添徹太郎記者(国際部)
「はしかの流行が起きているニューヨーク州の議会前です。
ここでは、ワクチンの接種を拒否する人たちが集会を開いています。」
「(安全性を)検証しろ!」
アメリカでは、すべての州で公立学校に通う子どもたちにワクチンの接種が求められています。
しかし…。
「子どもには、もうワクチンを接種させません。」
「ワクチンの接種は安全ではありません。」
訴えているのは、ワクチンの危険性です。
ところが、実はその主張のほとんどが、ソーシャルメディアで拡散した誤った情報なのです。
ワクチン拒否の運動に参加しているターシャ・ウィニンガムさんです。
ターシャ・ウィニンガムさん
「この人のページは、すばらしい情報源です。」
最もよくチェックするのが、ある女性のフェイスブックです。
科学的には不正確な内容も含まれています。
しかし、2人の娘を育てているウィニンガムさんは、子どもがワクチンで被害を受けたと訴える、この女性の考えに共感し、ワクチンを打ちたくないと考えるようになりました。
ターシャ・ウィニンガムさん
「ソーシャルメディアでワクチンが危険かどうかについての情報を得ています。
そのような情報は隠されていて、大手メディアは取り上げようとしないからです。」
こうした情報は、なぜ簡単に信じられてしまうのか。
専門家は、危険をあおる過激な情報ほど、不安を抱える親の心に響きやすいと指摘します。
例えば、イギリスの医師が発表したこの論文。
はしかなどの混合ワクチンが、自閉症の原因だと指摘しました。
しかし後に、論文のデータが、ねつ造されていたことが判明します。
それでも、一度広がってしまった情報は、今も、親の恐怖心をあおり続けています。
さらに、専門家は、ワクチン拒否運動は、政治や科学への不信感も増幅させているといいます。
ベイラー医科大学 ピーター・ホッテズ教授
「反ワクチン運動が発しているメッセージは、“政府を信用するな”“政府は製薬会社と手を組んで有毒なワクチンを押しつけようとしている”というもの。
その結果、全国の親たちがワクチンに疑問を持つようになっています。」