"アレ"というのは電動空気入れ「米家充气宝」!
良い電動空気入れに巡り会えない
XiaomiはスマートフォンやPC以外に、生活家電なども多く発売している中国の総合家電メーカーですが、たまに変わった製品を発売して驚かせてくれます。今年の春頃に突然発表されたこのXiaomiの電動空気入れ。自動車のタイヤとか、ビーチボールとかへ楽々スマートに空気を入れられるというものです。
聞いただけでは大したものではなさそうに思えるかもしれませんが、この手の電動空気入れで家庭向けで小型のものって、実は良い製品が少ないのです。
▲Xiaomiのフラッグシップショップは、深センの南山区高新園(Hi-Tech Park)内。有名ブランドショップが並ぶショッピングモールにある2階建ての独立店舗で、Apple Storeを思わせるような開放感のある明るい2階建ての店舗になっている
自分は自転車とオートバイ、さらに自動車に実用としても趣味としても乗りますし、自分である程度はメンテナンスをする方です。色々な工具を持っていますが、空気入れも必須アイテム。自転車はともかく、オートバイや自動車のタイヤに空気を入れるとなると手動ポンプではとても大変なので、電動タイプが重宝します。
ですがよくある家庭用は、空気の吐出量が少なかったり、空気圧が足りずタイヤに十分な空気を充塡できなかったり、バッテリーが小さすぎて途中で使えなくなったり、大きくて邪魔だったり──満足できるものにはなかなか巡り会えません。
▲我が家の電動空気入れたち。左はロシアのBERKUT SPECIALIST UQ-VL-1000。小さいながら120psiの最大空気圧を誇ります。吐出量は少ないですが携帯性に優れたモデル。右はドイツ ボッシュ製のPAG 14.4V。電動工具用のバッテリーを使い、とにかくパワフル
一番のお気に入りはドイツ ボッシュ製のPAG 14.4V。電動工具の強力なバッテリーを使用したハイパワーな電動空気入れですが、さすがに使い込みすぎて内蔵ポンプがガタガタ。発売から10年以上が経過し、既に製造中止になって相当の年数が経過しているため、もう入手困難です。その後あちこちで似たような製品を入手してきましたが手元にあるのは2つだけ。後は全部壊れてしまいゴミ箱行き。
お値段以上の性能に大満足
▲一目で商品がわかるデザインかつ最小限の大きさでまとめられたパッケージは、Xiaomi製品の定番パッケージデザイン。Appleの良いところをどんどん取り入れてイメージ向上を図っている
さて、今回購入した、Xiaomiの電動空気入れ「米家充气宝」に話を戻します。こちらは、自分の求めるスペックを満足していながら、価格が199人民元(約3000円)と激安。それでいてスタイリッシュなデザインとコンパクトさが、これまでの野暮ったい空気入れっぽさを感じさせません。良く見ればアップルの旧iPodにも似ていますが、これはセーフなのかどうか気になります。
▲どうしても旧iPodに見えてしまうので、実際にiPod classicを並べてみると、スイッチ周りの大きさまでほぼ同じ。そのおかげか操作性は良好。整備作業でグローブをしていても簡単に操作できる
ボディは衝撃に強いABS樹脂製。両側面には空気取り入れ用の小さな穴が沢山開いています。上部にはホースがループ状に固定されており、赤い印が付いた方を引き抜くと電源がオンになる仕組み。上部にはLEDランプが内蔵されていて、暗い場所でもバルブ周囲を照らしてくれます。下部には充電用のUSBポートがあり、コネクタはmicro USB形状です。ここはUSB Type-Cに対応してもらいたかったところ。
▲最初に見た時に思った「大きな南京錠」は、現物を見ても同じ感想。ボディは樹脂製ですが表面が粗めのシボ処理が施されており、触り心地も良くて質感も高い
▲本体左右側面にある空気取り入れ穴。砂埃が多い場所などで使う際には、それらを吸い込まないように置く場所には注意したい
▲本体上部にあるエアホース。赤い印がある方を引き抜くと電源が入って使えるようになる。ホースは耐圧仕様のしっかりしたもの。口金部分は樹脂製
▲本体底部には充電用USBポートとバッテリー状態を示すインジケータ。充電には5V2Aの電力供給が必要で、満充電にかかる時間は約3時間
本体のサイズは、H124 × W71 × D45.3 mm。重量は436g。前面の液晶ディスプレイには大きく空気圧を示す7セグメントの数字表示と、その周囲には簡易的に空気圧を決めるためのモードのアイコン(自由設定、自転車、オートバイ、自動車、ボール)と、空気圧の単位(pst、bar)が表示されます。
▲本体と付属品。仏式/英式アダプターとボール用のアダプター。充電用のUSBケーブル。収納用ポーチが付属する。ACアダプターは付属しない。ポーチにはアダプターなどを分けて入れるポケットがある
エアバルブは標準で米式。付属のアダプターで仏式/英式にできます。他にボール用のアダプターも付属しています。プラグ部は樹脂製。噛み合わせが良いので空気漏れはありませんが、頻繁に使う場合は耐久性が心配です。他にそれらを収納する簡易収納ポーチと充電用のUSBケーブルが1本付属します。
▲エアポンプモジュールは亜鉛ダイカスト製。駆動ギアもしっかりとした金属製で構成されている
心臓部のエアポンプモジュールは亜鉛ダイカスト製。高圧使用時のポンプ部の温度上昇にも耐える構造で、対応空気圧は3~150psi (0.2~10.3bar)と十分なスペック。高圧が必要なロードバイクにも対応します。電源は2000mAhのリチウム電池で普通乗用車のタイヤ約5本程度の充塡ができるらしいです(タイヤサイズ215/50 R17で2.0から2.5barへの補充の場合)。
▲ホースを脱着する際に少し空気が抜けるが、締め込めば抜けなくなる。手早くやらないと折角入れた空気が抜けてしまうので何度か練習すると良さそう
電動空気入れで怖いのは空気の入れすぎですが、本機にはあらかじめ決めた空気圧で自動停止する機能があるので、空気を入れている間ずっと監視している必要はありません。動作音は一般的な電動空気入れのレベルよりやや小さいくらいですが、静かな駐車場で使うと結構な音量ですので、深夜や早朝は要注意です。
空気の充塡速度ですが、2.5barから2.9barまで補充で約1分程度かかりました。やや遅い感じですが、ポンプの容量を想定するとそんなものかなとも思えます。
特筆するところでは、空気圧センサーの精度が高く、複数回の充塡後にちゃんとしたエアゲージで測定してみると表記スペック以上の±0.1barでした。なかなか優秀です。目安としては十分でしょう。できれば最後にちゃんとエアゲージで計って確認しましょう。
タイヤの空気圧は乗り物の走行フィールはもちろん、燃費や安全性にも大きく影響を及ぼします。できれば週1程度でも、チェックする習慣を付けるといいと思います。
▲この手の電動空気入れはすぐ壊れてしまうことが多く、Xiaomiでもそれを意識してか各種試験を実施していることをアピール。左上から、過圧機能保護試験/ホース引張り試験/耐圧試験/電気試験/ホース耐圧試験/高低温充電試験/自由落下試験/動作エージング試験