ソウルの高校生グループの行動が波紋を投げかけている。10月23日、ソウル市にある仁憲高校の学生2人が、突如校門前で記者会見を開いたのだ。
横断幕に書かれたスローガンは「学生は政治的な玩具ではない」。ニュース番組で見た限り、グループの代表という男子学生2人はほっそりとして肌がきれいな今風の韓国の若者、特に過激な風情はない。ところが発言は強烈だった。
「これまで学生たちは思想教育にさらされてきた」「教師がマラソン大会で反日感情を煽るフレーズの作成を強要し、反発する生徒にはイルベという烙印を押した」「多くの学生の前で『お前もイルベか?』と侮辱した…」
「イルベ」とは日本の「5ちゃんねる」にも似た、インターネットのポータルサイト「日刊ベスト」の略称。右派性向が強い人々の書き込みも多いため、「イルベ」という言い方は、時に日本の「ネトウヨ」と似たニュアンスをもつ。
ニュースでは学生たちが「思想強要」の根拠の一つとする「マラソン大会での準備シーン」の映像が流されたが、一方でこの学生たちに反発する他の在校生の声も紹介されていた。
この問題に対する韓国メディアのスタンスにはばらつきがあり、保守系新聞が「大学入試を目前に控えた高3が立ち上がった『ひどい思想注入は中断しろ』」(10月24日付「朝鮮日報」)と大きく報道する一方で、進歩系メディアは「政治的偏向教師論争…仁憲高校学生の多数は『誇張されたものだ』」(10月25日「ハンギョレ新聞」と、こうした行動はごく一部の学生によるものであるとして反論のスタンスを見せている。