日銀が「意味不明ガイダンス」を出した理由

なぜ黒田総裁は全く動かなかったのか?

なぜ今回、日銀金融決定会合で黒田総裁は動かなかったのか(撮影:大澤誠)

私の予想は外れた。

前回(9月18~19日開催)の金融政策決定会合後、黒田東彦日銀総裁は次の10月末の金融政策決定会合では必ず何かをする、というメッセージを打ち出したから、何かをせざるを得ず、しかし、実際には何をやってもマイナスだから、マイナスが最低限と思われるマイナス金利の拡大をする、と私は前回のコラム「日銀は必ず動くはずだが、一体何ができるのか」で予想した。これは見事に外れた訳だが、なぜ外れたのだろうか。私しか関心がないかもしれないが、将棋では、対局後の感想戦が強くなる最短コースと言われる。次の予想へ向けて反省会をしてみよう。

なぜ日銀だけ金融市場に何もしてくれないのか

まず、アメリカが追加利下げをした、というのは予想通り。日銀の金融政策決定会合の一日目と二日目の間に公表され、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見が行われた後に、日銀の決定、黒田総裁会見だから、なぜアメリカは3回連続利下げ、欧州は量的緩和再開、というフルサービスなのに、日銀だけなぜ何も金融市場にサービスしてくれないのか、円高が進んでもいいのか、という批判がくるはずだった。

しかし、欧米の動きは予想通りだったにもかかわらず、日銀が利下げしなくとも、批判はこなかった。批判がこないならあえて悪い政策である利下げをすることほど愚かしいことはない。だから利下げしなかったのは合理的だが、問題はなぜ批判されなかったのか、ということだ。

次ページ日銀に批判が向かわなかったワケ
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
  • 小幡績の視点
  • 働き盛りでがんになった人たちの行動
  • エネルギーから考えるこれからの暮らし
  • 仲人はミタ-婚活現場からのリアルボイス-
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
5

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
  • cedeefde6be6
    ゼロ金利が続いて、国債を自分で買いまくっていればマイナス金利ぐらいしか打つ手はないだろう。
    それでマイナス金利にすれば運が良ければ株を買ってくれるが、バブル後の株価や証券会社の不祥事を知っているいて、将来の年金崩壊を考えればタンス預金が増えるだろうな。
    結局彼が総裁になってからどんどんと八方ふさがりになる政策しか取って無いだけだろうな。
    up6
    down2
    2019/11/2 19:34
  • マヒロ7c75c1de0ce1
    前回付けたコメントの結論部分「円レートが大きく円高に振れない限り10月の日銀会合では、口先での緩和に止まると見ている。」は正しかったようだ。かつ、小幡氏の見解もこの結論に近づいてきた。
    前回、円高シナリオの下「100円を割り込む事態となれば慌てるかも知れない。この場合、銀行への配慮からイールドカーブの下方シフトを選択すると予想する。」とも記していたが、米国長期金利が大きく下落する事態を迎えれば現実となろう。
    要するに、中央銀行を使った通貨切り下げ競争の激化である。しかし、経済は円安では回復しない。一朝一夕でできるものではないが、高付加価値産業への転換なくして、高い成長は見込めない。
    up0
    down0
    2019/11/2 21:44
  • 皮の財布9230b57ac94f
    えっ、あの分かりやすいガイダンスを理解出来なかったの?
    up4
    down9
    2019/11/2 16:52
  • すべてのコメントを読む
トレンドウォッチAD
野村証券 反転攻勢の全貌<br>地銀をめぐる国盗り合戦

沈んでいたガリバーが攻めに転じた。8月に野村HDがLINEと提携しLINE証券を始動。同時期に山陰合同銀行との提携で合意、顧客志向の担当分けなど営業体制の改革も敢行した。地銀104行と主要証券会社の金融商品仲介委託関係の一覧も。