「なぞの転校生」などのSF作品で知られる作家の眉村卓(まゆむら・たく、本名村上卓児=むらかみ・たくじ)氏が3日午前4時1分、誤嚥性肺炎のため大阪市阿倍野区の病院で死去。85歳。大阪市出身。通夜は8日午後6時、葬儀は9日午後0時半から大阪市阿倍野区阿倍野筋4の19の115、やすらぎ天空館で。喪主は長女知子(ともこ)さん。
大阪大経済学部卒業後、会社員生活の傍ら小説を書き始めた。1961年、「下級アイデアマン」がSF小説のコンテストで佳作。その後創作活動に専念し、多彩な作品を発表した。小松左京さん、筒井康隆さんら日本の「SF第一世代」の一人として活躍。67年の「なぞの転校生」や「ねらわれた学園」などの若者向けSFがテレビドラマや映画になり、話題を集めた。
79年、代表作「司政官」シリーズの一つ「消滅の光輪」で泉鏡花文学賞、96年に「引き潮のとき」で星雲賞。他の主な作品に「時空の旅人」「燃える傾斜」「夕焼けの回転木馬」「沈みゆく人」など。
97年から、がんと闘う妻悦子さんを励まそうとショートショートを毎日書き、悦子さんが67歳で亡くなる2002年まで続けた。その体験を振り返った「妻に捧げた1778話」はロングセラーとなり、11年に映画化された。
関西在住作家として活動し、大阪芸術大教授も務めた。俳句でも知られ、故伊丹三樹彦さん、木割大雄さんら兵庫県内の俳人との交流も深かった。
今年9月から、本紙「随想」を執筆。10月掲載された「馬鹿話」が絶筆となった。