小湊拓也

先生の手元にはいくつものファンレターが、ファンの声が届いているはずなのに、それは決して「少年」からだけではないはずなのに。それでもこの世界の半分を不快にさせる描写は「許される」と思っているのか。先生の作品にもたくさんの女性が出てくるけれど彼女らは「少年」が楽しむためのものなのか。

部屋の見えるところに並べている先生の漫画たちを、いま、どうしたらいいのかを考えている。ひとつのツイートだけで判断してはいけないことは知っていても、これは、なんと言うか、先ほどのRTと同じで私の過去も現在も否定されたような、漫画を愛する私の周囲すら否定されたようなそんな気持ちで、涙。

もう集英社とは離れているのかもしれないけれど、発言としてはよろしくなさすぎる。残念ながら、今後もう私は素直に先生の漫画を楽しめない。それはわたしがツイートを見てしまったから、ではない。先生がツイートをしてしまったから、だ。 先生にとって、漫画とは、キャラクターとはなんなんだろう。

もう出版されたら終わり？人々の手元に、生活の中に、思い出にも残るのに。 女子高生時代クラスでみんなでジャンプを読んで、スケットダンスで爆笑した思い出がある。「少年」のためにつくられた漫画で過ごした青春を想う、医学部入試不正を想う、我々は「男のための社会」で生き続けている、現実。

スケットダンスという作品が好きだった。どのキャラクターも好きなものがあって苦手なこともあってその凸凹がかみ合わさって力になるところが素敵だった。人の感情の機微を描ける作品だと思っていた。 そんな作品でも読者は選ぶんだ、そしてそれに私は含まれないんだ、ていう、悲しさ。悲しいな。

でね、これが私だけの悲しさならまだいいんだよ。こんな思い出持ってる「女性」いくらでもいるの。全国に、世界にもいるの。だってそれだけの発行部数出してるんだもの『少年ジャンプ』は。大問題ですよ。本当に。何がクールジャパンじゃ。自国の価値観抜本的に叩き直してから語りなよ。

落ち着いてきた。 「漫画家がこういう価値観であること」 は、ある程度透けて見えてたし、私の中では「仕方ない」。 ただ、 「漫画家がファンに向かってリプライでこういった価値観を表現したこと」に対しては悲しみと怒りと、許されないなという冷静な気持ちがある。 その違い、わかってるのかな。

篠原先生はサラリーマンしてからの漫画家だった気がするから、その辺少しは意識あるのかと思ったけど全然なかったね！もしかすると私たちの手元に来る前のスケットダンスはもっとホモソーシャル感が強かったのかもしれない。わからない。ホモソネタ、ホモネタはある作品だったからね…。