講師を務めた佐藤壮二郎氏
AD授業第4回目は,筑波大学アスレチックデパートメントでスポーツアドミニストレーターを務める佐藤壮二郎氏の講義.
いわば身内の佐藤さんだが,今日はいつもと違う「マーケティングのプロ」の顔を見た.
世に「マーケティング」という用語は反乱し,マーケティングとは何か?と問われても,マーケティングを語る人の数だけ,様々な概念や手法があり,王道はないと佐藤さんは言う.
佐藤さんご自身は,大手情報通信機器コンサルティング会社から転身し,日本フラッグフットボール協会を立ち上げ,そのフラッグフットボールを教育事業として全国の小学校に普及させ,11年かかって学習指導要領に選択種目として採用されるに至るプロジェクトを陣頭指揮された経歴を持つ.
このような中長期のプロジェクトを開発・実行し,成功させるためには,マーケティングの視点から考えることが大切であると佐藤さんは強調される.
佐藤さんの思い描く「マーケティング」とは,VASiCSSというキーワードに集約される.つまり,Vision(絵に描ける未来),Asset(現有資産),Strength(強み),Customer(顧客),Service(満足を高める),Selling massage(ウリ文句)をきちんと分析,特定していくプロセス.
一般的なマーケティング理論では,一番最初のVisionの代わりにBattlefield(競争する市場)がくるのだが,教育現場ではやはりVision先行型である必要性を語られた.
このように,マーケティングのプロとして,独自のVision先行型モデルでフラッグフットボール教育事業を成功させた佐藤さんを持ってしても,大学スポーツは複雑だという.
何が複雑か?それは大学スポーツを担う主体者が分離していること.つまり大学スポーツには,「大学」,「部」,「競技団体」がそれぞれ重要な役割を担い,どれ一つ欠けても大学スポーツは成り立たないのだが,それぞれが分離していて三すくみ状態,統一した意思決定ができないところにある.
しかし佐藤さんは,複雑なるが故にやりがいがあるわけで,誰にでもできる(たとえば自動販売機を設置してお金を入れればジュースが買えるような)ことなら,やらないと断言.
いや~実に頼もしい!!今日の講義を聞いていて,筑波大学ADのミッションである「最高の学校スポーツプログラムを作り,日本社会の未来に貢献する」ということが実現できそうな確信が湧いてきた.