…
  い、いだい…いだいよ …ゆがぢゃん…いだい…」

セイバーピンクに抱き止められた愛子が寝惚けた言葉を発した瞬間
セイバーブルーが愛子の両頬を抓っていた。

「なにがおはようだ! 心配かけやがって!!
  ジャムーなんかに操られやがって!! 反省しろォ!!」
「だがだっで…イダイ…イダイイダイ… づでだなぐでも…」
「フッ…フフフ… 余裕? それとも、ただのおバカさん?」

岩の上から3人を見下ろしているオトヒメが不敵に微笑んでいる。

「愛子は返してもらったぜ 勝負だ、オトヒメ!!」
「ウフフ… 結構よ
  今日はほんのご挨拶、このまま引き上げてあげるわ」

くるりと踵を返したオトヒメが岩場の影に姿を消した。

「待て!逃げるのか!! オトヒメ!!」
「ブルー 今は愛子さんを」

いつのまにか愛子はセイバーピンクに抱かれたまま
深い眠りに落ちていた。

「こ、こいつまた… でも良かった いつもの愛子に戻って…
  このまま愛子が敵になっちゃうんじゃないかって…
   仲間と戦うなんて考えたこともなかったから」
「そうね オトヒメは今までの臣官とは違うみたいだから
  これまで以上に注意しないと 愛子さんに助けてもらうばかりじゃなくて
   わたしたちも愛子さんを守ってあげないと」
「頼りないようで頼りになるんだよな こいつ…」

由佳は変身を解除すると子供のように寝ている愛子を背負って歩き出した。

「なぁ麻美 あまりにも簡単に引き上げすぎだと思わないか」
「うん わたしも考えてた。挨拶だけだなんてありえない
  愛子さんを誘拐して自分の手駒にまでしたのにあれだけって…」

オトヒメの潔すぎる撤収が由佳と麻美にはいまいち腑に落ちなかった。

「もしかしたら こいつはまだオトヒメの…」

由佳が立ち止まり背中で寝息をたてて眠っている愛子の顔をのぞきんだ。

「んなわけないか…
  しっかし、あんな目に合ったとこなのに寝るか?」
「クスクス… どう見ても愛子さんね」
「まったく… アァァッ!! おい、麻美
  今日って、カグヤを倒したご褒美のはずだよな」
「うんそうだけど いまさらどうしたの?」
「どうしたのじゃない! オレたち まだ海で泳いでない!!」
「あっ そ、そうだね 浜辺ではパラソルの下だったしね」
「愛子ォォ…絶対許さねェ! 明日海に沈めてやる! 砂に埋めてやるぅ!!」
「アハハ… 由佳…ちゃん……無茶は止めようね」




その日の夜
部屋のドレッサーの前で能面のような顔で
鏡に映る自分を見つめていた愛子が口元をつり上げ微笑むと
瞳の中心からマリンブルーが拡がり、唇と目元が鮮やかな赤紫で彩られた。

「全てはオトヒメ様の仰せのままに…」

狡猾な笑みを浮かべた愛子が立ち上がると、するすると浴衣が滑り落ち
露になった肢体はマリンブルーと赤紫の戦闘服に包まれていた。
愛子はその姿のままホテルを抜け出し、桟橋で待っていた
ジャムーソルジャーと合流するとオトヒメが待つ『竜宮殿』がある海底に消えて行った。


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