9月の経済指標が出て、7-9月期の成長率が展望できるようになったが、増税前の駆け込みを除けば、外需が弱いこともあって、基調はマイナス成長の様相を呈している。そこへ消費増税で内需圧殺に動き、天災も重なっており、10-12月期は、反動減だけでなく、深刻な事態になりそうだ。民需が崩れる中、外需は低迷、景気後退は雇用にまで及び、三度、やらずもがなの消費増税の災厄に見舞われる。そして、今回も経済対策がバラまかれ、「成長力」の強化が試みられることになる。
………
9月鉱工業出荷の資本財(除く輸送機械)は、前月比+8.9の異様な増加を見せた。7,8月平均は前期を下回る水準にあったのに、9月が加わったことで、7-9月期の前期比は+3.0に伸びた。これは設備投資を示すものなので、おそらく、GDPの設備投資は4-6月期を超える好調ぶりを示すことになろう。もちろん、9月の異様な伸びは、前回の増税時にも見られた駆け込みと考えられ、これがなければ、前期を下回るマイナスの様相にある。
設備投資については、もう一つの柱である企業の建設投資も、全産業活動指数を見る限り、既にピークアウトしていて、非製造業での設備投資も頼りにならず、ソフトウェアや研究・開発が堅調にあるとしても支え切れない。今後の資本財(除く輸送機械)は、生産予測は上振れしているものの、前回増税時と同様、2,3か月は反動減が出ると思われ、むしろ、成長の足を引っ張ることになろう。
消費に関しては、9月に大きな駆け込みがあったことは、言うまでもない。そのため、7-9月期は、高い伸びになって、GDPを上ブレさせることになる。しかし、内閣府・消費総合指数、日銀・消費活動指数ともに、7,8月平均の前期比はマイナスであり、9月の高い伸びによって、7-9月期が大きめのプラスになったとしても、消費の基調は、増税前にして、マイナス圏内にあると考えるべきであろう。
こうして、設備投資と消費という内需の柱がマイナスの様相にあり、7-9月期の外需が、韓国からのインバウンドの減少が響いて、ニッセイ研の斎藤太郎さん、第一生命研の新家義貴さんともに、マイナス寄与という予想になっていることを踏まえれば、駆け込みを除く日本経済の実態は、マイナス成長であると見ざるを得ない。そこへ消費増税をして、デフレ圧力を加えるのだから、深刻な事態になると考えるのが当然なのである。
雇用については、9月の労働力調査で、とうとう失業率が上昇するに至った。+0.2の2.4%である。特に、男性の雇用者の-33万人が大きい。既に、男性の就業者は今年の初めから頭打ち状態になっていたが、雇用者も停滞に入ったようである。9月の新規求人倍率は2.28倍と、前月比-0.17となった。2.2倍台は2年ぶりの低水準である。これにより、7-9月期の新規求人倍率は、2四半期連続の低下となった。
産業別の求人を見ると、多くの産業で求人増加数の前年比がマイナスなのだから、当然であり、とりわけ、製造業、卸・小売業、その他サービス業での減少が目立つ。増えているのは、医療・福祉と建設業であり、ある意味、財政の緊縮の緩い部分でのみ、雇用が増していることになる。10月の消費者態度指数では、雇用環境のみが下がり続けており、アベノミクスで初の40台割れが目前だ。ここまで悪化は放置されてきたのである。
(図)

………
日本のいつもの経済運営ではあるが、緊縮で景気を悪くして対策を打つくらいなら、初めから緊縮をしなければ良い。消費を圧殺した上で、強化される「成長力」とは、一体、何のためにするものなのか。少なくとも、国民生活を豊かにするものではない。そもそも、投資だけを高めることはマクロ経済では不自然だし、無理に高めたところで、経済を不安定するだけだ。そんな賽の河原で石を積むようなことを、ミクロと同じと信じて、犠牲を払い続けてきた。緊縮を緩めて対策を避ける無難な道は、かくも取るべくもないのか。
(今日までの日経)
製造業、下方修正相次ぐ。減税措置でも新車販売24%減 10月。成長強化・防災で経済対策 首相、策定指示へ。日本化しないドイツの幸運。
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9月鉱工業出荷の資本財(除く輸送機械)は、前月比+8.9の異様な増加を見せた。7,8月平均は前期を下回る水準にあったのに、9月が加わったことで、7-9月期の前期比は+3.0に伸びた。これは設備投資を示すものなので、おそらく、GDPの設備投資は4-6月期を超える好調ぶりを示すことになろう。もちろん、9月の異様な伸びは、前回の増税時にも見られた駆け込みと考えられ、これがなければ、前期を下回るマイナスの様相にある。
設備投資については、もう一つの柱である企業の建設投資も、全産業活動指数を見る限り、既にピークアウトしていて、非製造業での設備投資も頼りにならず、ソフトウェアや研究・開発が堅調にあるとしても支え切れない。今後の資本財(除く輸送機械)は、生産予測は上振れしているものの、前回増税時と同様、2,3か月は反動減が出ると思われ、むしろ、成長の足を引っ張ることになろう。
消費に関しては、9月に大きな駆け込みがあったことは、言うまでもない。そのため、7-9月期は、高い伸びになって、GDPを上ブレさせることになる。しかし、内閣府・消費総合指数、日銀・消費活動指数ともに、7,8月平均の前期比はマイナスであり、9月の高い伸びによって、7-9月期が大きめのプラスになったとしても、消費の基調は、増税前にして、マイナス圏内にあると考えるべきであろう。
こうして、設備投資と消費という内需の柱がマイナスの様相にあり、7-9月期の外需が、韓国からのインバウンドの減少が響いて、ニッセイ研の斎藤太郎さん、第一生命研の新家義貴さんともに、マイナス寄与という予想になっていることを踏まえれば、駆け込みを除く日本経済の実態は、マイナス成長であると見ざるを得ない。そこへ消費増税をして、デフレ圧力を加えるのだから、深刻な事態になると考えるのが当然なのである。
雇用については、9月の労働力調査で、とうとう失業率が上昇するに至った。+0.2の2.4%である。特に、男性の雇用者の-33万人が大きい。既に、男性の就業者は今年の初めから頭打ち状態になっていたが、雇用者も停滞に入ったようである。9月の新規求人倍率は2.28倍と、前月比-0.17となった。2.2倍台は2年ぶりの低水準である。これにより、7-9月期の新規求人倍率は、2四半期連続の低下となった。
産業別の求人を見ると、多くの産業で求人増加数の前年比がマイナスなのだから、当然であり、とりわけ、製造業、卸・小売業、その他サービス業での減少が目立つ。増えているのは、医療・福祉と建設業であり、ある意味、財政の緊縮の緩い部分でのみ、雇用が増していることになる。10月の消費者態度指数では、雇用環境のみが下がり続けており、アベノミクスで初の40台割れが目前だ。ここまで悪化は放置されてきたのである。
(図)
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日本のいつもの経済運営ではあるが、緊縮で景気を悪くして対策を打つくらいなら、初めから緊縮をしなければ良い。消費を圧殺した上で、強化される「成長力」とは、一体、何のためにするものなのか。少なくとも、国民生活を豊かにするものではない。そもそも、投資だけを高めることはマクロ経済では不自然だし、無理に高めたところで、経済を不安定するだけだ。そんな賽の河原で石を積むようなことを、ミクロと同じと信じて、犠牲を払い続けてきた。緊縮を緩めて対策を避ける無難な道は、かくも取るべくもないのか。
(今日までの日経)
製造業、下方修正相次ぐ。減税措置でも新車販売24%減 10月。成長強化・防災で経済対策 首相、策定指示へ。日本化しないドイツの幸運。