2日に閉幕したラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の組織委員会などは3日、東京都内で大会を総括する記者会見を開き、延べ約170万4千人の観客を動員したと発表した。国際統括団体、ワールドラグビーのビル・ボーモント会長は「最も偉大なW杯として記憶に残る。日本は開催国として最高だった」と高く評価した。
アジア初開催となったW杯は、44日間で45試合の熱戦が全国12会場で繰り広げられた。8強入りを果たした日本代表の活躍とともにラグビー熱が広がり、手応えと余韻を残し祭典は幕を閉じた。
組織委の御手洗冨士夫会長(キヤノン会長)は記者会見で「互いに尊敬をして品格をもって規律ある戦いをし、勝負が終わればノーサイドでさらに友好を深める。ラグビーのスピリットに対する理解が日本でも広がった」と振り返った。
W杯は過去8大会、欧州や南半球のラグビー伝統国・地域で開催されてきた。日本での大会には当初、観客動員を不安視する向きもあったが、チケット販売が始まると好調に推移。最終的に販売可能な席の約99%の約184万枚が売れ、過去最高の販売率を記録した。組織委幹部は「2019年の年明けからの先着販売でも勢いが全く落ちなかった」と話す。
日本は1次リーグで強豪アイルランドなどを次々と撃破し、4戦全勝で初めて準々決勝に進んだ。大型スクリーンでの試合中継などを行う全国16カ所の「ファンゾーン」にもファンらが詰めかけ、大会中の入場者数は約113万7千人(速報値)でこちらもW杯記録を更新した。
日本流の「おもてなし」も話題に。ニュージーランド代表の事前キャンプ地、千葉県柏市では地元の子供たちが試合前の儀式「ハカ」を披露しチームを歓迎。10月5日の日本対サモア戦などで歌詞カードを見ながら他国の国歌を歌いあげる日本人客の動画などが投稿されると、「最高のホスト国」などと称賛のコメントが海外から相次いだ。
ワールドラグビーのボーモント会長は「素晴らしく、謙虚で歴史的なホスト国であった日本と日本人に心の底から感謝したい」とコメントした。
観客の輸送などに大きな混乱はなかったが、東日本中心に甚大な被害をもたらした台風19号の影響で横浜市などでの3試合が中止となった。
日本の8強進出をかけた同月13日のスコットランド戦(同市)も危ぶまれたが開催に至った。英BBCは「試合が行われたことはちょっとした奇跡だ」と報じ、準備に奔走した大会関係者をたたえた。
3日の会見に出席した日本ラグビー協会の森重隆会長は今後の日本ラグビーについて「アジア全域でラグビーの普及を先頭に立って行い、芝生のグラウンドを増やすなどの施策をしていかなくてはいけない」と述べ、再誘致にも意欲を示した。