(cache)「The Brain」の著作権侵害問題について

増井俊之
「The Brain」の著作権侵害問題について
    Togetterやはてなブックマークで  の著作権遵守意識の低さについて炎上していたが、問題が解決したので経緯をここに書いておく。

	 は、自炊本をScrapboxで活用する方法を議論するために、自炊しても著作権等の問題がない本を探していた。
	しかしそんな本は普通は存在しない。文章に著作権が無くても、編集して製本したものには編集権等が生じている。 が書いた本であっても、販売している出版社に不利になるような自炊公開はできない。
	宣伝チラシの類ならスキャン公開してもOKかなと思った。チラシを配りたい人に得になるからである。
	そこで、SFCの組織である湘南藤沢学会が発行している「SFC Review」という雑誌の特別号である「The Brain」という冊子が適当なんじゃないかと思った。
		これはSFCの宣伝のための冊子で、無料で配布されており、PDFがWeb公開されている 。
		冊子の中身はSFCの教員100人ほどの自己紹介を集めたものである。
		 自身も記事を書いているので著作権者のひとりである。著作権者の代表は湘南藤沢学会であり、個人が著作権を持っているものではない。
		SFCの教員である  がこれを自炊して公開しても、SFCから文句は来ないだろうと思った。SFCの得になるからである。

    そして上記のTogetterでのやりとりが起きた。問題を指摘した人物が当該冊子の編集者だったことを知らず、著作権に対する認識が甘かったこともあり、安直な対応をとってしまった。無断転載禁止と書かれているのに勝手にスキャン/公開したことは問題だったので謝罪している。

    炎上が問題になった後、SFC Reviewの著作権者である湘南藤沢学会からは以下のような公式見解が出ている。Web上には公開されていないが、学会及び当事者間では問題が無かったことが合意されている。

公式見解の概要
	学会として  の行動を著作権侵害として問題だったとする考えは無い
	Webに公開された「編集部としての見解」は、学会内での充分な議論を経ずに公開されたものであった
	 の行動は学会の方針に合致したものであり、問題は解決していると考えている
(以上の公式見解の詳細を知りたい方は湘南藤沢学会に問い合わせてください)


    今回のトラブルは、新しい形式の自炊や電子書籍の提案を意図した実験の結果であり、著作権侵害を是認するような意図は全く無かった。しかし手順に問題があったことは事実なので、今後は十分に注意しつつ実験を行なっていきたいと思う。