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岐阜

自由な発想、展示好評 県美術館、リニューアルオープン

ルドンの油彩画など多彩な所蔵作品が並んだ会場=県美術館で

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 一年かけた大規模な改修工事を終えた県美術館(岐阜市宇佐)が三日、リニューアルオープンした。明るく、広々とした印象に変わった館内では、三つの企画展が同時スタート。多くの来館者でにぎわった。

 一九八二年開館で、四千二百点余りを所蔵する。フランスの画家ルドン(一八四〇~一九一六年)のコレクションは国内随一だ。

 メインの企画展「ETERNAL IDOL」は、えりすぐった約百点の所蔵品を紹介する。ルドンの油彩画「オフィーリア」や木炭画「気球」のほか、県出身者の作品も多い。日本画家加藤栄三の「空」は、羽ばたくウミネコが目を引く。イタリアの彫刻家トルッビアーニの「錨(いかり)を上げる」は、いかりを持ち上げる鳥を表現した全長四メートルの大作だ。

 岐阜市から訪れた葛西利光さん(81)は「洋画や日本画、現代画が一つの空間に並び、自由な発想が素晴らしい」と喜んでいた。

鳥がいかりを上げる場面を表現した彫刻作品=県美術館で

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 美術と教育を考える企画展「イメージする力、生きる力」では、食べ物やペットなど二千枚近い写真を並べて日常生活の中に想像の源があふれていることを伝える。県内の園児から高校生までの絵も展示した。

 リニューアルを機に、同館は「美を楽しむ」をテーマに加えた。この日は館内の自由通路や庭などで、牛乳パックで船を作ったり、絵を描いたりする多彩な体験コーナーを用意し、多くの親子連れが楽しんだ。岐阜女子大書道部によるパフォーマンスもあった。館長の日比野克彦さん(61)=東京芸術大美術学部長=は「県民が交流できる場所にしたい。啓蒙(けいもう)的な美術ではなく、岐阜らしいアートの楽しみ方をここから発信していきたい」と話していた。十二月二十二日まで全館無料。月曜休館(月曜が祝日の場合は翌平日休館)。

 (浜崎陽介)

 

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