伊藤和行
首里城の正殿などが全焼した火災で、首里城を管理運営する一般財団法人「沖縄美(ちゅ)ら島財団」は、城内にあった琉球王朝時代の美術工芸品など約1500点のうち、約1千点が焼失を免れたと発表した。保管していた耐火性収蔵庫2個の周辺の焼損がひどく、状況を確認できていなかった。
3日、美術工芸品の一部を別の施設に運び出した。
財団によると、城内には財団所有の琉球王朝時代の絵画や漆器、書跡、染織などが1496点あった。うち1075点は南殿と正殿裏にある「寄満(ゆいんち)」と呼ばれる建物の収蔵庫にそれぞれ保管。県指定有形文化財の絵画「白澤之図(はくたくのず)」や漆器「黒漆牡丹七宝繫沈金食籠(くろうるしぼたんしっぽうつなぎちんきんじきろう)」など3点も含まれる。収蔵庫は扉がゆがむなどしていたが、内部にほぼ被害はなかった。
今後、専門家と損傷程度を調べる。琉球王朝文化に詳しい田名(だな)真之・県立博物館・美術館館長は「王朝時代の美術工芸品は戦災や散逸で失われたものが多く、希少価値が高い」と話した。
一方、収蔵庫以外に保管していた、琉球国王を務めた尚家の資料など407点の一部は焼失した可能性が高いと財団はみている。正殿の扁額(へんがく)「中山世土(ちゅうざんせいど)」など常設展示品も焼失した可能性が高いという。(伊藤和行)
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